サイボーク化した主人公が、自身を狙う謎の組織と闘いながら、誘拐された研究者の妻と記憶の謎を取り戻そうとする映画『ハードコア』。シューティングゲームではおなじみの一人称視点で物語が展開されるため、あたかも映画の世界に入り込んだような体験ができると、映画好きだけでなくゲーム愛好家の間でも話題となっています。

そこで今回は、「どうやって撮ったの!?」と身を乗り出して観たくなる、斬新なカメラワークが楽しめる映画をご紹介します!

ここは鏡の中?外?『コンタクト』(1997年)

1997年に公開されたSF映画『コンタクト』。地球外生命体との接触を題材にした映画ながら、ベタな宇宙人や宇宙船などは一切登場せず、リアリティのある人物描写と斬新な「宇宙人との接触」が話題となったヒット作です。

この映画の見所の一つに、不思議なカメラワークがあります。それは映画の序盤で主人公が家の中を必死に走るシーンなのですが、主人公の前方から撮影していると思いきや、いつの間にか鏡の中の世界を撮っているという不思議。

ここ、さりげないシーンにも関わらず、ちゃんと「あれ?今の映像なんかおかしくない?」と違和感が残るのですが、この小さな違和感の連続こそ、ミステリアスで緊張感のある『コンタクト』の世界観に観客を自然と惹き込ませていく、なんとも小憎いテクニックなんです。

狭い車中でカメラが360度回転!『トゥモロー・ワールド』(2006年)

『トゥモロー・ワールド』は、 「子どもが生まれなくなった近未来」を舞台に、奇跡的に妊娠した一人の女性を守る主人公を描いたSFアクション映画です。

この作品で注目すべきは主人公たちが車で移動中に暴徒に襲われるシーン。4分07秒にわたる長回しのシーンなのですが、4人乗りの狭い車中をカメラがぐるぐると回り続け「え?これってカメラマン車の中にいないよね!?」と何度も同じシーンを繰り返しチェックしてしまうのです。まさか役者たちがカメラをパスし合っているワケでもないでしょうし……。まさに神ワザ!

カメラが通れないはずの場所を通り抜けていく『パニック・ルーム』(2002年)

『パニック・ルーム』では、家の中で強盗犯と鉢合わせし、緊急事態が起こった時の避難部屋「パニックルーム」に逃げ込んだ母娘と、どうにか母娘をパニックルームから出させようとする強盗犯たちとのスリリングな駆け引きが展開されます。

下手に身動きの取れない母娘とは裏腹に、迷路のように複雑に入り組んだ家の中を縦横無尽に動き回るカメラは、どう考えてもカメラ機材が入らない鍵穴に吸い込まれるように入ったり、コーヒーポットの持ち手の輪の中やガスホースの中をスルスルと通り抜けたり……!

母娘や強盗犯に気付かれずに家中を自由に浮遊できるこの視点、まるで透明人間になったかのような感覚が楽しめます。

映画はキャストやストーリーが注目されがちですが、カメラワークも映画の個性を引き立たせる立派な見所の一つです。そんなカメラワークにこだわった『ハードコア』は、主人公の感覚を共有しているような体験ができる斬新な映画!せっかくなら、映画好きはゲーム愛好家と一緒に観に行ってみてはいかがでしょうか。映画好きならではの視点と、ゲーム愛好家ならではの視点で語り合う上映後のトークは、絶対に盛り上がりますよ!

(文/べこやまザラメ@ヒャクマンボルト)

映画『ハードコア』
4月1日(土)より、新宿バルト9他全国ロードショー
配給:クロックワークス
提供:クロックワークス/パルコ
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