(C)2017「美しい星」製作委員会

竹内結子、山口百恵も!ミシマ文学映画に挑んだ実力派俳優・女優たち

コラム

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戦後日本の文学をけん引した作家・三島由紀夫の異色SFを映画化した『美しい星』が5月26日(土)より公開されます。原作の “核戦争の脅威”から“地球の人口増によるエネルギー問題”にテーマを移し、突然、宇宙人として“覚醒”した一家が世界の危機に警鐘を鳴らします。

ミシマ文学の映画化は実に11年ぶりとなる本作は、『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督の下、亀梨和也が“水星人”の長男、リリー・フランキーが“火星人”の父、橋本愛が“金星人”の長女……と、それぞれ宇宙人を熱演しています。

それぞれ活躍目覚ましい俳優陣が難役に挑んでいますが、これまでのミシマ文学の実写化作品をひも解いてみると、実に多彩な俳優陣がその文学の世界の住人を演じてきています。

『春の雪』 妻夫木聡&竹内結子が“淡い恋心”を抱く幼なじみを好演

行定勲監督作『春の雪』は、三島由紀夫、最後の長編シリーズ『豊饒の海』4部作・第1巻を映画化した作品です。大正初期の華族社会を舞台に、惹かれ合うも結ばれなかった幼馴染みの男女の恋を描いています。

この悲恋を体現したのは、『ウォーターボーイズ』(2001年)や『ローレライ』(2005年)など幅広いジャンルで活躍し始めた妻夫木聡と、『天国の本屋 恋火』(2004年)、『いま、会いにゆきます』(2004年)など主演作が相次いだ竹内結子……というノリにノっていた2人。気高く華やかな上流階級世界の映像美と、三島文学の集大成ともいえる詩的で耽美な世界がスクリーンに広がります。

『潮騒』 山口百恵&三浦友和のゴールデンカップル出演

“ゴールデンカップル”と呼ばれた山口百恵と三浦友和が共演した『潮騒』は、1954年に三島が書き下ろした10作目の長編小説が原作の作品です。もともと古代ギリシアの恋愛物語「ダフニスとクロエ」に着想を得たと言われています。伊勢湾に浮かぶ島で漁師をする若者・新治(三浦)と、縁談話が進む裕福な娘・初枝(山口)との初めて恋が描かれています。

嵐でびしょ濡れになった服を乾かす裸の初江が、たき火の向いに座る新治に「その火を飛び越えてこい!」とはっぱをかける煽情的なシーンで知られるこの作品は、なんとこれまで5回も映画化されていて、1964年度版では吉永小百合も若きヒロインとして大胆な演技を披露しています。

『黒蜥蜴』 美輪明宏と三島由紀夫のキスシーンも!

江戸川乱歩の推理小説を、三島が1961年に戯曲化した『黒蜥蜴』。その映画版は、名探偵・明智小五郎が宝石商の一人娘の誘拐事件に挑む推理サスペンスです。『バトルロワイアル』(2000年)の深作欣二監督が、舞台で“黒蜥蜴”を演じた美輪明宏(当時は丸山明宏)の主演で推理劇を紡ぎます。

美輪の中性的な容姿を“天上界の美”と絶賛していた三島が、なんと本作で特別出演。黒蜥蜴の生人形コレクションの1体として登場した彼は、ナイフ片手に格闘アクションや黒蜥蜴とのキスシーンまで演じるなど、ノリノリの姿を見せています。

『肉体の学校』 フランスの名女優も三島文学に挑んでいた

パリのファッション業界で働くバリキャリ中年女性が主人公の恋愛エンターテインメント『肉体の学校』。三島が1963年に手がけた長編小説を原作に、映画では舞台をパリに移し、フランス・ルクセンブルク・ベルギー合作で映画化しています。

主人公ドミニクを演じたのは、今年、鬼才ポール・バーホーベン監督のスリラー『エル(原題)』(今夏公開)でアカデミー賞主演女優賞に初ノミネートされたイザベル・ユペール。バイセクシャルの貧しくも美しい年下男性に夢中になる、地位も経済力もある中年女性を知的に演じています。

昭和を代表する作家としてワールドワイドに愛された三島ですが、晩年は政治的な傾向を見せ、昭和45年、45歳の時に自衛隊の市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げています。

昭和を駆け抜けた若き文豪は華麗で美しさを追求した作品を多数世に送り出しました。その熱気は褪せることなく映像作品で、演じる者たちよって体現され、今でも観る者にミシマ文学の魅力を伝えてくれています。

『美しい星』5月26日(金)、TOHOシネマズ 日本橋ほか全国ロードショー-(C)2017「美しい星」製作委員会

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼