俳優が演技をする上で、役作りは避けて通れないプロセス。敢えて作り込まず、自分に似た役を演じる人もいれば、顔や体まで改造して、別人にトランスフォームしてしまう人も! ここでは、俳優たちの激アツな熱演に注目したい新作映画をご紹介します。

セクシー俳優が、ハゲ散らかして熱演!『ゴールド/金塊の行方』

ピープル誌でもっともセクシーな男のタイトルを獲得したり、サンドラ・ブロックやペネロペ・クルスら、共演したセクシーな女優たちと次々に浮名を流したりと、かつてはゴシップ誌の常連だったマシュー・マコノヒー。映画『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞して以降は、演技派のイメージがしっかりと定着しています。そんな彼の大熱演を拝めるのが、『ゴールド/金塊の行方』。本作のモチーフとなったのは、株式市場に大混乱をもたらした「Bre-X事件」と呼ばれる史上最大級の投資詐欺事件。この事件の中心人物となった男を演じるマシューは、モデルとなった実在の人物に寄せるため、頭を剃り上げてハゲヅラを被り、曲がった人口歯を差し込んだ上に、過去最高の95㎏にまで増量! ラスト10秒で判明する結末(しかも、実際の根強いウワサに即したリアルなもの)はもちろんのこと、マシューが披露するブリーフ一丁のバスローブ姿やプールサイドでの全裸など、インパクト大の衝撃シーンの数々が目に焼き付いて離れません!

映画『ゴールド/金塊の行方』 TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開中
提供:東北新社
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント / STAR CHANNEL MOVIES Photo by Lewis Jacobs

サッカー界の貴公子が特殊メイクで力演する 『キング・アーサー』

アーサー王伝説をモチーフとした本作で主人公を演じるのは、TVドラマ『サンズ・オブ・アナーキー』で熱狂的ファンを獲得したチャーリー・ハナム。もともとマッチョな彼ですが、役作りで9㎏増量し、両親を亡くした少年がスラム街から成りあがっていく強さをリアルに表現しています。ちなみに、日本よりも先に公開された国々で話題をさらったのが、この映画を監督したガイ・リッチーの親友としても知られる、サッカー界の貴公子デヴィッド・ベッカムの出演シーン。ジュード・ロウ演じる暴君ヴォーティガンの軍隊に所属する兵士に扮したベッカムは、顔に大きな傷を刻み込み、歯を不揃いにするという特殊メイクで悪人の凄みを表現し、自身のInstagramで披露して話題を呼びました。サッカー界の生きる伝説が、畑違いのジャンルで懸命に頑張る姿は一見の価値があります!

映画『キング・アーサー』 6月17日(土)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほかにて全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)2017 WARNER BROS. ENT. INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED AND RATPAC-DUNE ENT. LLC

主演は13㎏減、助演は18㎏増の肉体改造対決!『ビニー/信じる男』

『ビニー/信じる男』は、巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮を担当し、交通事故でひん死の重傷を負った実在の世界チャンピオンの壮絶な復活劇を描く感動作。映画『セッション』(2014年)でブレイクしたマイルズ・テラーはビニーに成り切るため、約13㎏もの減量を成し遂げ、体脂肪率を6%に落とし、方言や笑い方までマスター。さらに、首を骨折したビニーが、脊椎(せきつい)固定装置をつけてトレーニングする姿を、頭痛に耐えながら完璧に再現し、心身ともに不屈のボクサーへと変身しています。ビニーをサポートする名トレーナー、ケビン役で助演したアーロン・エッカートに至っては、約18㎏も増量し、頭を剃り上げて、イケメン・オーラを完全に封印する潔さ。エンディング・ロールで流れる、本作のモデルになった実在の人物たちの映像を観ると、俳優たちの元の顔はあまり似ておらず、演技力で彼らに近づけていることがよく分かります。

映画『ビニー/信じる男』
7月21日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほかにて公開
配給:ファントム・フィルム
(C)BLEED FOR THIS, LLC 2016

その迫真の演技に遺族も涙した!『ハクソー・リッジ』

映画『ハクソー・リッジ』は、第2次世界大戦下に銃を持たずに激戦地へ赴き、1人で75人もの命を救い、アメリカ史上初めて“良心的兵役協力者”として勲章を受けた兵士デズモンド・ドスを描いた実話モノ。本年度アカデミー賞 で2部門を受賞した傑作をたった59日で撮り終え、改めてその監督スキルが絶賛されたメル・ギブソンは、“架空の英雄ではなく、真の英雄を称賛したい”という男気あふれる理由でメガホンを取ったそう。ちなみに、彼が監督を担当するのは、映画『アポカリプト』(2006年)以来、10年ぶりです。ドスを演じたアンドリュー・ガーフィールドは、ドスの生家と彼が息を引き取った家を訪問し、彼が生きた足跡を身をもって体験。さらに、彼にまつわる書籍をすべて読破し、その生き様を研究しました。メル・ギブソンいわく、試写でアンドリューの熱演を目にしたドスの息子は、感動のあまり涙を流したとか。そんな逸話も頷ける、迫真の演技は必見です!

映画『ハクソー・リッジ』
6月24日(土) よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国公開
配給:キノフィルムズ
(C)Cosmos Filmed Entertainment Pty Ltd 2016

干され俳優メル・ギブソンが自虐ネタ!?『ブラッド・ファーザー』

監督作『ハクソー・リッジ』が高い評価を受け、華麗なカムバックを果たしたメル・ギブソン。勢いにのる彼の最新主演作が『ブラッド・ファーザー』です。メル・ギブソンが演じるのは、アルコール中毒から立ち直ろうとリハビリに励む元犯罪者の父親。まさに、2006年に飲酒運転や人種差別的言動でバッシングを受け、ハリウッドを干された彼のプライベートをほうふつとさせる設定! しかも、劇中、教会の自助グループの集会で過去の自分を反省したり、人種差別的態度を娘にたしなめられるシーンがあったりして、デジャヴ感が満載なのです。ダメな父親がトラブルに巻き込まれたひとり娘を守るべく死闘を繰り広げる過程で、メル・ギブソンの代表作『マッドマックス』や『リーサル・ウェポン』のオマージュが挿入されるという心憎い演出もあって、彼の全盛期を知る映画ファンなら、もれなく胸を熱くするはず。映画『ハクソー・リッジ』とセットで楽しみたい作品です。

映画『ブラッド・ファーザー』
新宿武蔵野館ほか全国絶賛公開中
提供:ハピネット 、ポニーキャニオン
配給:ポニーキャニオン
(C) Blood Father LLC, 2015

両親がブリーダーの奇縁!役に導かれた『世界にひとつの金メダル』

フランスで200万人が涙し大ヒットを記録した『世界にひとつの金メダル』は、エリート弁護士ピエール・デュランがキャリアを捨て、馬術の障害飛越競技選手として金メダルに輝いた実話を映画化した感動作。実は、ピエールを演じた俳優ギョーム・カネの両親は馬のブリーダーで、彼自身も乗馬中に事故を起こすまでは、馬術の選手を夢見ていたという、これ以上ない適役! 彼は撮影中、1日8~9時間は馬に乗り、ピエールの相棒ジャップルーに扮する複数の馬を乗りこなした上に、わずか4ヶ月で本作の脚本を完成させる離れ業まで披露しています。クライマックスでは、1988年のソウルオリンピックを完璧に再現。ギョーム・カネが吹き替えなしで挑んだ華麗な乗馬シーンは、ラストで金メダルを獲ると分かっていても手に汗握る緊張感がみなぎっています!

映画『世界にひとつの金メダル』
6月17日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMA、シネマート新宿ほか全国順次公開
提供:パラディソ
配給:レスペ
(C)2013 – ACAJOU FILMS – PATHÉ PRODUCTION – ORANGE STUDIO – TF1 FILMS PRODUCTION – CANÉO FILMS – SCOPE PICTURES – CD FILMS JAPPELOUP INC.

取材・文/田嶋真理