歪みまくった荒くれギターに、無軌道に突進するドラムは鬼気迫る迫力。そして、何よりも伝説的なイギー・ポップのパフォーマンス……。“パンクの始祖”という呼び声も高いストゥージズのドキュメンタリー・フィルム『ギミー・デンジャー』が、9月2日に公開されます。

イギー・ポップの逸話といえば、何といっても「流血事件」でしょう。特に有名なものでは、ステージで割れたガラスの上を転げ回り、救急搬送されたという伝説があります。そんな、過激なエピソードにことかかない、彼らの伝説の一部をぜひ映画で確認してください。

伝説的ロック・バンド、ストゥージズ

“パンクの始祖”という呼び声も高いストゥージズは、1960年代にデトロイトで誕生しました。元祖パンクともいうべきササクレだった荒々しい演奏によって、数え切れぬほどのリスペクトを集めています。その功績は、2010年に「ロックの殿堂」を受賞するなど、高い評価を受けました。

「淫力魔人(原題:Raw Power)」というインパクトある邦題がつけられた、彼らのサード・アルバムを一度チェックしてみてください。ジャケットを見ると、上半身裸で虚空を見つめるシンガーが写っています。それがバンドのフロントマンであり、オリジナル・メンバーの中で唯一生存しているイギー・ポップです。

このジャケ写を見てみると、かなりの美青年だったことがわかります。しかし、そのライヴでのパフォーマンスは、ある意味お行儀の良い現在のロック・バンドから考えると、実にショッキングなものでした。

上映できるの!? スプラッター・ホラーのごとき流血のステージ

イギー・ポップの奇行として、流血事件以外では、「ピーナッツバター事件」も有名です。セカンド・アルバム「ファン・ハウス」の発売直前、オーディエンスに支えられて人波の上に立ち上がったイギーは、裸の上半身にピーナッツバターを塗りたくり、客席へのダイブを繰り返しました。

客席への本気のダイブがまず危険なのですが、それはさておきピーナッツバターまみれの人間が上から落ちてきたら、受け止める方もたまったものではないですね。ちなみにピーナッツバターどころではなく、ステージで熱くしたたるロウを身体に注いでいたこともあったようです。

ほかにも折れたドラムのスティックやナイフで身体を切り刻んだり、ビール瓶を割って身体にすりつけたという話もあります。イギーのパブリックイメージから、過激なパフォーマンスを望む観客の期待に応えていたともいえますが、現代であれば何かの倫理コードに引っかかってしまう、スプラッター・ホラー寸前のクレイジーな行為と言えるでしょう。その姿は、まさに“ギミー・デンジャー!”といわんばかり。

今年で70歳を迎えたイギー・ポップですが、現在も元気にツアーを行っています。映像を見ると、若い頃にメチャクチャな生活をしてきたとはまったく思えぬ、見事に引き締まった身体は驚愕のひと言。はっきりいってカッコいいです。

一昨年には美大の学生ために文字通りひと肌脱いで、ヌード・モデルにもなっています。写真を見ると、しっかり下半身も出していた模様。現在ではオリジナル・ストゥージズ唯一の生き残りとなってしまいましたが、こうなれば何歳までロックの前線で伝説を作り続けるのか、見届けたいところですね。まずは公開されるドキュメンタリー映画で、ロック・レジェンドのオーラに満ちた姿を見てシビレましょう。

(文/江古田透@H14)