『フリー・ファイヤー』

使われた銃弾は約6000発!“リアル銃撃戦”の真骨頂を見る『フリー・ファイヤー』

コラム

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文=皆川ちか/Avanti Press

CGやSFXの技術が極みに達した感のある現在の映画界では、どんなに荒唐無稽なアクションでも人間離れした動きでも、映像化が可能となった。それに伴いアクション映画のスケールはどこまでも大きくなり、ヒーローたちの能力もどんどん無限大に。今や銃弾を避けることはもちろん、殺されたのに何度も何度も生き返ることも、大して珍しくなくなってしまった。そんな、とどまることを知らないCGアクションのインフレ化に食傷気味の観客も多いだろう。むしろ今の時代では、敢えてノーCGなアクション映画の方が贅沢に感じられるのではないだろうか。

GWに公開される『フリー・ファイヤー』は、演者全員が文字どおり体を張って銃撃戦を繰り広げる、ほぼノーCG、リアルファイトによるガンアクション映画だ。舞台は1978年、アメリカのボストン。ある倉庫に2組のギャング合計10人が集い、銃の売買が行われる。簡単な取引のはずだったが、ある揉めごとが発覚して、交渉が突如決裂。深夜の廃工場で壮絶な銃撃戦がはじまる――。

全員が撃って撃って、撃ちまくる
泥臭さすら感じさせるガンファイト

『フリー・ファイヤー』

『ルーム』(2015年)でアカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソンも這いつくばって撃ちまくるっ!

ここからラストシーンまで、ワンシチュエーション&ノンストップで、登場人物たちのほぼ全員が撃って撃って、撃ちまくる。それもギャングという響きから想像するような、プロらしい整然とした銃さばきを見せるでもなし、あるいはスタイリッシュでキメキメな肉弾戦をするでもなし。

まるで赤塚不二夫のマンガに出てくる“目ン玉つながりのおまわりさん”のように、やたらめっぽう撃ちまくるのだ。しかも、胸や頭といった急所にはまずヒットしない。だいたい脚や肩、よくて脇腹をかすめるくらい。突っ立っていると真っ先に狙われるので、開始から数分後には全員が地べたに伏せて、以降、ほふく前進状態のまま、それでもひたすらに撃ち続ける。

態度がデカくて気に入らないと思っていたヤツを撃ったり(味方なのに!)、相手を間違えて撃ったり(10メートル位しか離れていないのに!)、自らを鼓舞するために麻薬を吸引したり(栄養ドリンクか!)。飛び交う銃弾の数こそ多いけれど、華麗でもクールでもない、どちらかといえば泥臭さすら感じさせるガンファイトは、言い換えれば、とってもリアル。

マーティン・スコセッシも太鼓判
綿密な考証によって生まれた銃撃戦

『フリー・ファイヤー』

それもそのはず。監督ベン・ウィートリーはこの作品を作るにあたり、FBIの銃撃事件報告書を読み漁り、人間は銃で撃たれてもそうあっさりとは死なないことや、弾道レポートの詳細を頭に叩き込んだという。そうした綿密な考証によって生まれた銃撃戦だからこそ、おマヌケすれすれのリアリティと臨場感、切羽詰まりすぎてもう笑うしかないブラックユーモアをも醸し出している。『ルーム』(2015年)でアカデミー賞主演女優賞に輝いたブリー・ラーソンや、『ダークナイト』シリーズでスケアクロウを演じたキリアン・マーフィーをはじめ、どこか70年代的な風貌で固めた俳優陣がまた、映画の雰囲気と絶妙に合っている。

そして製作総指揮をとっているのは、なんとマーティン・スコセッシ! キリスト教を題材にした『沈黙‐サイレンス‐』(2016年)が日本でも公開されたばかりだが、もともとはごりごりのバイオレンス映画の人である。『グッドフェローズ』(1990年)や『ディパーテッド』(2006年)など、本作と同じギャング映画も多く手がけてきた御大が脚本に惚れ込み、サポートを申し出たことも話題を呼んでいる。いわば、このジャンルの巨匠から太鼓判を押された作品とみなしていいだろう。

使用された銃弾は約6000発、そして99%のアクションは実写。CGによって補強された華々しいアクションではなく、あくまでもリアリティに基づいた、泥臭い、生々しい銃撃戦は、観ている者の体にまでズドン! と響いてくるようなカタルシスを与えてくれる。

『フリー・ファイヤー』
4月29日(土)より全国ロードショー
配給:REGENTS
(C) Rook Films Freefire Ltd/The British Film Institute/Channel Four Television Corporation 2016/Photo:Kerry Brown
記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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