(C)2017「美しい星」製作委員会

美輪明宏に猛アタック!UFO観測に熱中! “文壇のレジェンド”三島由紀夫の素顔って?

コラム

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『桐島、部活やめるってよ』(2012年)で日本アカデミー賞を総なめにした吉田大八監督が、リリー・フランキーや亀梨和也ら豪華俳優陣をキャストに迎え、新たに放つ最新作『美しい星』(2017年)。原作はあの伝説の文豪、三島由紀夫。

三島といえば、複雑なセクシャリティ、崇高な政治観、固有の美学を持ち、自身の文学作品にそれらを投影してきたストイックな芸術家、というイメージが先行しがちですが、実はふふっと笑える人間臭いエピソードに溢れた可愛い人物。「待ち合わせのレストランで、彼女の遅刻を15分待てずに食事代を支払い、置き手紙を残して帰宅してしまった」、「料亭で出されたカニにおののき、青冷めて“蟹”という字まで嫌悪した」など、とにかく逸話に尽きません。

かっこいい三島から、ちょっと情けない三島まで、彼の多面的な人物像を知って原作を手に取れば、映画『美しい星』(2017年)への奥深い解釈が得られるかも。ここではあなたの知らない三島由紀夫の意外な素顔を、様々な切り口からご紹介します。

「レディは服の色に合わせてお酒を選べ」

(C)2017「美しい星」製作委員会

「恋愛では、嘘というものが一番誠実な意味を持ってくるのではないか」といったハッとさせられる恋愛哲学から、「愛されたい者は、愛されたいと思うかぎり、多少の神秘を保存しなければならない。人はわかりきったものを愛することはできない」といった、実践的な恋の奥義まで、卓越した鋭い恋愛観を披露してきた三島由紀夫。その思索の対象は男女の愛に留まらず、宗教、政治、理想の人間像など幅広い領域に及びます。

そんな数々の三島の名言の中に、「なぜ大人は酒を飲むのか。大人になると悲しいことに、酒を呑まなくては酔へないからである」というものがあります。三島は生前、身の回りの様々なものに美学とこだわりを持ちましたが、お酒に関しても例外ではありませんでした。彼は著作『女神』(1955年)の中で、レディとお酒のルールについて、なかなか興味深い持論を展開しています。

それは、「レディは服やアクセサリーの色に合わせてお酒を選ぶのが好ましい」というもの。落ち着いた大人の空間でお酒をたしなむとき、マスターに一言、「今日の服の色に合ったものを」とオーダーするのがスマートな淑女であると言うのです。現代では女性たちから鬱陶しがられそうな考えですが、デートなどの大切な場でふと実践してみたくなる妙に魅力的なアイディアでもあります。

絶世の美少年、美輪明宏との“親密”な関係

三島由紀夫の伝説を語るときに欠かすことのできない人物がいます。それは日本の芸術世界を代表する至高の表現者、“美輪明宏”。

かつて銀座7丁目の街角に存在した“銀巴里”という文化人の社交場で、美輪は10代からシャンソンを唄っていました。常連客には吉行淳之介や寺山修司などがおり、三島由紀夫もその一人でした。あるとき、美輪の美しい容姿や舞台上でのオーラに惚れ込んだ三島は、「チップを弾むから来い」と美輪を自分のテーブルに呼びつけます。美輪は初めそれを無視していましたが、三島の熱烈なラブコールに負けて、しぶしぶ彼のテーブルへ行ってみたそうです。

「何を呑むか」と三島は問いかけますが、「芸者じゃないので」と美輪は一蹴。「可愛くない子だなぁ」と三島が言うと「綺麗だから、可愛くなくていいんです」と一言吐き、美輪はそのまま去ったと言います。このやりとりがきっかけで、ますます美輪に心を奪われた三島。ここから始まった二人の縁は、公私にわたって、三島が自死するまで長く続きました。

それは一言で定義できるような単純な関係ではなかったとか。なかなか自分のものになってくれない美輪に対して、「君は素晴らしいが95%の長所を消す5%の欠点がある。それは俺に惚れないことだ」と三島が不平を漏らした話は、二人の関係を物語る有名なエピソードです。

記事制作 : YOSCA