大ヒット公開中『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン) (C)Marvel Studios 2017

あの曲が知りたい!! 大ヒット『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: リミックス』を“守る”70年代の名曲たち

コラム

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文=赤尾美香/Avanti Press

劇中に流れる70年代の名曲、そのすべて意味がある

銀河を救うのは、はみ出し者のヒーローたち(=ガーディアンズ:本来の意味は守護神)と音楽だ!!

2014年に公開された『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に続き、現在日本公開中の続編『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』も大ヒット中。そして、これまた前作同様、いや、前作以上にガーディアンズにとって重要なアイテムとなっているのが音楽なのだ。

1作目の冒頭で、主人公の“スター・ロード”ことピーター・クイル(クリス・プラット)が少年時代に地球から連れ去られる時に持っていた1本のカセットテープ。それは、ピーターの亡き母が好きだった音楽が詰まっている、いわばお好みテープ(今でいうならマイ・プレイリスト)で、タイトルは「Awesome Mix Vol.1」。Awesomeは、超イケてるってこと。デイヴィッド・ボウイやジャクソン5から、70年代に下着姿でセンセーションを巻き起こした女性パンク・バンドのランナウェイズまで、「お母さん、なかなかやりますな」と言いたくなる痛快な選曲だった。その形見のテープをピーターがソニー製のウォークマンで聴いているのも、一定世代の郷愁を誘う。

そして今作。テープのタイトルは『Awesome Mix Vol.2』となり(前作のラストで登場)、ピーターだけでなく仲間たちもまた音楽と共に闘い、困難を乗り越えていく。あの場面で流れていた印象的なメロディは、一体誰の曲なのか? そして、その曲が選ばれた理由とは? ここでは映画をご覧になった方のため、各曲に託された製作者の思いを探ってみようと思う。

ELOで踊るめちゃキュートなベイビー・グルート

まず公開前の予告編で気分を上げてくれたのは、ポップでグラマラスなハード・ロック・バンド、スウィートの「フォックス・オン・ザ・ラン」(1975年)。頭にこびりつくキャッチーなサビを持つメロディをヘヴィに料理したサウンドが、テンポのよいこのスペース・オペラにマッチしていた。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(C)Marvel Studios 2017

本編オープニングのつかみは、ポップの魔術師、ジェフ・リン率いるELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の「ミスター・ブルー・スカイ」(1977年)。曲に合わせて踊るベイビー・グルート(ガーディアンズのメンバーの樹木種族)のめちゃキュートな姿に、背後の熾烈な闘いも霞んでしまう。が、それだけではない。この歌詞、ピーターと、彼の育ての父ヨンドゥの関係に言及しているとも取れるのだ。それこそが本作の重要テーマの一つであることを思うと、粋な計らいではないか。ちなみにこの曲、少し前に車のテレビCMでも使用されていたから、耳になじみのある人もいただろう。

名曲「ブランディー」の向こうに浮かぶ、父と母の切ない恋

ピーターの母メレディスと父エゴの関係を映したような「ブランディー」(1972年)は、本編中、何度か流れる。演奏しているルッキング・グラスは、60年代後半に結成されたハード・ロック・バンドだが、本来の持ち味とは違う、この甘酸っぱい曲がヒットしてしまったせいで、その後の活動が難しくなったとか。港町で働く少女と、決してそこにはとどまらない海の男の物語。劇中のエゴもまたメレディスを残して地球を去り、2度と戻っては来なかった。

同じく何度か繰り返し流れるフリートウッド・マックの「ザ・チェイン」。77年にリリースされ、全米チャート連続31週ナンバー1に輝いた歴史的名盤『噂』に収録されている曲だ。別れた恋人への、鎖のように切れない思いを歌った曲だが、本作では、家族や仲間の強い絆を、この曲に託している。

“宇宙最凶アライグマ”ロケットの、意外なキャラクター

“宇宙最凶のアライグマ”ことロケット(声はブラッドリー・クーパー)が、壊れた宇宙船修復のために森の中に残された時に聴いているのは、60〜70年代にTV番組の司会などでも活躍したカントリー歌手、グレン・キャンベルによる「サザン・ナイツ」(1977年)。ロケットは南部出身だったか、と思ったら……なるほどこの曲、幼い頃の思い出と共に、「♪できることならこの世界の戦いを止めたい」と歌われているではないか! 意外や志の高いロケットだった!?

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(C)Marvel Studios 2017

ピーターと仲間たちが父エゴの惑星を訪れたるシーンでは、ジョージ・ハリスン(ビートルズ)の「マイ・スウィート・ロード」が。ロードとは神のこと。当時ヒンドゥー教を崇拝していたジョージは、ヒンドゥーの神様“クリシュナ”に向け自身の信仰心を歌った。この場面にこの曲を流すことで、エゴの正体を暗示させているのが心憎い。

実父エゴと、育ての父ヨンドゥ、それぞれとピーターとの関係は、本作における大きなテーマの一つ。それを象徴するのがイギリス出身のシンガー・ソングライター、キャット・スティーヴンスの「父と子」(1971年)だ。反抗期の息子と父の会話で構成されたこの曲が、ヨンドゥからピーターに贈られたプレイヤーから流れてきた時、私は不覚にも泣いてしまった。凶暴なアライグマや緑色のセクシー宇宙人が出ている映画で泣くなんて!!

ノスタルジーに溺れない、J.ガン監督の音楽遣いに脱帽

本作撮影中、ジェームズ・ガン監督は俳優たち全員にイヤホンを渡し、シーンで流れる曲を聴かせることがあったそうだ。「私たちみんなが音楽で繋がれた」と、新キャラ、触覚美女マンティス役のポム・クレメンティエフは語っている。往年のヒット曲を安直に流すだけの映画は、ともすればダサくなりがちだ。けれど、ヒット曲と同時代を生きた者のノスタルジーを喚起しつつ、現代にも通用するセンスに尊敬を払いながら、どんな世代の観客も「かっこいい!!」と興奮させる監督の音楽起用術にも脱帽だ。

最高の音楽で繋がったガーディアンズが、銀河を救えないわけがないじゃないか!!

オリジナル・サウンドトラック『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス オーサム・ミックス VOL.2』ユニバーサルミュージックより発売中(UICH-1007)

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)