映画『たたら侍』5月20日より、新宿バルト9、TOHOシネマズ新宿ほか全国公開

『たたら侍』青柳翔インタビュー

インタビュー

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刀を抜かない侍の美学

EXILE HIRO が映画初プロデュースを手がけた本格時代劇『たたら侍』で主演を務めた青柳翔。戦国時代の奥出雲の村で育ち、過酷な経験を経て成長していく青年を熱演した彼が、作品に対する思いを熱く語った。

こだわり抜いた映像美

Q:青柳さんも出演された『HiGH&LOW』シリーズとは全く違う世界観の本格時代劇。しかも主役ということで、プレッシャーはありませんでしたか?

プレッシャーはありました。HIROさんをはじめとするLDHの先輩方、津川雅彦さん、奈良岡朋子さん、笹野高史さん、でんでんさんなどの本当に多くの方が協力してくださった中での主演だったので、緊張も責任も感じました。舞台では時代劇の経験がありましたが、映像では初めてだったので、やりがいもあるとも思いました。錦織(良成)監督とは『渾身 KON-SHIN』という映画でご一緒しまして、その作品がモントリオール世界映画祭に出品されたあとに、「またモントリオールに作品を持っていきたいのだけど、『たたら侍』という話があってね……」と話してくださったんです。時代劇だと海外の方に関心を持っていただきやすいのでは、という思いもあったのかもしれません。

Q:日本文化をアピールする機会になりますね。

僕自身、“たたら” (名刀を生み出す鉄“玉鋼”を作る製鉄技術)というものについて、この作品がきっかけで知ったのですが、日本人の僕らでさえあまり知らない伝承技術を、国内外の人に知ってもらえたらいいと思いました。

Q:そして本作は、第40回モントリオール世界映画祭で最優秀芸術賞を受賞しました。

賞をいただけて本当にうれしいです。守るべき伝統とか相手を思いやる気持ちなど、日本の美しい心を評価してもらえたような気がします。本当に、監督をはじめスタッフが一丸となって作った作品です。このような映画に関われる機会は、そうないだろうと思っています。

Q:どのカットも非常に美しいですね。

景色、現象、天候、すべてにこだわって、ワンシーンワンシーンを丁寧に大切に撮ってもらいました。僕らが撮影現場の出雲に入る前に、何か月もかけてオープンセットが作られました。例えば、建物を作る際、戦国時代のように釘を使っていないそうです。そこまでこだわったセットだからこそ、気持ちも入りやすかったです。協力してくださった皆さんには本当に感謝しています。

力合わせたEXILE魂

Q:大切なものを守るために侍を目指したけれど、人は斬らない“たたら吹き”の伍介という、既存の時代劇とは異なる侍像が新鮮でした。

伍介は物語上、誰も斬っていないんです。彼の生業であるたたら吹きは神聖な職業なので、人を斬ってはいけないという強い思いがあります。監督も、「刀を抜かない美学を表現できたらいい」とおっしゃっていました。劇中に「憎しみの連鎖を断ち切る」といった意味合いの言葉が出てくるんですが、それこそがこの作品の大事なテーマのひとつです。

Q:一方、戦国武将・尼子真之介役のAKIRA (EXILE)さんや、伍介の幼馴染・新平役の小林直己(EXILE、三代目 J Soul Brothers from EXILE)さんは、迫真の殺陣アクションが印象的でした。

そうですね。特に直己さんの殺陣シーンが本当に過酷でした。10トンくらいの水を使った豪雨の中、しかも暗い中でのアクションでしたから、すごく大変そうでした。僕はAKIRAさんや直己さんほどアクションが多くなかったですが、木刀の稽古をしているシーンが多かったので、アクション監督と相談して型を教えていただきながら演じました。

Q:共演者の皆さんとは、撮影現場で芝居について話し合われたりしたんですか?

AKIRAさんと直己さんとは、撮影が終わったあとに食事に行って、シーンについて話し合うこともありました。おいしい居酒屋さんとか寿司屋さんにご一緒させていただきました。

撮影現場での失敗談

Q:若さゆえの情熱と無防備さを持つ伍介を演じて、いかがでしたか?

生きている時代が違うし死というものとの近さが違うので、難しい部分がありました。いわゆるスーパーヒーローではなく、失敗して挫折して、周りの人を傷つけてしまって、そこから一歩を踏み出す男です。難しいと同時にやりがいのある役でした。

Q青柳さんご自身も、撮影現場で失敗したと思ったことはありました?

作品を撮っていると、自分の思いが強くなってしまうときがあるんです。僕だけではなく、監督もカメラマンさんもほかのスタッフにも強い思いがありますから、演技や動きについて話しているときに、「あ、今の言い方、失敗したかな」と感じたことがありました。「誤解されちゃったかも?」っていう(苦笑)。でも、みんなが意見を言い合ってアドバイスもいただけて、本当にチームワークの良い撮影現場でした。

Q: 映画前半の伍介のように将来を模索中の人たちもいると思います。

たたら吹きの伍介は、自分や村の未来のために村から出ていく決意をします。あの当時の村は閉鎖的ですし、情報の入ってこない状況で故郷を出るというのは、相当勇気がいることだったのではないかと思うんです。それでも夢に向かって進んでいく。そこが伍介の魅力的なところです。失敗はしますし、脆い部分もありますが、挫折してもそこから一歩立ち上がる勇気を持っている。そんな彼の強さから、何かを感じていただけたらうれしいです。

スタイリスト/松川総(TRON) ヘアメイク/鵜飼雄輔(TRON)

取材・文: 斉藤由紀子 写真: 金井尭子

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)