(C)2017『三度目の殺人』製作委員会

福山雅治と役所広司が、映画『三度目の殺人』で今年イチのナイスカップルに!

コラム

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なんの価値もないが、独断と偏見で、映画『三度目の殺人』(9月9日公開)の福山雅治と役所広司に、2017年度の「ナイスカップル賞」を進呈したい。ナイスカップルと言っても、別に彼らはこの映画で恋人同士を演じているわけではない。役は、あくまでも弁護士と容疑者という間柄である。しかも、基本的に接見室でしか逢わない。なのに、いや、だからこそ、ふたりの姿は恋人同士に見えてくるのだ。

弁護士と容疑者の「恋愛映画」

是枝裕和監督が映画『そして父になる』(2013年)で顔を合わせた福山雅治と再タッグを組む本作は、ある殺人事件の容疑者をめぐって、ひとりの弁護士が苦悶する物語だ。

福山演じる弁護士は合理主義者で、容疑者への共感や理解は不要、事件の真相解明もいらない、仕事として減刑に導けばそれでよいという考え方。だが、役所広司扮する容疑者との接見を重ねていくことで、それまでの理念が崩れていき、真実を知りたくなってしまう。逢うたびに、違う告白をする容疑者。当初は冷ややかに接していた弁護士だが、話を聞けば聞くほど、悪人なのか善人なのかわからない、その不可解な人間性に吸い寄せられていく。

この構図、何かに似ていないだろうか? そう、魔性の女に魅せられ、それまでの自我が崩壊していく男の姿。つまり、この作品はある種の「恋愛映画」だと思って観ればいいのだ。

なぜ、こんなにドキドキさせられるのか

この容疑者は、誘惑しているわけではない。だが、あるとき、ふと思いついたように、弁護士のそれまでの考えを覆すようなことを口にする。無垢にも見えるし、狡猾にも映る。だが、決して尻尾はつかませない。そうして、弁護士は魅入られていく。透明な壁を隔てて向き合う両者。その精神的な距離は近づいたり、離れたりと、伸縮を続ける。一定の関係性ではない。だから、ドキドキする。

容疑者の本音はわからない。だからこそ、弁護士は翻弄されるのだが、福山と役所のコンビネーションワークは、焦る男と悠然とした女のように、その関係性を成立させている。そのスリル。弁護士は自覚していないが、彼の心情はほとんど恋に近い。相手のことを知りたい。もっと知りたい。自分がいちばん相手のことを理解できるはずだ。そんなふうに傾斜していくことこそ、恋なのだから。

正体不明の魔性を体現する役所広司はほんとうに魅力的だ。そして、クールだったはずの男が陥落していく様を見せる福山雅治はほんとうに美しい。これはある意味「悲恋」のドラマでもある。ナイスカップル賞のふたりの勇姿、とくとご覧あれ!

(文/相田冬二@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス

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