文=赤尾美香/Avanti Press

アヒル声ですぐバレる!? 『キング・アーサー』のベッカム

「あれ?」。映画を観ていて、思いがけずどこかで見た顔に遭遇することがある。現在公開中の『キング・アーサー』にも、そんな瞬間があった。物語の序盤、アーサーが壮大なパワーを秘めた剣(エクスカリバー)を岩から引き抜くのに立ち会う兵士……ん? ……どこかで見た……あ、ベッカムだ! しかも、完璧な容姿に不似合いなアヒル声。間違いない、デヴィッド・ベッカムだ!!

デヴィッド・ベッカムがカメオ出演した『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)を演出するガイ・リッチー監督

デヴィッド・ベッカムがカメオ出演した『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)を演出するガイ・リッチー監督 (c)Warner Bros.

元イングランド代表のサッカー選手ベッカムの子どもと、『キング・アーサー』を撮ったガイ・リッチー監督の子どもが同じ学校に通っていたことをきっかけに、2人は急接近。パブで釣りの話をしていたはずが、気づけば映画出演話になっていたという。ベッカムは、同監督作『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)にも出演していたが、これらが、いわゆるカメオ出演というやつだ。

英国を代表するスーパー・バンドのヴォーカルがゾンビに!?

カメオ出演とは、作品の主要キャストとは別に、著名人(俳優、ミュージシャン、スポーツ選手、政治家など)がほんの短い時間だけ出演することを言う。最近では、2016年に公開された『スター・ウォーズ フォースの覚醒』に出ていたダニエル・クレイグ(『007』シリーズ)が大きな話題になったが、全身にストームトルーパー(帝国軍の機動歩兵)の衣装を身につけたクレイグ、セリフも一言あるかないかで、そう簡単に気づけるものじゃなかった。

気づかないという点では英国のロックバンド、コールドプレイのヴォーカリスト、クリス・マーティンを発見するのもなかなか難しい。というのも、彼が演じたのはゾンビだから。コメディ・ホラー映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)で、ほんの一瞬映るゾンビ化したクリスの歩き方は、どこかぎこちない。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)のヒトコマ(このなかにクリス・マーティンはおりません)

『ショーン・オブ・ザ・デッド』(2004年)のヒトコマ(このなかにクリス・マーティンはおりません) (c)Rogue Pictures

D・ボウイ、M・ジャクソン…カメオ出演を楽しむスターたち

未だその死を惜しむ声が絶えないデヴィッド・ボウイは、俳優としても活躍したが、意外なカメオも。ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンが共演したコメディ映画『ズーランダー』(2001年)がそれ。おバカな男性モデル2人の対決に審判を下す重要な役(!?)は、インパクト絶大。同作には、ボウイをはじめ総勢30人を超えるカメオ出演があった。続編『ズーランダー2』(2015年)もカメオだらけだったが、絶命寸前のキメ顔でセルフィするジャスティン・ビーバーや、女装風のベネディクト・カンバーバッチなど顔ぶれは超豪華。セレブって、コメディ好きなんですかね?

『ズーランダー』(2001年)で存在感を見せたデヴィッド・ボウイ

『ズーランダー』(2001年)で存在感を見せたデヴィッド・ボウイ (c)Paramount Pictures

『テッド』(2012年)にカメオ出演した歌姫ノラ・ジョーンズは、衝撃的だった。見かけによらず(!?)コメディやジョークが大好きな彼女、同作の主題歌「エヴリバディ・ニーズ・ア・ベスト・フレンド」を歌った縁での出演だったのだが……役どころはなんと、テッドの元セフレ!! 可愛い顔したお下劣テディベアに向かって放つセリフは、「洋服着てるとこを見るのは初めてかも」。

作品への音楽提供が縁でカメオ出演を果たしたという点では、ジョン・ボン・ジョヴィ(ボン・ジョヴィ)も同様。後年、俳優としても活動をするようになるジョンだけど、ビリー・ザ・キッドと仲間たちを描いた西部劇『ヤングガン2』(1990年)出演時には、そんなこと思いもしなかったそう。出演と言っても、あっという間に殺されておしまい、だけど。

マイケル・ジャクソンがカメオ出演したのは『メン・イン・ブラック2』(2002年)。なんでも、1作目を観て感動したマイケルは、バリー・ソネンフェルド監督に出演を直訴したそうだ。エージェント役を希望するも、すでにキャスティングが終わっており、ならばカメオで、ということに落ち着いた。

『メン・イン・ブラック2』(2002年)のマイケル・ジャクソン

『メン・イン・ブラック2』(2002年)のマイケル・ジャクソン (c) Columbia Pictures

映画には必ず顔を出す名物原作者、名物監督

現役スポーツ選手のカメオでは、今年公開された『トリプルX:再起動』に本人役で出演した、ブラジル代表サッカー選手ネイマールが新しいところ。また映画ファンの間でつとに有名なのは、マーベル・コミック映画に必ず顔を出す、原作者スタン・リー。郵便配達、大富豪、勇敢な老人……、時には本人役でも登場。現在94歳のおじいちゃん、リー。スクリーンで彼に会うことも、マーベル映画の楽しみの一つ。今夏は『スパイダーマン:ホームカミング』で会えるはず。

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)にカメオ出演するスタン・リー

『アメイジング・スパイダーマン2』(2014年)にカメオ出演するスタン・リー (c)Columbia Pictures

出たがり監督ナンバー1は、『シックス・センス』(1999年)や『アンブレイカブル』(2000年)のヒットで知られる、M.ナイト・シャマラン。自身が監督する作品には、出演して当然と言わんばかり。今年公開された最新作『スプリット』では、HOOTERS(露出度の高いユニフォームで有名なカジュアル・レストラン。日本にも支店あり)をこよなく愛する男の役を好演!?

『ヴィジット』(2015年)を演出するシャマラン監督

『ヴィジット』(2015年)を演出するシャマラン監督 (c)Universal Pictures

ピクサー・アニメにカメオ出演したトトロ

最後は、変わりダネのカメオを一つ。日本でも大ヒットした『トイストーリー3』(2010年)にカメオ出演していたのは……我らがトトロ!! 同作を制作したピクサーのジョン・ラセターと、スタジオジブリの宮崎駿監督は20年来の友人。そこで、ラセターは、映画中に登場するおもちゃのひとつにトトロを使いたいと、宮崎に打診。宮崎が快諾して、このカメオ出演が実現したというわけだ。映画館で「あ!」と声を出してしまったのは、私だけではあるまい。そして、カメオを見つけると、なんだか得した気分になるのだ。