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イタリア版「北斗の拳」は過激すぎる!?日本アニメが題材となったヨーロッパ映画

コラム

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“クール・ジャパン”“ジャパニメーション”といったムーブメントが、私たち日本人の考える以上に浸透しています。例えば『GODZILLA ゴジラ』(2014年)、『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年)など日本発の特撮・アニメのハリウッド・リメイク作品を見ると、そう強く感じます。ですが、近年はヨーロッパ映画界で“日本のアニメをリスペクトした作品”が相次いで製作されているのをご存知でしょうか? そのひとつが『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(5月20日公開)です。

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(5月20日公開)
イタリアで大ヒットしたロボットアニメをリスペクト

舞台は、テロや犯罪が頻発し人々が不安を抱えるローマ。郊外に住むゴロツキのエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)は川で溺れた際、放射性廃棄物入りのドラム缶に触れたことで超人的パワーを身に付けます。エンツォはその力をケチな犯罪に利用していたのですが、日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」(1975〜76年)の熱狂的ファンである女性・アレッシア(イレニア・パストレッリ)との出会い、そして犯罪組織との対峙を通して正義の心に目覚めていきます。

イタリア発の映画に、しかも実写になぜ日本のアニメのタイトルが?と驚く人も多いのではないでしょうか。そもそも「鋼鉄ジーグ」とは、「マジンガーZ」(1972〜74年)「デビルマン」(1972〜73年)で知られる永井豪原作のSFアニメで、サイボーグの主人公・司馬宙が巨大ロボットの頭部へとトランスフォーム、接合部分が磁石となったパーツと合体した“鋼鉄ジーグ”となって悪を倒す物語です。当時、日本では大人気となり、アニメ同様に、頭、胴体、手、脚が磁石で分離合体できる超合金も大ヒットとなりました。

この作品がイタリアへ輸入されるや大人気となり、主題歌「鋼鉄ジーグのうた」も大ヒット。数多くの歌手やバンドからカバーされ、自動車会社ルノーが水木一郎の歌う日本版のオリジナル主題歌を現地のCMに採用したほど。映画でも同曲をバラード調にした歌がエンディングに流れ、監督ガブリエーレ・マイネッティの“ジーグ愛”を感じてやみません。

『マジカル・ガール』(2014年)
魔法少女アニメを彷彿とさせる、サスペンスフルなスペイン映画

この他にも、ヨーロッパには日本製アニメの文化を色濃く反映した映画があります。スペインの新鋭カルロス・ベルムト監督の『マジカル・ガール』は、劇中に登場する“日本の少女向けアニメ”が物語の鍵となっています。 白血病で余命わずかな13歳の愛娘アリシア(ルシア・ポシャン)の父親ルイス(ルイス・ベルメホ)。日本のアニメ「魔法少女ユキコ」のヒロインと同じコスチュームを着たいという娘の願いを叶えようとする彼の行動が、思いもよらぬ事態を引き起こしていくさまがダークかつサスペンスフルなタッチで描破されていきます。

「魔法少女ユキコ」は架空のアニメですが、髪の色はブルー、フリル全開のコスチューム、手に持った魔法のスティックといったユキコの姿は、日本で放送から30年を経ても根強い人気の「魔法のプリンセスミンキーモモ」(1982〜83年、1991〜92年)「魔法の天使クリィミーマミ」(1983〜84年)など魔法少女アニメを彷彿させます。

スペインでも「ドラゴンボール」「聖闘士星矢」などが大人気だったそうで、ベルムト監督も日本のポップ・カルチャーにどっぷりと浸かった世代。ただし、むやみやたらに日本製アニメをフィーチャーするのではなく、あくまで物語の背景として自然に用いるあたりに、彼のなかでそうしたカルチャーが染み込んでいるのがしっかりと伝わってきます。

『アダム・チャップリン』(2011年)
ド直球に「北斗の拳」を再現

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』『マジカル・ガール』は間接的リスペクトで描かれていますが、ド直球に日本のアニメの描写を再現した作品がイタリアの異才エマヌエーレ・デ・サンティによる『アダム・チャップリン』です。街を支配する悪人に愛する妻を惨殺された男アダム(エマヌエーレ・デ・サンティ)が、悪魔から超人的肉体とパワーを授かって壮絶なリベンジに挑むバイオレンス作品です。

注目なのは、そのバトルと人体破損描写が「北斗の拳」(1984年〜)そのままといってもいいところ! “北斗百裂拳”とばかりに凄まじいスピードで何十発というパンチを敵に打ち込むアダム、それを喰らった相手は「ひでぶっ!!」「あべし!!」と悲鳴をあげないものの徹底的に肉体を破壊され、どう考えても「北斗の拳」の影響大です。あまりの凄惨さに目を覆いたくなるシーンもありますが、あの世界観を実写で蘇らせようとするサンティ監督の情熱には胸を打たれるものがあります。

間接的にしろ、直接的にしろ、ジャパニーズ・カルチャーをリスペクト、フィーチャーした海外の作品と向き合うと、日本人としては不思議な気持ちにもなりますが、やはり自国で作られた作品が海外の文化として根付いているのは嬉しいものですね。今回挙げた作品の監督たちはこれからの映画界を牽引していく世代ゆえに、今後もこういった作品を放ち続け、さらなるフォロワーを生み出していくことでしょう。

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(c)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. – Rome, Italy. All rights -

(文/星メテオ・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼

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