誕生から10周年!「仮面ライダー電王」の魅力を振り返る

コラム

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『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』2017年3月25日(土)公開-
「超スーパーヒーロー大戦」製作委員会(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映AG・東映

3月25日(土)公開の『仮面ライダー×スーパー戦隊 超スーパーヒーロー大戦』は、放送中の「仮面ライダーエグゼイド」と「宇宙戦隊キュウレンジャー」をはじめとする「仮面ライダー」「スーパー戦隊」各シリーズより100名超の歴代スーパヒーローが入り乱れて活躍する作品として注目を集めています。その予告編、特報などを見るとエグゼイド、キュウレンジャーといった最新ヒーローと共にフィーチャーされているのが、今年放送10周年を迎えた「仮面ライダー電王」(2007~08年)です。

“仮面ライダー、電車に乗る!!”

「エグゼイド」は“医師がゲーム(ガシャット)で変身”、「仮面ライダードライブ」(2014~15年)は“クルマに乗る仮面ライダー”など“平成ライダー”は毎年、想像の斜め上を行く設定でファンを驚かせてきました。その歴史でも「電王」はファンを特に驚かせたエポック・メイキング的作品でした。

そもそも電車・線路の意匠を取り込んだライダーが電車に乗って敵と戦う設定を放送前に知ったとき、“ライダー、迷走してる?”と思ってしまったのが当時の第一印象でした。ところが放送が始まると“え、なにこれ! おもしろい!”と反応が一変。現在アニメ「進撃の巨人」などを手掛ける脚本家・小林靖子とシリーズのパイロット版(1・2話)を多数手がける田崎竜太監督のコンビが、魅力的なストーリーとテンポ良い演出で1話から視聴者をクギ付けにしました。

電車は、歴史の改編を企てる“イマジン”と呼ばれる怪人たちを相手に、時間を越えて過去・未来を移動する“時の列車デンライナー”という物語の拠点として機能し、電王のフォームチェンジ演出には、電車がレールを走るさまを姿形が変わるプロセスとして見事に表現しています。またカードタッチで起動、発車ベルチックな変身音を発する変身ベルトは、まさに自動改札機を想起させる楽しいギミックでした。

「電王」は放送開始からグイグイ人気を加速させ、DVDの売り上げは平成ライダーシリーズの中でもトップを記録。通常の夏の劇場版以外にも映画が制作され、「電王」の名が冠せられているタイトルだけで07~11年の間に8作品も公開されています。

放送終了から3年を経ても「電王」ワールドが展開できたのは、先述の“デンライナー”の存在が大きなウェイトを占めています。「仮面ライダー」の世界観において時空を超える電車の存在は過去のシリーズやエピソードと容易に結びつくことができ、昨今のオールヒーロー作品では欠かせない要素となりました。

人気を加速させた“イマジン”の存在

もうひとつ重要なのが“イマジン”の存在です。本来、電王の敵に当たる存在なのですがなかには協力的なイマジンもいて、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの日本の昔話をモチーフにした4体は、各々が主人公・野上良太郎に憑依・変身し電王の基本4フォームを司ります。

そのイマジン1体、1体がとてつもなく個性的。モモタロスはトコトン俺様キャラの暴れん坊、ウラタロスはどこまでも女の子を釣るのが大好きなナンパ師、キンタロスは寝てばっかりだけど涙もろい人情家の力持ち、リュウタロスはやんちゃで危なっかしい性格だけど甘えん坊……と、それぞれが個性豊か。普段はデンライナーの食堂車にたむろする彼らのやり取り、そして時に熱いアクション・バトルに魅了されます。

怪人であるイマジンたちは“スーツアクター×声優”の演技で具現化されていますが、ここまで際立ったキャラクターが複数登場する作品は「ロボット8ちゃん」(1981〜1982年)などの不思議コメディシリーズでは事例がありますが、「仮面ライダー」としては(純粋に敵としての怪人は別として)かなり挑戦的だったのではないでしょうか? その挑戦を“ミスター仮面ライダー”こと高岩成二をはじめ、永徳、岡元次郎、おぐらとしひろらスーツアクターの熱演と、関俊彦、遊佐浩二、てらそままさき、鈴村健一ら人気声優の熱演が成功に導いたと言えます。

こうしたキャラクター表現は、その後の東映特撮でもより頻繁となり、「キュウレンジャー」では、9人の戦士のうち4体と司令官ショウ・ロンポーが同様のスーツアクター&声優により演じられています。『超スーパーヒーロー大戦』ではそんなキュウレンジャーたちとイマジンたちの共演も楽しみなところ。特にリュウタロスの声優・鈴村健一と、ショウ・ロンポー役の神谷浩史は、東映特撮に特化したラジオ番組で一緒にパーソナリティーを務めている仲。時空を超えた“龍”がモチーフのキャラクター競演の実現に期待がかかります。

忘れてはいけない人々

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そして、忘れてはいけないのが主人公・野上良太郎を演じた佐藤健をはじめとするキャストの存在。当時まだ無名の新人だった佐藤は“平成ライダー史上最年少・最弱の主人公”という良太郎を、気弱だけど優しく純粋な少年として演じたのみならず、イマジンたちに憑依される度に、それぞれの特徴を反映した性格が豹変するさまを見事に演じ分け、視聴者を驚かせました(リュウタロスが憑依した際などは、得意のブレイクダンスも披露)。

佐藤は放送終了後も『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事』(2008年)、『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』(2008年)にも出演。前者は週末興収ランキング1位を記録し、シリーズの春映画の展開を確立させるきっかけとなりました。以降の映画は、未来から来た良太郎の孫・幸太郎がNEW電王に変身したり、モモタロスたちイマジンが変身する形で作品の世界観は拡大していきました。ちなみに幸太郎を演じた桜田通は、放送中のドラマ「嫌われる勇気」や「クズの本懐」、7月公開の『君の膵臓をたべたい』に出演するなどTV・映画で活躍中です。

また良太郎に変身ベルトを与えるヒロイン・ハナを演じた白鳥百合子は、サラサラのロングヘアと吸い込まれそうな眼差し、お嬢様を思わせる印象とは裏腹に、モモタロスたちイマジンを蹴倒し、良太郎を叱咤するほどの演技のギャップが魅力となり、本作とグラビア活動で一気に注目の的となりました。放送中に作品降板となったのが本当に悔やまれますが、デンライナーに乗務するナオミ役の秋山莉奈、良太郎の姉・愛理役の松本若菜らと共に作品を彩ったライダー・ヒロインとして忘れられません。

この他にも2号ライダー・ゼロノス=桜井侑斗を演じた中村優一、デンライナーのオーナーを演じた石丸謙二郎らレギュラー陣の魅力や、満島ひかり、ムロツヨシがゲスト出演していた逸話など、「電王」にはまだまだ語りつくせぬ面白さが溢れています。

2月23日(木)には新宿バルト9で、中村優一と小林靖子、さらに「電王」のプロデューサー・白倉伸一郎が登壇する劇場版上映&トークショーが催されるらしく、もしかしたら10周年に何かファンが喜ぶ発表があったりしたら……などと少し期待しています(そんなことがあるか否か本当に何も知りません)。いずれにしても“10”の節目にあらためて「電王」ワールドがフィーチャーされることを願いたいところです。

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「超スーパーヒーロー大戦」製作委員会(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映AG・東映
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

(文/狩野洋・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼