(C) 2017「ピーチガール」製作委員会

アムラー、ヤマンバ、あゆ…『ピーチガール』から見る“ギャル文化”の変貌

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

5月20日公開の『ピーチガール』は、上田美和の大ヒットコミックを実写化したもの。元水泳部の主人公ももは、日焼けした色黒の肌と塩素で色が抜けた赤い髪というギャル風な見た目のせいで、本当は超ピュアなのに周囲から「遊んでいそう」と誤解されてしまいます。

原作が連載された1997年~2004年は、折しもコギャルブーム真っ只中。ただ、映画版は現代にあわせ、登場人物のメイクや髪型などは今風にアレンジされています。では、この20年の間に、ギャルの文化はどんな変貌を遂げたのでしょうか? 映画を観る前に、ぜひとも知っておきたいところです。

流行語、汚ギャル…女子高生が社会現象を巻き起こす

そもそもギャルとは、70年代から若い女性の総称として認識され始め、80年代後半にボディコンを着用するなど、バブル期を謳歌する女性を指す言葉として浸透しました。

そして、革新的なギャル文化が確立したのが95年頃。安室奈美恵の大ブレイクにより、街にはミニスカートに茶髪、細眉、ブロンズ肌という彼女を真似た“アムラー”が増殖したのです! 女子高生の間では色黒メイクにミニ丈、ルーズソックスを加えたコギャルスタイルが定着します。プリクラが流行り、『Popteen』、『Cawaii!』などのギャル雑誌が売れ、“チョベリバ(超ベリーバッド)”といった略語を編みだす文化も誕生しました。

さらに、90年代後半になると、ガングロに白いアイラインやグロスを施した“ヤマンバ”が登場しました。仲間の家を泊まり歩いてはお風呂に何日も入らない“汚ギャル”が蔓延し、話題になったのもこの頃の話です。

肌は“黒”から“白”へ…多様化したギャルマインド

ところが2000年代になると金髪に白肌の歌姫・浜崎あゆみが登場し、世は空前の美白ブームに突入します。05年頃には“エロカッコイイ”雰囲気の倖田來未、コンサバ感を醸す蛯原友里などの『CanCam』モデル、キャバ嬢のような盛りヘア・メイクを提案する雑誌『小悪魔ageha』が人気となり、ギャルは多彩なタイプに枝分かれしていきます。

この頃になると、インターネットの普及で流行に関する情報が気軽に手に入るようになり、H&Mなどのファストファッション店も増加。従来のギャル感に最新の流行を安価にほどよくとり入れる女性が増え始めました。このような時代の中で、『Popteen』モデル出身の益若つばさは商品プロデュースなどのビジネスを展開。出産後は「ママギャル」としてモデルになるなど、幅広い活動をし始めます。

こうして、“ギャル”はかつてのヤマンバのような特異な存在ではなく、多様な女性が共有できる普遍的な概念そのものとなりました。現在では、好きな服装・活動スタイル・年齢を問わず、“自身をギャルだと思うことが、ギャル”という、“ギャルマインド”が浸透したのです。

『ピーチガール』の時代に、もしこのギャルマインドが既に確立していれば、ももは自身と世間がもつイメージとのギャップに苦しまずに済んだかもしれませんね。

やがて、ももの前には、彼女の内面の魅力に気づいた男子が現れます。それが、中学時代からの片思いの相手・とーじ(真剣佑)と、窮地を救ってくれた学校一のモテ男子・カイリ(伊野尾慧)です。小悪魔的存在な沙絵(永野芽郁)の横どり作戦に脅かされながらも、2人から求愛されるももの立場は羨ましいかぎり! ギャルな人もそうでない人も、彼女のピュアな姿に大いなる羨望や共感を抱くことでしょう。

(文/藤岡千夏@H14)

記事制作 : H14

関連映画