体は小さいけど大きな存在感で魅了するジミニー - RKO Radio Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

ミラクルを起こしたディズニーアニメの名脇役たち

コラム

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大波乱で幕を閉じた第89回アカデミー賞にて、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた映画『ぼくと魔法の言葉たち』は、ディズニー・アニメーションを通じて、家族や周囲の人々とのコミュニケーションを取り戻した自閉症の青年オーウェン・サスカインドさんを追ったドキュメンタリーです。彼の人生において大きな道しるべとなったのが、ディズニーキャラクターたち。メジャー級からちょっとマニアックなキャラクターまで、その豊かな表情やあふれるユーモアで彼の人生にミラクルを起こした名脇役たちをご紹介します!

ディズニー・セラピーとオーウェン

 

(C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

2歳の時に自閉症と診断され言葉を失ったオーウェンさん。彼はセリフを暗記するほどまでに大好きなディズニーアニメを見続け、ある日、自分の気持ちをセリフに託すことで家族や周囲の人々とのコミュニケーションを取り戻しました。大学を卒業し、社会人として自立の道を歩み始めたオーウェンさん。今年2月には、アニメ界のアカデミー賞といわれるアニー賞にて、特別業績賞を受賞した際、監督と共に登壇し自らの言葉でスピーチしました。彼をここまで成長させてきたディズニーアニメの名脇役たちを見ていきましょう。

『リトル・マーメイド/人魚姫』セバスチャン

映画『リトル・マーメイド/人魚姫』より - Buena Vista Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

ディズニープリンセスの中でも屈指の人気を誇るキャラクター、『リトル・マーメイド/人魚姫』(1989)のアリエル。彼女のお目付け役としておなじみなのが、宮廷音楽家のカニ、セバスチャンです。お目付け役らしくいつも小言を言うものの、結局アリエルのお願いを聞いてお世話することになってしまうお人よし。ディズニー最新作『モアナと伝説の海』でも、悪役キャラクターのタマトアから「俺がセバスチャンだったら~」といったセリフが飛び出すほど、世代を超えて愛されている存在です。本家ディズニーによる実写映画化も話題ですが、セバスチャンはどうなるのか……気になります!

 

オーウェンさんが描いたセバスチャン - (C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

『リトル・マーメイド/人魚姫』アースラ

『リトル・マーメイド/人魚姫』に登場する悪役キャラクターといえば、邪悪な海の魔女アースラ。かつて自分を王国から追い出したアリエルの父トリトン王への復讐(ふくしゅう)のため悪事を企てる彼女は、ついには、人間になりたいアリエルをそそのかし、彼女の美しい声を奪ってしまいます……。自閉症と診断され、一度は言葉を失ったオーウェンさんが、家族とのコミュニケーションを取り戻した第一声は彼女のセリフ。劇中では悪役ですが、ミラクル度はナンバーワンかもしれません。

『アラジン』イアーゴ

向かって右、わる~い顔したジャファーの肩にのるのがイアーゴ - Buena Vista Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

こちらも実写版の撮影が今年の7月からと話題の『アラジン』(1992)。魔法のランプを手に入れて王位に就くことを企んでいる、邪悪な大臣のジャファーのペットであり参謀役として登場するのが、オウムのイアーゴです。普段はオウムらしく人間の言葉を繰り返すだけですが、実は人間の言葉を流暢にしゃべれる知能犯。毒舌かつ悪知恵も働く、そして金銀財宝に目がないというザ・悪役キャラクターです。

オーウェンさんが描いたイアーゴ - (C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

オーウェンさんと意思疎通ができるのかもしれないという希望の光が見え始めた時、父ロンさんがチャレンジしてみたのが、彼の大のお気に入りだったイアーゴのパペットで話しかけること。作戦は見事大成功! なんと、オーウェンさんは何事もなかったかのように会話してくれたのでした。こちらもミラクル度は高得点。

『王さまの剣』マーリン

 

映画『王さまの剣』より主人公のワート - Walt Disney Productions / Photofest / ゲッティ イメージズ

ウォルト・ディズニーが最後に公開を見届けたとされるファンタジー映画『王さまの剣』(1963)に出てくる、気まぐれでひょうきんな、おじいちゃん魔法使いマーリン。彼を知っているという方は、かなりのディズニー通ではないでしょうか。主人公ワートに知恵とやさしさと強さを教える重要な役どころを担っており、オーウェンさんにとっての父親の化身として、自身のオリジナル作品にも登場させています。

『ライオン・キング』ラフィキ

動物王国の王子として生まれたライオンのシンバの成長を描いた映画『ライオン・キング』(1994)で、謎めいた雰囲気を持ち、王国の祈祷師のような存在であるのがヒヒのラフィキ。父を亡くし、王国を追い出されたシンバが悩んだ時、目の前に現れては勇気づけ、進むべき道を示してくれるキーマンです。アカデミー賞授賞式でホストのジミー・キンメルがジョークにしていた、あの伝説的な誕生シーンは、このお方によるもの。こちらも現在実写化が進められており、『ジャングル・ブック』の実写版同様、動物たちはCGで表現されるのだとか。

『きつねと猟犬』ビッグ・ママ

人間に育てられた子ぎつねのトッドと、猟犬コッパーの友情を描いた映画『きつねと猟犬』(1981)で、親を亡くしたトッドを見つけたのが、ミミズクのビッグ・ママ。その名の通り、やさしく、包容力のあるキャラクターで、トッドをいつも見守り、教育する、まさしく母の役割を担っており、オーウェンさんも自身の母と重ね合わせているのだとか。

『ピノキオ』ジミニー・クリケット

体は小さいけど大きな存在感で魅了するジミニー - RKO Radio Pictures / Photofest / ゲッティ イメージズ

『ピノキオ』(1940)の名脇役といえば、シルクハットと傘がトレードマーク、ピノキオの“良心”として大活躍する流れ者のコオロギ、ジミニー・クリケット! 命が宿ったばかりで何も知らない無邪気なピノキオに善悪を教える役割を突如任され、途中暴走するピノキオに失望するも、最後まで見捨てず支え続けたしっかり者。陰に徹する紳士的な存在感でファンの心をバッチリ掴み、ディズニー史上最高の名脇役との評価も高い人気キャラクターです。

『ジャングル・ブック』バルー

昨年公開された実写版も記憶に新しい『ジャングル・ブック』(1967)。主人公モーグリが育ての親であるオオカミの群れから出てジャングルをさまよう中で出会い意気投合し、友達となるのがクマのバルー。のんびり気ままに暮らすのがモットーであり、おっちょこちょいでドジといった典型的な癒やし系キャラです。面倒は避けるタチだが、親友となったモーグリのために最後は戦うアツい一面も。実写版『ジャングル・ブック』では西田敏行が吹替えを担当しており、ほのぼのとしたキャラクターがなんともハマり役でした。

『ダンボ』ネズミのティモシー

大きな耳を持つ子象の成長と冒険を描いた『ダンボ』(1941)に登場する、ダンボの親友がネズミのティモシー。ダンボがいるサーカス団の仲間であり、失敗ばかりして笑いものになってしまうダンボを勇気づけ、励ます友達思いのキャラクターです。

『ヘラクレス』ピロクテテス(フィル)

 

オーウェンさんが描いたフィル - (C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

ギリシャ神話を基に、神ゼウスの息子ヘラクレスが真の英雄になるべく繰り広げる冒険を描いた映画『ヘラクレス』(1997)。通称フィルことピロクテテスは、半人半獣の精霊サテュロスであり、ヘラクレスのトレーナー。自分の夢が叶わなかった過去から自信を喪失していたものの、ヘラクレスの成長と共に夢を取り戻していきます。時にはヘラクレスを一喝することも。

『美女と野獣』ルミエール

いよいよ今月公開となる実写版が話題の『美女と野獣』(1991)に登場する名脇役といえば、こちらのルミエール。野獣の従者で給仕頭でしたが、魔法でろうそくの燭台(しょくだい)にされてしまいます。女性にやさしく、サービス精神たっぷり、ユーモアのセンスも持ち合わせた典型的なプレイボーイで、ヒロイン・ベルを楽しませてくれる愛されキャラです。実写版ではユアン・マクレガーが声を担当。

オーウェンのまわりにはいつも名キャラクターたちが

 

オーウェンさんが描いた『ライオン・キング』の名脇役ティモン - (C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.

言葉を失った少年オーウェンが数年ぶりに発した言葉は、アリエルの声を奪ったアースラの「声をよこせ!」というセリフでした。彼の心の叫びに両親が気付き、そして父親は幼きオーウェンさんのお気に入りのキャラクター、イアーゴを使い彼に話しかけ、家族はコミュニケーションを少しずつ取り戻しました。社会の荒波に立ち向かっていくことになったオーウェンさんにとって、自分がどう行動すべきか、次々と立ちはだかる壁に立ち向かう時、その道しるべになってくれたのは、家族の深い愛情と名キャラクターたちの言葉でした。勇気が要る時には『ヘラクレス』のセリフが頭に浮かび、環境の変化にさまざまな感情が交錯する時には『リトル・マーメイド/人魚姫』を見ながら自分の心情を説明し、整理するオーウェンさん。

あのディズニーから素材の使用許諾を得て、完成した作品の所有権も編集権利も一任された本作の制作陣。ディズニー映画が持つ魔法の力が起こしたミラクルは、想像以上の衝撃と感動を見る者に与え、人々の心を動かしたに違いありません。

シネマトゥデイ編集部

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)

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