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2016 (C) Voyage of Time UG(haftungsbeschränkt). All Rights Reserved.

3月10日に公開される『ボヤージュ・オブ・タイム』。宇宙創生や生命の歩みをテーマに壮大な自然美を描く本作では、ブラッド・ピットがプロデューサーを、ケイト・ブランシェットがナレーターを務めるなど、著名な俳優陣が製作に関わっていることでも注目を集めています。

しかし一方で、監督のテレンス・マリックについては知らないという方も多いのではないでしょうか? 実は「映画界の偉才」とも呼ばれ、過去に撮影に参加したブラッド・ピットは「すばらしい体験だった」、ナタリー・ポートマンは「彼のやることは他の監督とはまったく違う」と賛辞を惜しまないほど。海外では俳優たちがこぞって出演を希望する名監督なのです。今回は、そんなテレンス・マリックの魅力をご紹介します。

とにかく寡作! 40年の間の製作数はわずか6本!?

テレンス・マリックがあまり知られていない理由のひとつに、非常に寡作であることが挙げられます。1973年に『地獄の逃避行』で長編映画デビューを果たしてから、2012年までの約40年の間に手掛けた作品はわずか6作。現在までの監督作品は全9作です。中でも、1978年の『天国の日々』から、1998年の『シン・レッド・ライン』までは20年もの空白の時間がありました。

しかし、『天国の日々』(1978年)ではカンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、20年の後に製作した『シン・レッド・ライン』(1998年)はベルリン国際映画祭で金熊賞を、『ツリー・オブ・ライフ』(2011年)はカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞するなど、いずれも高く評価されています。

哲学を学んだからこそ飛び出す詩的なセリフ

役者には台本を与えず、役柄の設定が書かれたメモだけを渡して口頭でのやりとりを重ねてシーンをつくっていくという演出法を採用。役者には役柄の内部に入り込むことを求め、『トゥ・ザ・ワンダー』(2012年)に出演したベン・アフレックは、ドストエフエスキーやトルストイなどの著作を読んだ上で撮影に臨んだのだとか。

圧倒的に美しい映像に魅了されること間違いなし

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そして特筆すべきは、圧倒的な美しさを誇る映像美。『ツリー・オブ・ライフ』(2011年)では、SFの名作『2001年宇宙の旅』(1968年)の特撮監督が視覚効果として参加し、CGと実際の自然風景の映像を巧みに織り交ぜながら、人の生死と地球の営みを描き出したことが話題になりました。他にも、日没後に薄明かりがあたりを包む「マジックアワー」と呼ばれるわずかな時間を狙い、1日かけて準備したにも関わらず20分しかカメラを回さなかったなどの逸話が残されています。

こうした徹底したこだわりに惚れ込んで、ブラッド・ピットをはじめ、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン、ハビエル・バルデムなどの錚々たる俳優陣が出演を熱望して集まってくるのです。今作はそんなテレンス・マリックの40年の集大成とも言われる一作。壮大な映像を観ているうちに、きっと感性が研ぎ澄まされるはずです。

(鈴木春菜@YOSCA)