(C)2016/Day For Night Productions/ARTE France/INA (C)Atelier Robert Doisneau

GWは“映画”で“写真”に出会う!伝説の写真家2人の人生と秘話

コラム

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もうすぐ大型連休。旅行をはじめとしたレジャー派がいる一方、この休みを利用して見損ねていた映画を一気に観たり、美術館を巡ったりといったアート派の人も多いのではないでしょうか? そんなアート派におすすめの世界的な写真家に焦点を当てたドキュメンタリーが、奇しくも相次いで公開されます。

2013年の写真展も大好評だったフランスの世界的写真家、ロベール・ドアノー

4月22日から公開された『パリが愛した写真家/ロベール・ドアノー<永遠の3秒>』 は、題名にあるようにフランスの著名な写真家、ロベール・ドアノー氏にスポットを当てています。1912年にパリ郊外で生まれた彼は、『ヴォーグ』誌の契約カメラマンなどを務めながら腕を磨き、パリの庶民たちの普段着の姿をとらえた写真で世界的な評価を受けました。1994年に82歳で亡くなり、死後すでに20年以上が経過していますが、いまだにその人気は衰えず、世界で展覧会が開かれています。日本でもまだ記憶に新しい2013年に「生誕100周年記念写真展 ロベール・ドアノー」が東京都写真美術館を皮切りに国内巡回開催され、大きな反響を呼びました。

誰もが目にしたことのある“あの写真”の秘話が明らかに!

今や20世紀を代表する写真家に挙げられるドアノー氏ですが、彼を一躍有名にしたのが1950年にアメリカの雑誌『LIFE』の依頼で撮影した「パリ市庁舎前のキス」という写真です。実はこの写真、雑誌掲載時はさほど反響がありませんでした。ところが、1980年代にポスターとして発売されるとこれが大反響を呼び、一躍、ドアノーは世界中で知られるようになりました。“恋人たちの街”“ロマンチック”といった今パリに誰もが抱くイメージはこの写真によって生まれたと言われています。それほど世界を魅了した1枚の写真になりました。日本でもさまざまなイメージ写真として広告で使われているので、おそらく“見たことある!”という人は大勢いるはずです。この映画ではドアノー氏の巨匠と呼ばれながら、社交界よりもご近所付き合いや家族を大切にした人間性が語られるとともに、「パリ市庁舎前のキス」の意外すぎる撮影秘話も明かされた、実に興味深い内容になっています。

インタビュー嫌いの伝説の写真家、 ロバート・フランクが遂に口を開く!

(C)Photo of Robert Frank by Lisa Rinzler, copyright Assemblage Films LLC

一方、4月29日から公開される『Don't Blink ロバート・フランクの写した時代』がピックアップしたのは、90代を迎えた今も現役で活躍する伝説の写真家、ロバート・フランクです。23歳のとき、スイスからニューヨークに渡って大成した彼は、写真家として一世を風靡するとともに、映画監督としても活躍し、アメリカ・インディペンデント映画の祖とも称さています。ジム・ジャームッシュ監督ら彼を敬愛する著名人も多く、その名に聞き覚えのある映画ファンは多いのではないでしょうか。また、昨年、東京藝術大学で開催された「Robert Frank: Books and Films,1947-2016」展は2週間の会期中に1万人以上が来場しました。そこで彼を知った人も多いことでしょう。ただ、彼は大のインタビュー嫌い。それゆえ、これまで、自身の歩みや作品について本人が語ることはほとんどありませんでした。その閉ざされ続けてきた扉が本作では、ついに開かれています。

世界で最も有名な写真集は当初、駄作と酷評

ついに公のインタビューという場に登場したロバート・フランクは、ちょっと皮肉交じりなところはありますが、自身のこれまでの歩みや作品について実直に語っています。 中でも興味深いのは彼の名を一躍、世界に轟かせた1958年に発表した写真集「The Americans」について。実はのちに大国アメリカの繁栄と栄光の裏にある闇を見事にとらえ、世界で最も有名な写真と呼ばれるこの作品が、発売当初は批評家から大酷評されたこと、実はこの作品での成功が、不運の始まりになったことなど、その裏話がたっぷりと語られています。商業化するアート界になびくことなく、アーティストとして孤高の道を歩む、まさに生きる伝説からようやく明かされる真実がこの作品にはもれなく収められています。

ロベール・ドアノーとロバート・フランク。20世紀を代表する写真家である2人の人生と一枚の写真に、映画で出会ってみてはいかがでしょうか?

(文/水上賢治@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス