三池崇史監督、杉咲花、木村拓哉らが出席した『無限の住人』の記者会見

木村拓哉、カンヌの“洗礼”受ける 三池崇史監督の活劇として大受け『無限の住人』

コラム

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文=まつかわゆま/Avanti Press

5月17日から始まった第70回カンヌ映画祭アウト・オブ・コンペティション部門で公式上映された、三池崇史監督、木村拓哉主演の『無限の住人』。上映が行われたメイン会場リュミエール劇場の観客の反応はすさまじかった。会場前の熱狂ぶりもすごかったが、レッドカーペットを歩いた三池監督、木村、杉崎花が会場ロビーに到着するや、会場を埋めた観客は立ち上がり、歓声と拍手、指笛で三人の入場を歓迎した。

監督、出演者らの登場に湧く観客

その興奮は上映が進むごとに増した。主人公・万次(木村)が“百人斬り”と呼ばれるきっかけとなる、異形の武装集団との激闘シーンには歓声があがり、その後、繰り返されるアクションシーンの度に、観客たちはどよめく。「おおおぉっ~」という声を本当に出しながら。そして、拍手、拍手、拍手。まさに興奮が渦を巻く、という感じだ。

興奮のクライマックスは、万次のもとを離れ、ひとり仇討ちに挑もうとした凜(杉咲)が、絶体絶命の危機に陥り、もうこれまでか、と思われたまさにそのとき、万次が廃屋の屋根に仁王立ちで現れるシーンでやってきた。「うおおおぉぉーっ!!」という歓声と拍手、ピーピーと指笛が、ぐわっと会場を包み込む。活劇の醍醐味、ヒーローによる救出である。間に合った! よかったー! さぁ、あいつらをさっぱりと殺っちゃってくれ! というシーンだ。

記者会見で木村は、この歓声について「隣で見ていた監督が、ぼそっと“そうなるでしょう”とつぶやいた」ことを明かす。監督にしてみれば“してやったり”ということだが、「日本では映画館でも他の人の迷惑にならないよう静かにしましょうと言われて育っているから、こういう反応はしないでしょう。でも、これが本当だろうって思いましたね」と木村。「スクリーンと観客席がコミュニケーションを取っているという感じ。一方通行じゃない。映画は完成がゴールだと思っていたけれど、そうじゃなかった。観客がゴールなんですよね。これ、舞台挨拶で市原(隼人)が言ってたんだけれど、カンヌでお客さんと一緒に見て、ああ、こういうことかと思いました」

『無限の住人』が上映されたメイン会場リュミエール劇場

三池監督曰く、「ここを楽しむだろうと作ったところがきっちり受けたので勇気づけられます。ここのお客さんは自分の映画の見方を持っていて表現するんですよ。しかも、それが物語だけじゃなくて、キャラクターや武器などの道具とかにもいちいち受ける。時代劇は現代劇よりも想像の幅を広くすることもできるので、スタッフもいろいろ考えて来る。それが受け入れられるので、彼等も報われたなと思えます。カメラにしても、カメラマンはずっと一緒にやってきて、レンズを通して自分が演出した世界を描いてくるのでそれが受けていると、やったぜキタ(カメラマンの北信康)と思う。うちのスタッフはそういうやつばかりなんですよ」

キャラクターを作るのは役者、武器を作るのは小道具、映像を作るのはカメラマン、セットを作る大道具などなど、映画は監督一人で作るものではない。スタッフの仕事をまとめ上げるのが監督の仕事だということを三池組は大切にする。そしてカンヌの観客はそんなスタッフの仕事一つ一つに対して“受け”たのだ。

ドレスもかわいい杉咲花

「今回ここに来られたのは、監督と僕と杉咲花ちゃんだけだけれど、気持ちはスタッフとキャストみんなでこの瞬間を共有しているつもりでレッドカーペットを歩きました。上映後に思ったのは、ここに来られなかったスタッフやキャストの一人一人の仕事が讃えられたって満足感です。僕はその三池組の一人であることが誇らしい。呼んでもらえて光栄です。この時期にこの作品に三池監督に出会えたのは運命じゃないかと思いますね」と木村は言い切る。日本で運営されているウェブサイトで木村拓哉の写真を見ることはないが、カンヌ映画祭の公式サイトには“運命の作品”に出会えて嬉しそうな木村の写真がアップロードされている。

記者会見に臨む三池崇史監督

「今回は木村拓哉が万次を演じるのが重要でした。そうじゃなかったらやらなかったかもしれない」と三池監督。

「なんと言っても20年以上、とてつもない人数の観客を前にライブをやってスターであり続けてきた人ですからね。すごいエネルギーなんですよ。映画俳優はカメラに対して“気”を放ちますが、舞台やライブは自分に向かってくる何千という観客の“気”と対決しなくちゃいけない。それを25年ですからね。すごいですよ。台詞一行一文字の違いにいろいろ興味を持って作ってくる人なんでこちらも楽しかったですね。いや、楽しいというより、木村拓哉と対決する、木村拓哉につまらねぇなと思う瞬間を与えない現場を作ってやろうという感じでしたね」と木村を絶賛。このコンビでまた、と期待が膨らむカンヌの夜であった。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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