柳ゆり菜(右)(C)2017映画「ヴァンパイア ナイト」製作委員会

綾瀬はるか、倉科カナ、柳ゆり菜…“グラドル”が本格派女優になるまで

コラム

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5月6日公開のホラー・サスペンスアクション『ヴァンパイア ナイト』。主演の柳ゆり菜は、『うわこい』(2014年)以来、実に3年ぶりの主演映画作品となった。

柳ゆり菜といえばグラビアアイドル(以下グラドル)界では知る人ぞ知る存在。世間では2014年のNHK連続ドラマ「マッサン」で、「太陽ワイン」のポスター撮影の際に半裸になったことが話題となった。

柳のようにドラマや映画への出演を重ねたグラドルの中には、現在は本格派女優として活躍している人も少なくない。彼女たちは、その過程で一体どんな挑戦を積み重ねてきたのだろうか?

綾瀬はるかという奇跡

今や国民的女優といっても過言ではない綾瀬はるか。彼女もれっきとしたグラドル出身である。2009年に主演した『おっぱいバレー』では、そのタイトルに彼女の健康美の披露を期待した男性ファンも多かったのではないだろうか?

綾瀬はテレビドラマの脇役から女優としての活動をスタートさせ、2007年の「ホタルノヒカリ」で連続ドラマに初主演。その後は「MR.BRAIN」(2009年)では木村拓哉と、「JIN-仁-」(2009年)では大沢たかおと、大物俳優の相手役として立て続けに抜擢され、知名度を上げている。

中でも、彼女の人気を不動のものとしたのは、NHK大河ドラマ「八重の桜」(2013年)での主演抜擢。福島県が舞台の時代劇で、全編にネイティブな会津弁の台詞を求められたわけだが、地元県民も納得のイントネーションで演じきり、ストーリーにリアリティーを与えた。おっとりとした女性らしいキャラクターを演じる綾瀬が、戦場で兵を従えて真剣に戦う姿は、そのギャップから視聴者をストーリーへと引き込んでいる。

「八重の桜」で主演を務めたのを機に、綾瀬は幅広い年齢層に認知されることになる。2015年には綾瀬をはじめ、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずといった旬の女優達のキャスティングで話題になった『海街diary』(2015年)に3姉妹の長女役で出演。同作は第39回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。

綾瀬の場合、バラエティ番組でも活躍出来るタレント性をもち合わせており、同性にも好かれるおっとりしたオーラも人気の要因になっている。現在ではグラビアをやっていたというイメージはすっかり払拭されているのも、綾瀬の凄みだ。

努力と下積みで実力派女優の名を勝ちとった倉科カナ

倉科カナもまたグラドル出身で、かつてその筋では「ミスマガジン2006」でグランプリに輝くほどの人気の持ち主だった。

グラビアの傍らバラエティ番組でMCなどの活動を経て、2009年にNHK連続テレビ小説「ウェルかめ」の主役に抜擢。同番組枠のオーディションを過去に4度も受けており、念願がかなっての出演となった。この倉科の諦めない努力の姿勢が、彼女の演じた試練を乗り越え夢を目指す雑誌編集者役と重なり、ストーリーに深みを加えている。

この作品によって倉科のキュートなキャラクターと演技力は高く評価され、男性グラビアファンだけでなく多くの同性の支持も得ることになった。グラビアの登竜門である「ミスマガジン」出身者によるNHK連続テレビ小説の主演は、斉藤由貴以来23年ぶりであり、倉科はグラドル界に大きな錦を飾っている。

その後もコンスタントに話題作に出演。「カインとアベル」(2016年)ではHey!Say!JUMPの山田涼介と共演し、年下男性から想いを寄せられる年上女性役を担当。2017年のテレビ朝日ドラマ「奪い愛、冬」では、三浦翔平とのドロ沼愛を演じて大きな話題となった。こうした年齢を重ねてから求められる役回りを見事に演じきれるのも、倉科の女優としてのポテンシャルの高さといえるだろう。

そんな倉科だが、実は映画のフィールドではまだ主演やヒット作に恵まれていない。ドラマでの演技力が評価されているだけに、今後話題作への抜擢に期待したいところだ。

現役グラドルが俳優として求められるもの

現役グラドルが映画へ出演となると、やはり日本映画の伝統ともいうべき“体当たり演技”への期待度は、ゴシップ誌ネタで賑わうように男性目線では否めないところだ。グラビアという水着一枚で生業を立てる彼女達のフィールドから“脱皮”する姿は、時に社会現象にもなっている。

過去のグラドル出身者の好演例でいうと、高岡早紀が『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994年)で怪談という古典的な世界を健康美で彩り話題となった。

一方、『完全なる飼育』(1999年)では小島聖が、『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』(2010年)では佐藤寛子が、個性派俳優・竹中直人との共演でグラドルファンの期待を裏切らない大胆なシーンを演じきっている。いずれも犯罪心理を扱った退廃的なネオ・ノワール作品で、ヌードも芸術的な表現で描写。女優としてサスペンシーで鬼気迫る演技がそれぞれ評価され、日本映画史に大きな爪痕を残した。

最近では、柳ゆり菜をはじめ、中村静香や吉岡里帆など、テレビドラマでの演技力が評価される女優も現れている。映画という特別なフィールドにおいて彼女達に付きまとう“元グラドル”という刻印。そこでは俳優としての実力が試されるだけに、『ヴァンパイア ナイト』における柳ゆり菜の演技に、ぜひ注目してもらいたい。

(文/村山琢也@H14)

記事制作 : H14

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