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メキシコ湾原油流出事故、東日本大震災…“実話”を元に描いた「環境事故」映画

コラム

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2010年4月20日に起きた、世界最大級の環境事故とされるメキシコ湾原油流出事故。日本でも発生当初は報じられましたが、経過を伝えるには至らず、その詳細はあまり知られていません。この事故の実話をもとにした作品が、4月21日公開のピーター・バーグ監督作『バーニング・オーシャン』です。凄惨な現場状況や、親会社と下請け会社との確執、作業員と家族の絆までを描き出しています。

人災や天災において、現場の過失や政局の対応により、さらなる深刻な事態が生まれることは少なくありません。日本でもこの翌年に東日本大震災が発生し、現在でも多くの被災者の方々が苦しんでいる中、同時に起きた原発事故問題を巡って国の将来への不安は募る一方……。そこで今回は、現場周辺事情や当事者の声を鮮明に届ける、災害を題材とした作品を紹介します。

事故前後の過程をリアルに伝える…『バーニング・オーシャン』(4月21日公開)

先述の通り、『バーニング・オーシャン』は、メキシコ湾原油流出事故を題材にした作品。2010年4月20日の夜、126人の作業員が働く石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンで、暴噴したメタンガスが引火し、未曾有の大爆発が発生。イギリスの石油会社BPが、確認テストや安全装置の故障対応を疎かにしたまま計画を続行したことが主な要因でした。主人公の電気技師マイクは、仲間を救い出すために決死の覚悟で炎の中を駆け回りますが……。
この事故で11人が行方不明となり、湾岸戦争に次ぐ規模である約78万キロリットルの原油流出が起こりました。メキシコ湾岸の漁業は打撃を受け、米連邦政府と湾岸州への賠償金、訴訟費用など、BPの支払い総額は約460億ドルに上りました。甚大な被害をもたらした事故の恐ろしさと、一人一人の命の尊さを、本作ではマーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコビッチら実力派キャストらの鬼気迫る演技で伝えています。

なお、ニコラス・ケイジ演じる政治家が失脚していく『コンテンダー』(2015年)も、メキシコ湾原油流出事故を背景とした作品。こちらは政治ドラマという別の視点からなるもので、事故で苦しむルイジアナ住民を支援する下院議員コリンが、セックス・スキャンダルで窮していくさまはなんとも無念。再起を図るも起業家らのさらなる陰謀が待ち受ける展開に、揺れ動く政財界の裏をみることができます。

原発事故後の菅内閣を再現…『太陽の蓋』(2016年)

『太陽の蓋』は、東日本大震災と福島第一原発事故が発生した2011年3月11日からの5日間に焦点を絞り、北村有起哉演じる新聞記者を中心に、首相官邸内部と東京・福島で暮らす人々の姿を描いた作品。三田村邦彦演じる菅直人首相はじめ、枝野官房長官など、菅内閣の政治家を実名で登場させています。官邸に情報が上がってこない状況、首相の対応を捉えたマスコミ報道など、政治家や閣僚への直接取材をもとに、佐藤太監督が「あくまで中立の目線で制作した」という本作。混乱した社会を俯瞰的に捉え、何が正しくて今後何をやるべきなのか、観る者に自らの考えを問いかけてくるようです。

福島の“芯ある姿“を追った…『新地町の漁師たち』(2017年)

『新地町の漁師たち』は、3.11後に操業自粛を余儀なくされた、福島県新地町の漁師たちの姿を3年半に渡って記録したドキュメンタリー。変わり果てた浜の様子、漁村の伝統祭事、汚染水対策である「地下水バイパス計画」の説明会で漁師が東電に怒りをぶつける場面……。震災で生活が一変しても、常に命がけで自然と向き合ってきた漁師たちの、芯のある姿は変わらない――その姿こそ、新鋭の山田徹監督がたくさんの人に伝えたかったものだと語っています。

災害により失われたもの、これから論じていくべきこと、それらが闇に葬られることのないよう、数々の映像作品が記憶を語り続けています。

(文/藤岡千夏@H14)

記事制作 : H14

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