文=増當竜也/Avanti Press

今更ながらに、昨今のCG映像技術の発展には目を見張るものがあるが、そのことを改めて強く意識せざるを得ないほど優れたCGアニメーション映画が5月にお目見えする。

3DCGセル・ルックによる照明効果で
迫力のバトルシーンを得た『BLAME!』

『BLAME!』

『BLAME!』
5月20日(土)より全国公開(2週間限定)
配給:クロックワークス(105分)
(c)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

まずは5月20日に公開される『BLAME!(ブラム)』。これは『シドニアの騎士』で知られる弐瓶勉の同名デビュー・コミックが原作で、本作では弐瓶自らが総監修したオリジナル・エピソードを披露している。テクノロジーの暴走によって、人類が“違法居住者”として機械に駆逐されていく未来社会を舞台に、世界を正常化する鍵と言われる“ネット端末遺伝子”の探索者・霧亥(キリイ)の旅と戦いを描く。

本作は3DCGセル・ルックで制作されているのが特徴だ。3DCGセル・ルックとは、CG技術を駆使してセル画で描かれたアニメのような肌触りを持つ映像を具現化したもの。ディズニーをはじめとする海外アニメの多くがリアルな3DCGアニメへ転換して久しい。しかし、日本は2Dのセル・アニメのタッチにこだわり、3DCGならではのキャラクターなどの膨らみを持たせつつ、いかに違和感なく手描きの味わいを再現するかに腐心してきた――最近はようやくアメリカでも、現地のジャパン・アニメ・フリークが作った3DCGセルルック作品『RWBY』シリーズがYouTubeで発表されて話題を集め、日本では劇場公開されている。

これまでに『009 RE:CYBORG』や『劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』2部作、『楽園追放』『ねむれ思い子 空のしとねに』など、優れた3DCGセルルックの映画作品が続々登場。さらにTVアニメ「シドニアの騎士」や「亜人」もこのシステムを導入して多大な成果を収めた。このTVアニメ2作品を制作したのがポリゴン・ピクチュアズであり、彼らがさらなる意欲と野心を持って挑んだのが、この『BLAME!』だったのだ。

『BLAME!』
(c)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

本作を見て驚かされるのが、画面構図の中でどこから光が差し、どこが明るく暗くなるかといった実写映画さながらの照明効果がもたらされていることだ。これによって画の陰影はもとよりバトル・シーンのダイナミズムなども増大。またキャラクターの動きなどもかつてのTVゲーム映像のようなぎこちないCG臭さはかなり解消されており、手書きアニメと見分けがつかないカットも多数。正直なところ途中からこれがCGアニメであることすら忘れて作品に熱中することができた。これは瀬下寛之監督がもともと『河童』『大日本人』など実写作品のCGクリエイトを多数手がけてきている才人であることとも無縁ではないだろう。さらに今後は、今年11月に公開されるゴジラシリーズ初のアニメーション映画『GODZILLA』を静野孔文と共同で監督することも明らかになっている。全体の雰囲気もどこかしらマカロニウエスタン的な乾いた抒情が漂っており、なかなかの映画マニアであると見た。

リアルタッチでさらに磨かれた怖さとアクション
『バイオハザード:ヴェンデッタ』

『バイオハザード:ヴェンデッタ』

『バイオハザード:ヴェンデッタ』
5月27日公開 配給:KADOKAWA
(c) CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

一方、実写さながらのリアル・タッチで描かれる3DCG作品は、5月27日公開『バイオハザード:ヴェンデッタ』を強くお勧めしたい。ご存知世界的に大ヒットしたホラー・サバイバル・ゲームを基に繰り広げられるフルCG長編アニメ映画シリーズの第3弾だ。第1作『バイオハザード ディジェネレーション』(2008年)、第2作『バイオハザード ダムネーション』(2012年)と回を重ねるごとに技術は進化し、キャラクターにしてもアップはともかく少し引いた画になると、もう実写と見分けがつかないほどだ。

また、今回は『呪怨』シリーズの清水崇監督を製作総指揮に迎えていることもあってか、従来のものよりもかなり怖く惨酷で、特に前半は初めてゲームをプレイしたときのようなドキドキ感が蘇ったほど(ゾンビが画面の奥から前面に飛び出してくる強烈な演出の連打!)。さらにそこに『THE NEXT GENERATION パトレイバー』シリーズの辻本貴則監督ならではの実写アクション感覚が加味され、中盤から後半にかけてのアクション・シーンの見せ場は、実写版シリーズに勝るとも劣らないクオリティ(というか、面白さで言えば、断然こちらが勝っていると個人的には思う)。

日進月歩のCG技術の進歩と、それを扱うクリエイターのセンスと意欲の向上。双方の要素が合わさってこその、今回のハイ・クオリテイ映像構築が果敢になされているのだと思う。特に今回は実写畑の面々を迎えたことが、大いに功を奏している。日本国内でアニメーションが初めて製作されてから今年で100周年。正直、これから日本のアニメはどれだけ躍進していくのか、少なくとも世界トップクラスを保持することだけは確実な、そんな勢いを、今、感じられてならないのである。