(C)2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

高良健吾の“人生を変えた”廣木監督!2人の歩んできた軌跡を振り返る!

コラム

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幅広いジャンルに対応する演技力と存在感で、今や日本映画に欠かせない俳優の一人となった高良健吾。2016年は4本の映画出演に加え、月9ドラマやNHK連続テレビ小説、テレビCMへの出演など、活躍の場はお茶の間にも広がっています。

そんな売れっ子俳優となった彼が、未だに敬愛してやまない映画監督がいます。その人こそ、『彼女の人生は間違いじゃない』(7月15日公開)で実に5度目のタッグを組む廣木隆一監督。『ストロボ・エッジ』(2015年)や『PとJK』(2017年)といった人気作を手がける廣木監督ですが、なぜ高良は廣木の作品に出演し続けるのでしょうか? これまでの軌跡を振り返りながら、考察してみました。

高校生の高良健吾に「お前のやることが正解だ」とゲキ!

高良がこれまで出演してきた廣木作品は、2007年の『M』から順番に『僕らは歩く、ただそれだけ』(2009年)、『雷桜』(2010年)、そして主演作の『軽蔑』(2011年)の4本。特にデビューしたてで挑んだ『M』は馳星周の同名短編集が原作。ヤクザに騙され売春を強要される人妻の複雑な心理を描く同作で、彼が演じたのは父親殺しの過去をもつ新聞配達員。当時18歳だった高良には、重すぎるテーマだったかもしれません。

故郷の熊本から上京し俳優デビューはしていたものの、まだまだ出演本数の少ない駆け出しだった高良。少し幼さが残る彼に、廣木監督はこんな言葉をかけたそうです。「お前の18年間が必要でお前を選んだのだから、お前がやることが正解だ」。存在と演技を全肯定するような監督からの励ましの言葉が、彼の背中を押したのは言うまでもありません。

待望の主演映画での強烈なダメ出しとクランクアップで流した涙…

芥川賞作家・中上健次の同名小説が原作の『軽蔑』。東京で賭博に明け暮れる名家出身のカズとポールダンサーの真知子との苛烈な愛を描いたこの映画で、高良は主人公のカズを演じています。

本作には多くの長回しシーンが登場しますが、撮影最終日に映画の中でとても重要になる長回しシーンの撮影が行われました。高良はヒロイン役の鈴木杏とともに、リハーサルでさまざまな演技プランを試しますが、廣木監督からは「全然ダメ」「なんでそこでそう動くの?」と厳しい演技指導が……。通常であればリハーサル後に撮影に入るところが、その時ばかりは、一度俳優が待機する部屋まで戻されたそうです。

そんな監督からの厳しい要求に応え、無事クランクアップを迎えた時、高良は大変な現場から解放されるという思いと、撮影が終わってしまう寂しさ、達成感から自然と涙を流したそうです。2012年にはこの映画での演技が高く評価され、日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。23歳で体験したこの試練は、彼の俳優人生になくてはならないものだったのかもしれません。

29歳で5度目のタッグを組んだ最新作で、等身大の生き様を披露

そして5度目のタッグ作品となるのが、最新作『彼女の人生は間違いじゃない』。本作は、廣木監督にとって、出身地である福島に暮らす人々を描いた処女小説を自ら映画化するという特別な作品。「高良にどうしても出演してほしい」という廣木監督の想いがあったそうですが、そんなエピソードからも2人の信頼関係が透けて見えます。

主人公は、東日本大震災以降、仮設住宅で父と二人で暮らす女性・みゆき。週末になると、高速バスで東京に向かい、デリヘル嬢として働く日々を送っているのですが、高良が演じるのはそのデリヘルの従業員・三浦役。客とトラブったみゆきを助けたり、車で送迎したり……。どこか所在なさげなヒロインに対し、淡々と仕事をこなす三浦は、東京で居場所を掴んだ男の貫禄があり、ヒロインを際立たせています。

特に際立った個性や目を引く言動はありませんが、東京のリアルな日常にしっくりと馴染む等身大なキャラクター。29歳になった今だからこそ出せた、味のある芝居で、物語に奥行きを与えているのです。

今や日本映画を代表する俳優となった高良は、廣木監督を「人生を変えた人だ」と公言しています。高良という才能の種に、水を与え続けてきた廣木監督。5回目のタッグとなる『彼女の人生は間違いじゃない』は、そんな2人の歩みが結実し、花として開いた瞬間なのかもしれません。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼

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