有村架純・谷村美月も出演!話題の“ご当地映画”で地域活性化は本当に成功したのか?

コラム

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(c)2017「天使のいる図書館」製作委員会

奈良県葛城地域を舞台にした映画『天使のいる図書館』が、2月18日より全国公開されました。図書館に勤務し、利用者からの本に関する相談に対して手助けをする“レファレンスサービス”を行なう、新人司書の主人公。その超合理的な考えは周囲から理解されず、空回り気味の日々を送っていました。しかし、とある老婦人のレファレンスの担当になったことで、徐々に気持ちに変化が起こり始めるというストーリー。主演は連続テレビ小説「あさが来た」でその名を広めた、女優の小芝風花です。

この『天使のいる図書館』は、奈良県の4市1町が連携して地域活性化や観光誘致を目指す、いわゆる“ご当地映画”。近年、映画で観光客を引き寄せる“ロケツーリズム”に注目が集まり、各県で映画製作が為されています。そこで、今回は近年話題になった、ご当地映画をピックアップして紹介。映画の影響で脚光を浴び観光客が増えた地域がある一方、作品が地域活性化に繋がったとは言い難い例もあるようです。

武田梨奈が主演! 大成功したご当地映画の代表格「宇和島の『海すずめ』」

2016年に公開された『海すずめ』は愛媛県宇和島を舞台とした映画で、「宇和島伊達400年祭」を記念して製作されました。主演に気鋭の女優・武田梨奈を迎えた本作は、同県出身の大森研一監督がメガホンをとり、僻地の人々に自転車で本を届ける図書館自転車課で働く女性の奮闘を、宇和島の歴史や魅力を背景に爽やかに描いた青春ムービー。単なる宇和島の紹介に留まらない、地元での上映だけでなく全国的な展開を視野に入れて作られたことが如実に伝わるクオリティの作品です。ちなみに公開当時、東京築地にある様々な店舗で『海すずめ』のポスターが貼られるという珍事が。これは養殖真鯛等の一大生産地であり、親近感がある宇和島を応援したいという気持ちからだったとか。これぞ、地方の魅力が他の地域にも伝わった、ご当地映画成功例といってもいいでしょう。

谷村美月主演でアクション系ご当地ムービー「広島の『サルベージ・マイス』」

神出鬼没の怪盗マイスの活躍をアクション満載で描いた『サルベージ・マイス』は、オール広島ロケを敢行した異色のご当地ムービー。主演は演技派女優の谷村美月。全国公開は2012年ですが、広島ではその前年に先行上映されました。ご当地映画といえば、撮影は観光名所、地域の魅力を感じられる人情味あるストーリーが定番だと思われますが、本作は完全なるアクション映画。ヒロインたちが広島を縦横無尽に駆け回る様はなかなかのインパクトです。ただ、その分「広島でもこがぁにおもろいもん撮れるんじゃで!」といわんばかりの、“広島スゴイぞアピール”の側面が強めな気も。ネット上に散見する声も、どちらかといえば本作への酷評が多数。広島のイメージアップには、あまり繋がらなかったようです。

とんでもないタイアップキャンペーンにネット騒然!「大分の『綱引いちゃった!』」

大分に実在した女子綱引きチームを題材にしたご当地映画『綱引いちゃった!』。井上真央主演で2012年に公開された、ハートフルコメディです。ストーリーは、大分市役所広報課で働く主人公が、国的に認知度の低い大分市PRのため、市長命令で女子綱引きチームを結成するというもの。この映画、本編よりネットで話題になったのが、公開中に行なわれたタイアップキャンペーンです。というのも、大分県が大分県を題材にした映画公式サイトで「九州7県総選挙愛されランキング」を行ない、「大分が見事1位に輝きました」と、出来レースとも思える結果を発表したのです。他にも、公開に先駆けてロケ地のガレリア竹町商店街でトークショーを行なったり、キャストが大分市観光特使に就任するなどのキャンペーンを実施しましたが、作品の感想としては「映画は面白かったけど、これを観て大分に行こうとは思わない」「観光ビデオみたいだった」といった厳しい声も……。盛り上がりは県内だけにとどまってしまった模様です。

有村架純が可愛いだけ……!?「石川の『リトル・マエストラ』」

2013年に全国公開された石川県のご当地映画『リトル・マエストラ』。有村架純が演じる天才指揮者と勘違いされた主人公が、過疎化した漁村のアマチュアオーケストラとともに成長していく姿を描いた、石川県志賀町福浦や石川県金沢市を舞台にした作品です。ストーリー展開が、まさにご当地映画によくある流れ。しかも演奏曲が威風堂々の一部分のみという、音楽映画として斬新すぎる演出も。石川の美しい風景はしっかり撮れているだけに、残念な印象を与える作品になってしまっているのです。結果、視聴者の感想で語られるのは、ストーリーへのツッコミや“有村架純の可愛さ”がほとんど。ロケ地のPRとしては今ひとつだったと言えるかもしれません。

2017年の現在も、地域活性化や観光誘致を目的とした映画は続々と作られ続けています。とはいえ、乱発しすぎた結果、ご当地映画が飽和状態となり、かえって遡及効果が生まれづらくなっているのかも。ただ、その中にもキラリと光る作品が生まれていることも事実。『天使のいる図書館』が奈良県に大きな影響をもたらしてくれることを期待します!

(文/もちづき千代子@H14)

『天使のいる図書館』
2月11日(土)奈良県先行公開「TOHOシネマズ橿原、イオンシネマ西大和」、2月18日(土)シネマート新宿、大阪ステーションシティシネマ他、全国順次公開

配給・宣伝:ユナイテッドエンタテインメント
(c)2017「天使のいる図書館」製作委員会

記事制作 : H14