(c)2017映画「チア☆ダン」製作委員会

実は“体育会系”の広瀬すずが『チア☆ダン』で魅せる「底力」

コラム

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『チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』が公開される。ちょっぴり長いタイトルだが、その名の通り、2009年に福井県の高校のチアリーダー部が全米チアダンス選手権大会で優勝した実話を映画化したものだ。見どころはいろいろあるが、注目はなんといっても主演の広瀬すずである。

身体能力の高さに裏付けされた、躍動感あふれる演技

広瀬といえば、是枝裕和監督の『海街diary』のメインキャストに大抜擢され、数々の映画賞に輝いた逸材。以降、細田守監督の『バケモノの子』では繊細かつ大胆なボイスアクティングを披露し、李相日監督の『怒り』では過酷な運命に立ち向かう少女を全身全霊で演じるなど、若き演技派女優としての地位を固めつつある。そんな広瀬のもうひとつの持ち味は、身体能力だ。体型は小柄だが、もともとバスケ少女で、運動神経が髙い。『海街diary』ではサッカー少女に扮したが、その華麗なパスワークがキラリと光った。また大ヒットを記録した『ちはやふる』二部作では、ジャージ姿と汗の似合う女の子として、競技かるたの世界に躍動感を与えた。付け焼き刃ではない、体育会系女子の気概は『チア☆ダン』でも大いに発揮されている。

主人公の悪戦苦闘ぶりを、鮮やかな身体表現で魅せる

鬼顧問の方針で、チアダンス部は「目標は全米大会制覇!おでこ出し絶対!恋愛禁止!」。主人公のひかりは、サッカー部の男子を応援したいという素朴な想いから入部を決意した、チアダンス未経験者だ。「笑顔だけはいい」と鬼顧問に認められながらも、肉体的にも精神的にもしごかれる日々が始まる。母親を病で失い、父親とふたり暮らしのひかりだが、持って生まれた天真爛漫さで周囲と気持ちを通わせていく。部員たちといるときはどこか世話焼きオバサンのような一面も見せつつ、好きな男子の前ではやけに可愛い言葉つきになる乙女なひかりの落差を、緩急たっぷりに見せる広瀬。コメディエンヌの資質も充分だ。

 もちろん、チアダンス場面では持ち前の運動神経のよさを発揮。思いばかりが先走って、身体がまったく追いついていなかったひかりの悪戦苦闘と成長を、変化が如実に感じられる身体表現で魅せている。そして本作の収穫は、ある出来事から、取り柄のスマイルを失い、仏頂面から這い上がっていく広瀬の表情の豊かさだ。この映画が、単なる実話系部活映画に留まらない普遍的な魅力を放っているのは、普通の少女の自己回復力、言ってみれば真っ当な「底力」を、女優、広瀬すずが体現しているからに他ならない。決して特別ではない女の子に訪れる、特別な瞬間。広瀬の伸びやかな演技は、かけがえのない大切な時間として、映画を見た人々の記憶に残るだろう。

このチアダンス部の合言葉は「明るく、素直に、美しく」である。このモチーフが、広瀬すずの「気取らず、真っ直ぐ、体当たり」な表現と出会うことで、老若男女に届く感動へと成就しているのだ。

文/相田冬二@アドバンスワークス

記事制作 : アドバンスワークス

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