製作会社Plan BのCEOとして来日したブラッド・ピット 撮影=伊藤さゆ

『ムーンライト』もPlan Bが製作!ブラピの映画会社がアカデミー賞を連発するわけ

コラム

  • twitter
  • facebook
  • はてなブログ
  • google+
  • LINEで送る

文=新田理恵/Avanti Press

テーマが難しくても、ノースターでも 
製作資金を難なく集める凄腕製作会社 Plan B

ハリウッドには、俳優であると同時に、プロデューサーとして優れた映画を世に送り出しているスターたちがいます。今年のアカデミー賞を賑わせた作品だけでも、『マンチェスター・バイ・ザイ・シー』(公開中)はマット・デイモンがプロデューサーを、『フェンス』(6月7日ブルーレイ&DVD発売)は主演のデンゼル・ワシントンがプロデューサー・監督を務めました。

アカデミー賞作品賞に輝いたPlan B製作の『ムーンライト』
(C)2016 A24 Distribution, LLC

そして、作品賞に輝いた『ムーンライト』をプロデュースしたのは、ブラッド・ピット率いる製作会社 Plan B エンターテインメントです。主人公は黒人のゲイの少年で、主演俳優は無名というこの低予算映画を、見事栄光に導いたのが同社でした。

Plan Bのプロデュース作品 がオスカーで作品賞を獲得するのは、2006年『ディパーテッド』、2013年『それでも夜は明ける』に続き、実は『ムーンライト』で3作目です。

受賞は逃しましたが、作品賞にノミネートされた作品も見てみましょう。

2015年『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(脚色賞受賞)
2014年『グローリー/明日への行進』(主題歌賞受賞)
2011年『ツリー・オブ・ライフ』

作品賞ではありませんが、2007年『ジェシー・ジェームズの暗殺』も助演男優賞と撮影賞にノミネートされています。

ご覧のように、Plan B作品は2011年以降、ほぼオスカーの常連です。しかも、人種差別を扱った『それでも夜は明ける』や『グローリー~』、リーマンショックを背景にした『マネー・ショート』など社会派作品が並んでいるのも特徴的。『ツリー・オブ・ライフ』は、2011年カンヌ映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞。哲学的で難解な内容から観客や批評家の賛否は真っ二つでしたが、それが却って話題になった作品でもありました。

集客できるスターが出ていなくても、難しいテーマを扱っていても、資金を集め、映画として成立させる。Plan Bは、なぜこのようなチャレンジを続け、オスカーを獲る映画を連発することができるのか? 先頃来日を果たしたブラッド・ピットの記者会見で、そのヒントをうかがい知ることができました。

ポイントはPlan Bが心からやりたい作品かどうか

主演・プロデューサーを務めるオンラインストリーミング配信Netflixのオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』(26日からNetflix独占配信)のPRのため、ブラッド・ピットが2年半ぶりに来日。本作のデイヴィッド・ミショッド監督、ピットとともにプロデューサーを務めたPlan Bのデデ・ガードナー社長、ジェレミー・クライナー共同社長とともに、東京都内で記者会見に臨みました。

ジェレミー・クライナー、デイヴィッド・ミショッド監督、ブラッド・ピット、デデ・ガードナー
撮影=伊藤さゆ

Plan Bはもともと、後にパラマウント・ピクチャーズの社長になるブラッド・グレイ、元妻で女優のジェニファー・アニストンとピットが2001年に共同設立した会社。しかし、アニストンと離婚し、グレイがパラマウントに移って以降、ピットが単独でCEOを務めています。その後参画したデデ・ガードナーとジェレミー・クライナーが、現在は共同社長のポジションに就いているという形です。

アンジェリーナ・ジョリーとの離婚協議中で、来日前には「激ヤセした」との報道もありましたが、長く一緒に映画作りをしている仲間との登壇とあってか、終始和やかで53歳とは思えない少年のような笑顔を振りまいていたピット。会見の終わりには、「一緒に東京に何度も来てくれている」と当日が誕生日だという舞台袖に居た随行スタッフを紹介し、拍手を送る一幕もありました。

Plan Bの屋台骨として、オスカー受賞作を連投してきたピット、ガードナー、クライナーの3人。会見で、「作品選びにおいて最も大事にしているのはストーリー」だと語ったのはガードナー。「我々が心からやりたいと思えるかどうか、この世界を反映できているかどうか。また、オリジナルであり、何かを物語っているかどうかが重要。賞の受賞や観客動員はボーナスです」。

さらに、クライナーも「場合によっては、私たちのほうから後押しし、製作が困難だったり、陽の目を見ない難しい作品でも、その物語を書いた著者の視点や意図が伝わるように、ちゃんと土台作りをします」と補足。実際、『ムーンライト』は、人種問題、貧困、LGBT……と、大手映画会社なら尻込みをするような要素がそろった作品ですが、脚本が持つメッセージの価値を見逃さず、製作に乗り出したPlan Bの確かな目が成功に導いた好例です。

2人にはさまれたピットは「私が会社の“顔”にされていますが、本当のヘヴィリフティングな部分の仕事は彼らがやってくれている」と謙遜していましたが、出資や話題性に結びつく「大スター ブラッド・ピット」のネームバリューも計り知れません。「この3人のうち1人でも抜けたらうまく機能しない」。そう語ったピットの言葉は、まさにその通りでしょう。

チャレンジングな作品『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』

『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』は、アフガニスタン駐留米軍を率いる将軍をピットが演じる戦争映画にエンタテインメントの要素を加えた野心作です。昨今の大手スタジオが、確実に収益が見込めるヒット作の続編や前日譚、ヒーローものばかりに手を出すなか、チャレンジングな作品づくりをサポートしているのがNetflixの特徴だと言えます。

Netflixオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』5月26日全世界同時配信

「Netflixと組まなかったら、『ウォー・マシーン』はたぶん作られなかった」と会見で語ったピット。「このような作品づくりは、現在のハリウッドの映画スタジオでは難しい。ストリーミング配信が伸びているのは、コンテンツが良いから。リスクを負って良いストーリーを世に出し、フィルムメーカーたちにチャンスを与えていると思います」。

Plan Bは、開催中のカンヌ映画祭に出品されている韓国のポン・ジュノ監督最新作『オクジャ/okja』(6月28日配信開始)やハリウッド版『DEATH NOTE』(8月25日配信開始)もNetflixとタッグを組んで製作。その一方で、『ワールド・ウォー Z』の続編製作も進めるなど、従来型の映画館上映を目指す作品作りも変わらず行っていくそうです。「作品ごとにふさわしい形でお届けする」とクライナー社長。優れたコンテンツ選びと確かな戦略で、同社はこれからも良作を連発しそうな予感がします。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

関連映画

マイシアターとは?
お気に入りの映画館を「マイシアター」に設定しておくと、上映中の作品やスケジュールがかんたんに確認できるようになります。
マイシアターは2つまで設定できます。