9月1日に公開される『二度めの夏、二度と会えない君』は、赤城大空の同名人気ライトノベルの映画化作品です。ヒロインの森山燐役を務めるのは吉田円佳。彼女はガールズバンド「たんこぶちん」のボーカルとして人気急上昇中で、今作が映画初出演となります。

邦画界では過去にもさまざまな女性ミュージシャンが映画に出演し、その魅惑的な佇まいや演技力で観客を圧倒してきました。今回は、特に印象深い演技を披露した女性ミュージシャンたちをピックアップ。音楽だけに留まらない、彼女たちの才能を検証します!

岩井俊二作品の要となったミュージシャン…CHARA

日本におけるウィスパーボイスの第一人者として活躍し続けている、ヴォーカリストのCHARA。その可憐で愛らしい声と、独特の世界観をまとったルックスの魅力が如何なく発揮されたのは、岩井俊二監督の映画作品でした。

浅野忠信と共演し、精神病院に入れられた女・ココを演じた『PiCNiC』(1996年)。架空の移民街・円都(イェンタウン)で歌う娼婦グリコを演じた『スワロウテイル』(1996年)。両作品ともに、岩井俊二監督ならではの色彩で描かれた世界の中、もがくように生きる女性をCHARAは見事に演じきっています。

実はCHARAが過去に映画出演を果たしたのはこの2作品だけなのですが、その中で彼女は世間に鮮烈な印象を与えています。岩井俊二監督の初期代表作は、CHARA無くしては成り立たなかったといっても過言ではないかもしれません。

映画デビュー作にして主演を務めた…YUI

女の子の切ない気持ちを歌うシンガーソングライターとして人気を博したYUIは、路上ライブ出身のミュージシャン。2012年のソロアーティストとしての活動休止を経て、2013年からはロックバンドを結成。『FLOWER FLOWER』のボーカリストとして活動していましたが、現在は一般男性と結婚して双子の男児を出産し、再び活動を制限しているようです。

そんな彼女が出演した映画作品は、『タイヨウのうた』(2006年)。映画デビュー作にして主演という大抜擢で、「YUI for 雨音薫」の名義で主題歌も歌っていました。

彼女が演じた雨音薫は、皮膚病のため日の光の下には出られず、夜しか活動できないミュージシャン。路上で弾き語りをしているという設定はデビュー前の彼女の姿ともリンクしており、その姿はとても自然に映りました。音楽と純愛、そして死を描いた今作において、YUIの歌声とフレッシュな演技力はなくてはならないものだったと思います。

YUIが出演した映画は、残念ながらこの1作のみ。それでも、第30回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞したその実力は、今も映画界に惜しまれています。

映画のためにフルートや関西弁を猛勉強…miwa

若い世代から圧倒的な支持を受けるシンガーソングライターのmiwa。彼女の演奏するアコースティックギターの音色と透き通った歌声は、その小さな体から想像もできないほど、聞く人にパワーを与えてくれます。

そんなmiwaが映画初出演を果たしたのは、松坂桃李と西田敏行の初共演作である『マエストロ!』(2015年)。再結成を目指す名門オーケストラの舞台裏を描いた今作に、miwaは天才フルート奏者として出演。この映画のためにフルートを始め、関西弁も勉強するなど強い意欲を見せました。

そして2017年には『君と100回目の恋』で人気俳優・坂口健太郎とのW主演も果たし、こちらでは劇中歌も担当しています。演技経験値は決して高くないmiwaですが、いつまでも保たれている初々しさや愛らしい仕草が観客を魅了していることは間違いありません。役作りに対する熱量も人一倍のようですし、今後もぜひ女優としてもスキルを高め続けていってほしいものですね。

『NANA』として一時代を築き上げた…中島美嘉

「雪の華」や「桜色舞うころ」など、今ではさまざまなアーティストがカバーする名曲を歌い上げてきたボーカリスト・中島美嘉。実は彼女の女優としてのキャリアはミュージシャンとほぼ同列。「傷だらけのラブソング」でドラマ初出演をすると同時に、主題歌「STARS」をリリースし、デビュー時からその幅広い才能を魅せつけていました。

その後、『偶然にも最悪な少年』(2003年)でスクリーンデビューを果たしていますが、彼女の女優としての名声を一気に高めたのは、何といっても『NANA』(2005年)での大崎ナナ役でしょう。

大崎ナナはミュージシャンとして成功するために上京するパンクロッカー。ステージで歌う彼女から発される焦燥感は、中島美嘉というボーカリストでなければ、決して表現できなかったものでしょう。結果的に『NANA』は社会現象も巻き起こすほどの大ヒット映画となり、彼女の歌った主題歌「GLAMOROUS SKY」もロングランヒットを打ち立てました。まさに中島美嘉は一時代を築き上げた、ミュージシャン女優といえるのではないでしょうか。

(c)赤城大空・小学館/ 『二度めの夏、二度と会えない君』パートナーズ

『二度めの夏、二度と会えない君』は後悔を抱えた主人公・篠原智が、タイムリープによって過去をやり直す姿を描いた青春ラブストーリーです。主演は『ディストラクション・ベイビーズ』や『武曲 MUKOKU』で話題の若手俳優・村上虹郎。そのほかにもAKB48の加藤玲奈や俳優集団D2の山田裕貴など、業界大注目のキャストが揃っています。

作中で吉田円佳が演じる森山燐は、篠原智が思いを寄せるバンド仲間という役どころ。ある意味では等身大の演技といえるかもしれません。クセのないナチュラルな演技と存在感、そして作品内で披露される爽やかな歌声が、彼女の“演者”としての非凡な才能をしっかりと裏付けています。

(文/もちづき千代子@H14)