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『パワーレンジャー』『遊☆戯☆王』…日本人が見れなかった日本原作のハリウッド映画

コラム

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3月下旬にアメリカで公開された映画『パワーレンジャー』(7月15日公開)は、日本において42年で通算41作が制作されている「スーパー戦隊」シリーズをアメリカ向けにローカライズした作品の劇場版です。現地では20年以上に渡り親しまれている人気シリーズで、公開初週末は全米3,693スクリーンで興収4,050万ドルを記録。『美女と野獣』(日本では4月21日公開)に次ぐ2位という華々しい週末ランキングを記録しました。(米ボックスオフィス調べ)

相次ぐアメコミヒーローの映画化に対抗するようなタイミングでの念願の映画化……という印象が持たれますが、実は『パワーレンジャー』の映画は、本作が3作目なんです。

日本にとっては早過ぎた? 映画第1作

本作の原点「パワーレンジャー」(1993〜94年)は、日本で放送された「恐竜戦隊ジュウレンジャー」(1992〜93年)のスーツアクションと特撮シーンを流用し、キャストの顔出しシーンをアメリカで撮影したTVドラマです。アメリカの子供たちから瞬く間に人気を集め、全60話のシーズン1以降も、「五星戦隊ダイレンジャー」(1993〜94年)、「忍者戦隊カクレンジャー」(1994〜95年)の映像を用いて3シーズンが制作されました。

そんな人気絶頂の1995年に制作されたのが 劇場版第1作目『パワーレンジャー・映画版』でした。当時放送中のTVシリーズのキャストが出演した同作は、6人のパワーレンジャーが試練を乗り越えパワーアップする展開で、スーツを新調&アクションも全編新撮されました。また、ロボによる巨大戦はフルCGで描かれるなど当時としては破格のスケールとなっています。

第1作は全米2,400館超で上映され、初週週末成績4位を記録。全世界の最終興収は6,600万ドルを越えたそうです。日本では全米から10ヵ月遅れで公開されましたが、TVや映画で日々親しまれている現在ほど映像としてのヒーロー作品は浸透していなかった時代ゆえか、 盛り上がりには欠けていたようです。それもあってか、この後アメリカでは新シリーズの放送タイミングで劇場版第2作となる『パワーレンジャー・ターボ・映画版・誕生!! ターボパワー』(1997年)が制作されましたが、日本ではCS放送でTVスペシャルとして放送されたのみで、劇場未公開作品となっています。

日本人が見られなかった? 日本発アニメ映画

『パワーレンジャー』映画第2作のように、日本発祥のコンテンツでありながら国内の映画館でロードショーされなかった作品としては『トランスフォーマー・ザ・ムービー』(1986年)が挙げられます。アニメーション作品である同作は、最新作『トランスフォーマー 最後の騎士王』(8月4日公開)も控えるSFアクション・シリーズの原点とも言える映画です。日本では「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」(1984〜86年)として放送されていたTVアニメのクライマックスを描いている劇場版でした。

「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」は、日本で生まれた変形ロボット・トイをアメリカへ輸出、その世界観をアニメ化した作品です。しかし、アニメはマーベル・プロダクションが製作、日本の東映動画がアニメーション制作作業を手掛けるという体制で作られ、TVシリーズはアメリカ・日本両国でも放送されました。劇場版も同様の体制で作られたのですが日本公開には至らず、イベント上映に留まっています。

また、原作コミック、カードゲームなどとのクロスメディア展開で現在も人気の「遊☆戯☆王」シリーズでは、アニメ第2作「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」(2000〜04年)の劇場版が、アメリカ向けに制作されていたという例もあります。これは『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ 光のピラミッド』(2004年)という作品で、通常のTVアニメと同じく日本のスタジオで制作され全米公開。こちらも全米2,400館超で上映され、初週週末成績4位を記録しました。

当時アメリカでも「遊☆戯☆王」のカードアイテムが子供たちから人気を得はじめ、映画はその展開を推し進めるきっかけと位置付けられていたようです。この日本発のコンテンツ&アニメの快挙が映画業界筋では話題になったのですが、劇場公開の情報はまったくなく、『トランスフォーマー・ザ・ムービー』と同じく後日イベントとして上映され、パッケージ化されています。

日本の人気コンテンツでありながらロードショーに結び付かなかったのは、まだ各コンテンツが劇場公開されても動員に結び付くかわからない……というシビアな計算が合ったのかもしれません。ですが、国内ではアニメのヒットが続発、ヒーロー大作が日米を問わず一般的な視聴コンテンツとなった現在であれば、このような心配は杞憂に終わるはず。この夏、『パワーレンジャー』は3作目にして真の日本凱旋を遂げることでしょう。

『パワーレンジャー』2017年7月15日公開-(c)2016 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.

(文/狩野洋・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼