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スター・ウォーズを超えた!? NASAを支えた、知られざる“3人”の黒人女性の実話『ドリーム』

コラム

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日本でも大ヒットした『ラ・ラ・ランド』。本年度ベストワンとも言われるほど高い評価を獲得している『ムーンライト』。今年、アカデミー賞を賑わせた作品は例年以上に粒ぞろいだが、そんなオスカー絡みの中でも「真打ち」と呼ぶべき映画が、9月29日(金)よりいよいよ公開される。

アカデミー賞では作品賞、脚色賞、助演女優賞にノミネートされ、全米公開時は瞬く間に『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』をトップの座から引きずり下ろし、1位を奪取した。その後、実に11週にわたってトップテン入りという、『ラ・ラ・ランド』を超えるロングランヒットを続けた……。言うなれば、観客、評論家双方から愛された映画と言えるだろう。その名は『ドリーム』。アメリカ映画の底力を感じさせる一作である。

日の目を見なかった「縁の下の力持ち」を称賛

1960年代初頭、ときは東西冷戦の時代。アメリカにとって宇宙開発は、ソ連と張り合う、国の威信を賭けた一大プロジェクトだった。合衆国悲願の有人飛行計画を実現するべく、NASAは懸命な毎日を送っている。そこには、ロケットの打ち上げに必要な「計算」を行う、黒人女性たちのグループがあった。『ドリーム』は、そのうちの3人にスポットを当て、ともすれば歴史の中で日の目を見なかった「縁の下の力持ち」を心から称賛する感動のドラマなのだ。

アメリカ映画には、マイノリティを肯定する精神がある。なぜなら、移民が作り上げた国だからだ。それぞれが「違う出自」の人間たち。だが、争ったり、ぶつかったりするのではない、違うやり方で、互いを高め合うことができるのではないか。そんな真っ当な可能性を求めて、アメリカ映画は形作られている。このことは、どんなに時代が変わろうと普遍のものとして存在する。

いまにつながる逆境で働くことの意義

『ドリーム』が描く1960年代初頭は、黒人というだけで、どんなに才能があっても活躍を許されない時代だった。主人公の一人は、幼い頃から天才数学少女として評価されるが、ようやく配属された宇宙特別研究本部はオール白人男性の職場であり、どこか排他的。また、別の主人公は、技術者養成プログラムを受けたいと思っても、学校が白人専用の姿勢を崩さないため、学ぶ自由を得られなかった。さらに、彼女たちは女性であり、黒人であること。そして、それぞれに家庭があること。この3つが、働く上でどれだけの「制限」であるか。女性を取り巻く環境は、いまも大本では根本的に改善されているわけではない。だからこそ、『ドリーム』の女性たちの踏ん張りが胸を熱くする。

『ドリーム』に登場する白人男性の中にも、きちんと彼女たちの才能を認める人間は存在する。本作では、そこを丹念に描いている。必ず誰かは見ていてくれるのだと。印象的なのは、技術者養成プログラムを受けるために、裁判所に誓願した女性の言葉だ。彼女は、裁判長にこう訴える。「偉大なる前例を作りませんか?あなたは、何十年後かに、その前例を作った人物になるのですよ」。この映画は実話である。未来のために「前例」を作ること。それはたやすいことではないが、きわめて尊い。この映画が、多くの人に愛されている理由は、誇り高き「前例」の物語であるからに他ならない。

(文/相田冬二@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス

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