哭声/コクソン 2017年3月11日、シネマート新宿他にて公開 (C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

國村隼、稲垣吾郎…狂気満ちた“ヤバイ”人物を演じた俳優

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

3月11日(土)に日本公開された韓国映画史上に残る究極のサスペンス・スリラーと言われている『哭声/コクソン』は、『チェイサー』『哀しき獣』のナ・ホンジン監督待望の最新作。平和な田舎の村で、村人が自身の家族を残虐に殺す事件が多発。これを追う警察官のジョングが、次第に事件に巻き込まれていく模様を描いています。

今作で注目すべきは何といっても、村に大きな変化と混乱をもたらす“よそ者”役で出演している日本の名優・國村隼! ふんどし姿で滝に打たれたり、殺人現場をじっと見つめているなど、“よそ者”の不気味さが際立つ鳥肌モノの怪演をみせています。その圧倒的な存在感で、韓国の映画賞『第37回青龍映画賞』で外国人俳優としては初受賞となる、男優助演賞と人気スター賞のダブル受賞を果たしました。

哭声/コクソン 2017年3月11日、シネマート新宿他にて公開 (C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

そこで今回は、主人公を脅かす得体の知れない人物を演じた俳優をピックアップ! 國村隼に負けず劣らずの怪演で、観客を恐怖に陥れたバイプレイヤーたちを一挙ご紹介!!

3つの殺人事件の首謀者『凶悪』のリリー・フランキー

飄々としたルックスとマルチな才能を武器に、多方面で活躍するリリー・フランキー。その本音が読みづらい風貌がぞんぶんに生かされた役どころが、『凶悪』の"先生"こと木村孝雄。この"先生"は、ピエール瀧演じる東京拘置所に収監中の死刑囚が、まだ公にしていない3つの殺人の首謀者。普段はニコニコしていて人当たりの良い人物こそ、その裏では何を考えているのかがわからず恐ろしいのだと思い知らされます。"先生"は表面上だけは穏やかで温和。しかし、その本質には人間味というものがおよそ存在していませんでした。これがリリー・フランキーのふだんの印象と絶妙にマッチングしており、「もしかしたら彼の本当の姿は……」と、つい想像してしまうほどの怪演でした。

サイコパスな謎の隣人『クリーピー 偽りの隣人』の香川照之

怪しい人間を演じさせたら当代一との呼び声も高い香川照之の真骨頂! 2016年公開の『クリーピー 偽りの隣人』での役どころは、「何気なく他人の家に近づき、その名前を奪って家族を支配していく」ことを繰り返している、謂わばモンスターに近い犯罪者。とにかく不気味で薄気味悪く、場面に現れるたびに身の毛もよだつほどの恐怖をもたらすのです。もはや演技とは思えないレベルで真に迫っているので、これを見た後は香川照之が問答無用で怖くなる可能性は高そうですね。ちなみに、本作の撮影時に「香川照之が演じると、観客は疑って観る」と考えた黒沢清監督。それを払拭すべく、とにかく演技の微調整にはこだわったそうです。怪演俳優のイメージが付きすぎるのも実は問題ありということですね?!

感情をなくした人間の恐怖『黒い家』の大竹しのぶ

1999年公開の『黒い家』で描かれたのは、保険金目当ての殺人事件。主人公は内野聖陽演じる調査員なのですが、犯人役を演じたのは稀代の名女優である大竹しのぶ。物語前半の無感情で淡々とした口調さといい、後半の狂気じみた執念深さといい、キャッチコピーの「この人間には心がない」そのままの、とにかく金のためならば殺人を辞さず、それを邪魔するものすら殺していく大竹しのぶの演技は戦慄のひと言。特に終盤の「乳しゃぶれぇ!!」はあまりにも有名ですよね。大竹しのぶならでは独特な台詞回しが、不気味さに拍車をかけ、“ふつうではない人間”の恐ろしさを、これでもかというほど見せつけてくれます。海外にはヒッチコック監督の『サイコ』をはじめ、サイコパスを扱った作品は昔から存在していました。しかし当時の日本映画にこのジャンルの作品は殆どありませんでした。『黒い家』と大竹しのぶは、日本にサイコパスの恐ろしさを知らしめた存在といえるかもしれません。

次世代の怪演バイプレイヤー『十三人の刺客』稲垣吾郎

番外編として、次世代の名バイプレイヤーと囁かれている俳優を紹介しましょう。それは、SMAP解散を経て、新たなる芸能人生を歩み始めた稲垣吾郎。ここ数年の映画やドラマ作品では、ほとんどが助演。そして、その立ち位置が「うまいわけじゃないのに、ハマっている」「安心して見られる」と意外なほど高評価なのです。特に印象深かったのが、2010年公開の『十三人の刺客』で、主人公たちに暗殺される非道な暴君こと明石藩主・松平斉韶役。「江戸幕府史上最悪」と言われた極悪藩主という役どころで、寒気のするような悪鬼羅刹ぶりや無表情さに底知れぬ狂気を感じると評判になりました。今後の映画出演では、今回挙げた他の名優たちに肩を並べるほどのサイコパスな怪演を期待したいところです。

サスペンス映画には欠かせない、狂気の演技を魅せてくれる名バイプレイヤーたち。『哭声/コクソン』の國村隼の後に続き、海外映画でも作品を怪しく彩って欲しいですね。

(文/もちづき千代子@H14)

記事制作 : H14

関連映画

マイシアターとは?
お気に入りの映画館を「マイシアター」に設定しておくと、上映中の作品やスケジュールがかんたんに確認できるようになります。
マイシアターは2つまで設定できます。