(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会

すべての男を狂わせる!? 水原希子が演じた“パーフェクトガール”の魔力とは

コラム

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映画『モテキ』や『バクマン。』などを手がけた大根仁監督は、ポップな映像表現で観客の心をつかむ名監督。そして、出演した女優をとびっきり魅力的に輝かせるスペシャリストでもある。テレビドラマ版「モテキ」では満島ひかりを、映画版『モテキ』では長澤まさみを、映画『バクマン。』では小松菜奈を、映画『SCOOP!』では二階堂ふみを起用し、彼女たちのそれまでにはなかった魅力を引き出していた。大根作品におけるヒロイン像はいつも「いそうで、いない」ぎりぎりのリアリティで攻めてくるから、男子は悶絶必至なのだが、そんな大根ヒロインの集大成にして、究極のかたちが9月16日に公開の最新映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』における水原希子である。

わたしたちの恋愛記憶をまさぐる究極ヒロイン

そもそもタイトルがすごい。『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』。渋谷直角によるコミック『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』(扶桑社)が原作だが、この「出会う男すべて狂わせるガール」を、水原はパーフェクトに演じ、その姿態と肢体を大根監督はパーフェクトに画面におさめている。わたしたち観客は妻夫木聡扮する「奥田民生になりたいボーイ」の目線になりきって、この「ガール」の一挙手一頭足に翻弄され、かつて現実に恋した女の子や、お付き合いした女性などのことも思い出しつつ、ときめきと「いたたまれなさ」を同時に噛みしめることになる。この愉悦、そして喪失感がハンパない。

そして、こうつぶやくしかないのだ。「男ってヤツは、ほんと、いくつになっても、女の子の可愛さにメロメロになって、ズタボロになる生きものなんだな……」と。この、フィクションが呼び起こすリアリティが凄まじい。優れた芸術は大抵そうだが、観客がそれまでの人生で経験したあれやこれやの想い出を、まざまざとよみがえらせる。断言しよう。この映画を観て、我が身を振り返らないヤツがいたら、そいつは男じゃない。どんなモテ男だって、絶対、こんな経験をしたことがあるはずだ。

「ツン」と「デレ」の使い分けに極意アリ

妻夫木聡が演じる主人公は、ライフスタイル雑誌に配属された10年選手の編集者。彼は、タイアップ記事がきっかけで、編集部と懇意にしているファッションブランドの女性プレス(広報)と出会う。その女性を演じているのが、水原希子だ。彼女はキュートなルックスで、業界でも人気者。そんな高嶺の花と、なぜか付き合えることになった編集者は、深い仲になればなるほど、謎めいた彼女の行動に振り回されることになる。

水原希子の素晴らしさは「怒り顔」がプリティなことである。おそらくそれを熟知している大根監督は、いきなりこんなシーンを用意する。初めて逢ったときは単にデレデレだった主人公。その次に逢ったときは仕事の件で、キツい塩対応をされることになる。このときの水原の表情がたまらない! シャープで、意固地で、しかも素っ気ない。揺るぎない態度で、しかも、社会人的に正しい言葉遣いで、主人公をぴしゃりとたしなめる。発声も含めて、この豹変ぶりがあるから、ラブシーンやベッドシーンでの可愛さが倍増するのだ。

疑心暗鬼に陥って、暴走し始めた主人公を「わたし、怒るひと、キライ」とたった一言で言いなりにさせてしまう居酒屋での場面も印象的だ。つまり「ツン」と「デレ」を、本能的に使い分けることができるから、「出会う男すべて」を「狂わせる」のである。

人は、なぜドキドキするのか? それは、いまの自分の状態がいつまでも続くわけではないことを知っているからかもしれない。そんなドキドキの最高にして最良の一瞬一瞬を、水原希子の空前の愛らしさと共にスクリーンに完全封入したこの映画は、どんなに痛い目に遭っても、恋する心を捨てられない全世界男子必見の一作である。

(文/相田冬二@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス

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