唄って踊って恋をして! 『ラ・ラ・ランド』とあわせて観たい“恋に効く音楽映画”5選

コラム

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文=赤尾美香/Avanti Press

“タラレバ娘”たち必見! クラシカルなのに普遍的な現代ミュージカル

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ゴールデングローブ賞は最多7冠、英国アカデミー賞では最多5冠を獲得。間もなく発表されるアカデミー賞でも13部門14ノミネート(歌曲賞に2曲)と圧倒的な強さを見せている『ラ・ラ・ランド』。ミュージカルの名作にオマージュを捧げながら、人生の酸いも甘いもしょっぱいも、ロマンチックかつヴィヴィッドに描いたのは、『セッション』(2014年)で一躍脚光を浴びたデイミアン・チャゼル監督だ。

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舞台は現代のハリウッド。主人公はスマホを繰りプリウスを乗り回しているけれど、物語のテーマは実に古典的、いや普遍的というべきか。恋する気持ち、相手を思いやる気持ち、夢を追い求める気持ちは、いつの時代にあっても尊いものであることを確認させてくれる。同時に、ままならない現実にせつなさを募らせるけれど、それでも人生は続いていくのだ、とも(ネタバレになるから詳細は書かないけれど、“タラレバ娘”たちは必見ではないか、と)。

エマの歌唱とライアンのピアノ演奏にも大注目

そんな現代の物語を、レトロでクラシカルな佇まいの軽妙なジャズで彩るというミクスチャーぶりが新鮮だ。女優志望のミア(エマ・ストーン)と、売れないジャズ・ピアノ弾きのセブ(ライアン・ゴズリング)という人物設定が、劇中の音楽を自然と物語に馴染ませる。そこに音楽があり、歌があることに違和感がない。中でも、ブロードウェイ出演経験のあるエマ・ストーンが抑えの効いた歌唱で綴るメロディーの美しさときたら、感涙もの。ライアン・ゴズリングは、過去作で歌は披露済みだが、ピアノは初披露。3か月の特訓の成果を大いに発揮している。

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処方箋1:深まる思いを音楽で届ける『once〜ダブリンの街角で』

そこで、だ。これまでに『ラ・ラ・ランド』みたいな、恋に効く素敵な音楽映画はなかったかなと考えてみたところ、あった、あった。まずはジョン・カーニー監督の『once〜ダブリンの街角で』(2007年)。ミュージシャンを夢見る男と、チェコ移民のシングルマザーが出会い、惹かれあい、音楽を通じてその距離を縮めていくお話。誰かを好きになっていく過程でどんどん深まる思いを持て余してしまう──そんな経験は誰にでもあるんじゃないかな。そんな時、音楽がその思いを引き受けてくれることもあることを、この映画は教えてくれた。主演のふたり、グレン・ハンサードとマルケータ・イルグロヴァは、当時本当の恋人同士で、スウェル・シーズンというデュオを組んで活動中。そのスウェル・シーズンによる劇中歌「フォーリング・スローリー」はアカデミー賞歌曲賞を受賞した名曲だ。

処方箋2:愛の形は人それぞれ! 『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』

リース・ウィザースプーンにアカデミー主演女優賞をもたらした『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』(2005年)は、ジョニー・キャッシュ&ジューン・カーター・キャッシュという実在のミュージシャン夫妻をモデルにした作品。リースも、ジョニーを演じたホアキン・フェニックスも吹き替えなしの見事な歌唱を聴かせ度肝を抜いた。運命に導かれたとしか思えない波乱万丈の恋愛模様と、そこで築かれた信頼関係は、常人には理解しがたい部分があるかもしれない。でもそれゆえに、愛の形は人それぞれであると伝えてくれる。ふたりは夫婦として、音楽活動のパートナーとして35年の歳月をともに過ごしたが、03年5月にジューンが亡くなると、ジョニーはその4か月後、ジューンの後を追うように亡くなった。

処方箋3:失って初めて気づく大切さ……『ギター弾きの恋』

架空のギタリストを、あたかも実在するかのようにドキュメンタリーの手法を取り入れて描いたのは、ウディ・アレン監督の『ギター弾きの恋』(1999年)。ギターの腕は天才的ながら、どうしようもなく見栄っ張りで自堕落で身勝手な男エメット(ショーン・ペン)と、口がきけない優しい女性ハッティ(サマンサ・モートン)の哀しい恋物語。エメットの奏でるギターが大好きで、その音色で彼を理解しているような懐の深さを見せるハッティ。けれど愚かなエメットは、失って初めてハッティの大切さに気づく。ここにある教訓は言わずもがな。エメットのように、なってはいけない! ペンにギターの指導をし、演奏の吹き替えを担当したジャズ・ギタリスト、ハワード・アルデンが聴かせるメランコリックな音色が、しみじみといい。

処方箋4:変化する自分を受け入れる勇気を! 『すべてをあなたに』

これまた架空のバンド・ストーリーながら、実在バンドの話のように思えてくるのが『すべてをあなたに』(1996年)だ。原案は、映画音楽家のハワード・ショア。監督はトム・ハンクスで、自らマネージャー役で出演し、劇中曲のソングライティングにも関わっている。舞台は60年代。ザ・ワンダーズというバンドがヒットを飛ばし人気バンドになるものの、人間関係はガタガタで解散の危機に……という、いわば青春音楽物語。ヒロイン役はリヴ・タイラー(めちゃくちゃキュート!)で、ブレイク前のシャーリーズ・セロンも出演している。経験を積み、成長していくことで、恋する視点も変わっていく様がリアルだ。変化する自分を受け入れる勇気も、恋には必要ということかな。アダム・シュレシンジャー(アメリカのロックバンド、ファウンテンズ・オブ・ウェインのメンバー)が書いた主題曲「That Thing You Do」は、アカデミー賞にノミネートされた。

処方箋5:ありのままを愛し愛されよう! 『魔法にかけられて』

最後は、“永遠のしあわせ”を信じる女子必見の幸せムービー『魔法にかけられて』(2007年)。ディズニー映画やミュージカル映画へのオマージュやパロディが盛りだくさん。おとぎ話の世界から、魔女の魔法によって“永遠のしあわせが存在しないニューヨーク”に送られてしまったジゼル姫(エイミー・アダムス)は、生真面目な離婚弁護士ロバート(パトリック・デンプシー)と、彼の娘モーガンと暮らしていくうちに、お互いに惹かれあっていく。ロバートから見たジゼル姫は、立派な不思議ちゃん。だけど、その天真爛漫さとやさしい気持ちで周囲の人や生き物を(!!)魅了していくのだ。いかにもミュージカル的な楽曲をオペラ風に歌いあげるエイミーは、なかなか貫禄のあるお姫様っぷりがご愛嬌。自分の気持ちに素直になって、ありのままを愛し愛されよう、というあまりに純なメッセージこそが、“永遠のしあわせ”への招待状。『アナと雪の女王』でエルサを演じたイディナ・メンゼルも出演しているのに、まるで歌っていないのは謎だけれど。

さぁ、あなたの恋に効きそうな映画はどれ?

『ラ・ラ・ランド』
2月24日よりTOHOシネマズみゆき座他全国ロードショー

(c) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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