文=平辻哲也/Avanti Press

参加型鑑賞スタイル ~アラフィフ男、応援上映へゆく~

EXILE TRIBEらイケメンが総出演し、不良たちの熱き闘いを描く『HiGH&LOW』でもお馴染みの応援上映。観客がサイリウムを手に、スクリーンに向けて、思い思いのエールを送る映画鑑賞方法だ。今、『KING OF PRISM –PRIDE the HERO-』(キンプラ)というイケメンばかりが登場するアニメでの応援上映が女子の「キャー!」という歓声とともに、大盛り上がりを見せている。東京・新宿バルト9でロングランヒット中の『キンプラ』を、“映画は1人で観る派”の48歳おっさんが見ると、どうなるか? 女子ばっかのなかで鑑賞してみました。

『キンプラ』スタンドとアラフィフおっさん

応援? あ、応援は好きですよ。と、カンタンにこの仕事を引き受けてしまった、ジェフユナイテッド市原・千葉のサポーターの48歳、アラフィフおっさん、です。

サッカーの応援は毎週のように行っているが、映画の応援上映というのは初めてだ。しかも、10代の女の子に大人気のアニメとは……。言ってみれば、完全アウェイである。しかし、サッカーにおいては、アウェイに乗り込んで、勝利することにこそ、意味があるのだ!

そんなことを思いながら、まずはネット予約。いきなりビックリした。ある土曜日の回、『キンプラ』応援上映には、残りわずかを示す「△」マークばかり。14時10分の回をクリック。前列の3列を除いて、後ろはほぼ埋まっている。とりあえず、C-10席を抑えた。料金は一律1600円。通常の一般料金より200円も安い。価格も「応援価格」なのか、と一人納得する。

新宿バルト9のチケット掲示板

あえて、一切予備知識を仕入れず、いざ、アウェイへ(笑)。土曜の新宿バルト9となると、チケットの自販機には大行列だ。1階よりも、9階の方が穴場。こちらはすんなり。まずは、証拠写真とばかりに、『キンプラ』のスタンドの前で自撮りする。キャラクターとは初対面。こんなキラキラしている男の子が主役なんだ。正直、ちょっと恥ずかしかった(笑)。

シアター6へ行くと、若い女の子たちがサイリウムを片手に中へ入っていく。ごめん、こんなおっさんが見てもいいのだろうか。コスプレした若いカップルがいたので、声をかけてみる。「写真を撮らせてくれますか?」というと、快諾してくれた。女の子は「今日で6回目」という。入場時には、キャラが描かれたプラスティック製のウチワをもらうが、誰かも分からん(笑)。こんな入場者プレゼントも人気の秘密なのだろう。

写真を撮らせてくれたカップル。『KING OF PRISM –PRIDE the HERO-』新宿バルト9での応援上映にて

いざ、キラキラの世界へ……!

中に入ると、ほぼ満席。いきなり熱気が伝わってくる。スクリーンは結婚式場のCM中。観客は「結婚おめでとう!!」との声とサイリウムの光で応援だ!! まだ、本編も上映されていないんですけども……。映画の予告編にも、もちろん応援。「チケット買ったよ!」「これ、見たいよ!」「見に行くよ!」との声が飛ぶ。こんな風景を、予告編映画の関係者が見たら、感激だろうな。いやいや、これは楽しいかも。

劇場版「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」は新宿バルト9ほか全国にて公開中
(C)T-ARTS / syn Sophia / エイベックス・ピクチャーズ / タツノコプロ / キングオブプリズムPH製作委員会

ようやく、本編が始まるか、と思いきや、特別映像らしき短編。ファンにも、キュンとくるシーンらしく、歓声が湧き上がる。さらには応援上映に際してのお願い映像。「傷つけるような声援はやめて」「武器禁止!」「立ち上がるのはNG」……。そんなお願いにも「分かった!」と合いの手を入れるのだ。ようやく、上映が始まり、プロダクションが紹介されると、「タツノコプロ!」「エイベックス・ピクチャーズ!」と本格的に応援開始。音楽が始まると、サイリウムをフリフリ。その色も思い思いだったりするが、不思議と一色に染まる時もある。

ストーリーは、スタァを目指す養成学校のイケメンたちが、「プリズムショー」と呼ばれるステージでキングの座を争うというもの。ライバルの権力者が金に物を言わせて、妨害したり、本人たちもスランプに陥ったりしながらも、仲間の力を借りて再起。ステージでは、歌にダンスに、バトルも! エイベックスらしく、DJ.KOOを思わせるキャラが出てきたり、歌もTRFの1993年の大ヒット曲「EZ DO DANCE」がフューチャーされる。当時のおっさんは社会人2年目。年は24歳、青春まっさかり。これならテリトリーだぞ。

キャラの個性や細部はまったく分からないのだけども、結構ノリノリな気分になり、気がつけば、手に持っていたウチワでリズムを取ったりしているのだった。応援上映、すごく楽しいかも! 単なる映画とも違う、ライブとも違う、観客のみんなで、その場だけの空気を作り上げるのだ。この回、この場所、この空気は1度しかない。そう考えると、なんだか猛烈な感動がある。上映時間70分というのも、ほどよい時間だ。

キャラクターパネルの展示コーナー

サッカーに置き換えれば、コスプレはクラブのユニフォームを着てくるようなものだ。そこで、贔屓のチームを応援する。歌を歌う。なんだ、サッカーと同じじゃないか。いや、サッカーよりもいいかも。サッカーは負けることも多々ある。我がジェフはアウェイに弱い。目下4連敗(涙)。

観客は10代の女の子がほとんどと聞いていたが、もっと上の年代の女性もいる。若い男性客も2割くらい。ただし、こんな年のおっさんは一人(笑)。

映画は観客が見て、初めて完結するものだ、と言われる。その幸せな形が、応援上映にある。

ミニ『キンプラ』展も開催