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主役を喰らう!? 映画のなかの魅力的なサブキャラクター

コラム

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4月29日公開『僕とカミンスキーの旅』は、85歳のお茶目なおじいちゃん・カミンスキー(イェスパー・クリステンセン)が、主役を“喰って”しまうほど存在感を輝かせる奇想天外なロードムービーです。

主人公の僕=美術評論家セバスティアン(ダニエル・ブリュール)は、NYのポップアート界で一世を風靡した盲目の画家カミンスキーの伝記を書いて名声を得ようとします。そんなセバスティアンを、老いて病を抱えた身ながらカミンスキーはしたたかに翻弄。含蓄あふれる言葉やカリスマ性を放ち、主人公を圧倒します。

こうした、あえて“主役を喰う”サブキャラクターの存在が、映画を輝かせるケースは、探してみると結構あったりするものです。

『羊たちの沈黙』のレクター博士

映画史における最も魅力的かつ衝撃的なサブキャラクターとも言えるのが、大ヒットサスペンス『羊たちの沈黙』(1991年)のハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)ではないでしょうか。プロファイリングに卓越した医師ながら猟奇殺人犯として収監されているレクターは、殺人事件の捜査協力を求めてきたFBIの女性クラリス(ジョディ・フォスター)を妖しく翻弄します。

レクターを演じたホプキンスはアカデミー賞主演男優賞を獲得していますが、本作はクラリスを主軸にした物語のため、彼女を際立たせるサブキャラクターとしてピックアップしました。後に、レクター博士をメインに掲げたシリーズも映画化されています。

『僕だけがいない街』の少年時代の藤沼悟

人気コミックを実写化した『僕だけがいない街』(2016年)は、時間を遡る能力を持つ藤沼悟が、18年前の連続児童誘拐事件の謎に迫るミステリーです。主人公・悟を演じたのは藤原竜也なのですが、彼の少年時代を演じた子役・中川翼がある意味藤原を喰う名演を見せます。

どこか擦り切れた感の漂う大人の悟と異なり、少年時代の彼は、虐待を受けた友達を守り、不審な男の秘密を暴くなど「名探偵コナン」ばりの推理と行動力で大活躍! 中川は平川雄一郎監督の厳しい演技指導の下、身体は10歳ながら精神は大人という難しい役どころを初々しくも熱演。大人の悟に対するサブキャラクターを見事演じきった彼のこれからの活躍が楽しみです。

『ターミネーター4』で物語の鍵をにぎる、記憶喪失の男マーカス・ライト

人類と機械の戦いを描いた『ターミネーター4』(2009年)は、核戦争による終末の到来、いわゆる“審判の日”の後、人類の抵抗軍がコンピューター“スカイネット”率いる機械の軍勢と繰り広げる戦いを描いています。

抵抗軍のリーダー、ジョン・コナー(クリスチャン・ベール)が出会う記憶喪失の男マーカス・ライト(サム・ワーシントン)は、重大な秘密を抱える物語のキーマン。監督のマックGが、「 マーカスは“魂というものは人間のどこに宿っているか”という作品のテーマを象徴するキャラクター」と言うように、過酷な運命に抗い、命を賭けて使命を果たす姿は、主人公を差し置いて、物語の中で最大の葛藤と感動を生み出しています。

映画を観る際、つい主役ばかりに目が行きがちですが、実際に物語を進行させるのは脇を固めるサブキャラクターということも多いようです。映画で彼らが果たす役割に注目しながら映画を観る……なんて通な鑑賞法もたまにはありかもしれませんね。

『僕とカミンスキーの旅』-4月29日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開-(C)2015 X Filme Creative Pool GmbH / ED Productions Sprl / WDR / Arte / Potemkino / ARRI MEDIA

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼