話題のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』でジャズが好きになりかけたあなたに贈るネクスト鑑賞ガイド

コラム

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(c) 2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

今年度アカデミー賞14部門ノミネート、監督は『セッション』で一躍頭角を現したデイミアン・チャゼルと、いま最も注目されている映画のひとつ『ラ・ラ・ランド』が2月24日から公開された。この作品の影の主役といえば、ジャズ。ヒロインのミア(エマ・ストーン)が、ジャズ・ピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)と出会い、それまで嫌いだったジャズに徐々に惹かれていく過程が、流れる音楽とシンクロしながら華麗に描かれている。そこでミア同様、ジャズに興味を持った人が次に観るべき、おすすめの新旧ジャズ映画を紹介しよう。

ジャズの帝王がアクション映画の主人公に? 『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』

“ジャズ界の帝王”マイルス・デイヴィス(1926~1991年)。ジャズにあまり興味がない人でも、一度はその名を耳にしたことがあるのではないだろうか。公開中の映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』は、病気療養などで活動を休止していた70年代後半のマイルスにスポットを当て、盗まれたマスター・テープを奪い返すために犯人を追うという、音楽業界を舞台にした犯罪アクション仕立てになっている。同作のマイルス(ドン・チードル)は“硬派なロッカー”キャラで、気に入らないヤツを容赦なくブン殴ったり、拳銃をぶっ放したり……と内容はまったくのフィクションながら、セリフにはマイルスが実際に残した言葉が散りばめられ、演奏シーンでは本物の彼の音源が使用されている。
かつてマイルスと共演したハービー・ハンコック、ウェイン・ショーターといった大物から、歌って弾ける美人ベーシスト、エスペランサ・スポルディング、サントラ担当のグラミー受賞者、ロバート・グラスパーなど若手(いずれも本物)まで、数々のミュージシャンが登場しているところも見所だ。

ジャズ界のジェームズ・ディーンが辿る苦悩と再起への道『ブルーに生まれついて』

『ブルーに生まれついて』は、“ジャズ界のジェームズ・ディーン”とも呼ばれた天才トランペッター、チェット・ベイカー(1929~1988年)の苦悩と再起を描いた映画。作中には、同時代を生きたマイルス・デイヴィス(ケダー・ブラウン)も登場する。
才能にも容姿にも恵まれながらドラッグに溺れ、売人から暴行を受けて顎の骨を砕かれるという、演奏家としては致命的な大怪我を負うチェット(イーサン・ホーク)と、絶望的な状況から再起しようとする彼を支える恋人ジェーン(カルメン・イジョゴ)。その2人の恋愛映画として観ることもできる。
チェット・ベイカーはトランペットだけではなく、歌にも才能を示したプレイヤーだ。名曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」などを歌うシーンでは、彼を演じるイーサン・ホークが歌声を披露(ただし、トランペットは吹き替え)。サントラにも収録されているので、本物と聴き比べてみるのも面白そうだ。

旧作にもいっぱい!おすすめジャズ映画

『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督の出世作『セッション』(2014年)。音楽の素晴らしさを描くというより、これは一種のスポ根であり、心理劇とも言える作品だ。鬼教官と才能ある若きドラマーの真剣勝負が見もので、演奏シーンはライヴ感たっぷり。特にラストシーンでは、ライヴ会場に居る気分で思わず「アンコール!」と叫びたくなるほど。
同じく2014年作品の『Jaco』は若くして逝った天才ベーシスト、ジャコ・パストリアス(1951~1987年)のドキュメンタリー。スティング、ウェイン・ショーター、カルロス・サンタナなど生前の彼を知るミュージシャンたちへのインタビューを交え、彼の実像に迫る。製作はロックバンド、メタリカのベーシスト、ロバート・トゥルージロ。
ちょっと古い作品になるが、『ラウンド・ミッドナイト』(1986年)も、おすすめしたいジャズ映画のひとつ。ストーリーはフィクションだが、ジャズ・ピアニスト、バド・パウエル(1924~1966年)のパリ在住時代の実話がベースになっている。何より、サックス奏者のデクスター・ゴードンをはじめ、本物のジャズ・ミュージシャンが多数出演しているのが魅力だ。サントラは、ハービー・ハンコック。

邦画にもある!ジャズ映画

日本にもジャズを題材にした映画の秀作がある。例えば、『ジャズ大名』(1986年)なんていかがだろう。筒井康隆原作で、幕末維新期の駿河湾に漂着した黒人たちに感化され、お殿さまがジャズに傾倒してしまう。果ては和楽器と洋楽器が入れ乱れての一大セッションへ。外では官軍と幕府軍が激突しようとしているというのに、戦争するのがバカバカしいと言わんばかりの、ユーモアたっぷりの作品だ。
もう少し新しいところでは『スウィング・ガールズ』(2004年)も。ジャズどころか音楽や楽器にはまったくの素人だった東北の田舎の女子高生たちが、とある事件がきっかけでビッグバンドを結成し、ジャズの魅力に目覚めていく。出演陣も本当に楽器経験ゼロのところからスタートしている。彼女たちに共感するうち、観ている方もジャズ・ファンになっているかも。

ここで紹介した作品以外にも、旧作ジャズ映画はたくさんある。まずは、話題の『ラ・ラ・ランド』もチェックしつつ、気になるジャズ映画を探してみてはいかがだろう。

(文/水神 晶@H14)

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Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND.Photo courtesy of Lionsgate.

記事制作 : H14

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