『スイス・アーミー・マン』/9月22日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開/配給:ポニーキャニオン/(C)2016 Ironworks Productions, LLC./公式サイト:sam-movie.jp

踊ったり、ペットになったり…死体との間に友情芽生える!? ブラックコメディな死体映画3選と番外編

コラム

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9月22日上映の『スイス・アーミー・マン』は、『ハリー・ポッター』シリーズでハリーを演じたダニエル・ラドクリフが死体役に。『リトル・ミス・サンシャイン』のポール・ダノ扮する青年がその死体のもつ便利機能を使い、無人島からの脱出を試みるという異色作です。

映画に死体が登場すると、その大抵はサスペンスやミステリーに発展するもの。しかし、中には本作のように死体をお笑い役としてしまう作品もあるのです。今回はそんなブラック・コメディ3作に加え、番外編として死体との間に男の美学が生まれたある映画についても紹介します。

師匠の死体でかんかん踊り!?…『寝ずの番』(2006年)

俳優の津川雅彦がマキノ雅彦名義で監督をした『寝ずの番』。これは他界した大御所落語家の通夜で起こる騒動を描いた作品です。その内容は落語の演目「らくだ」に出てくる「死体とかんかん踊り」を、弟子たちが師匠の遺体で実践するというもの。

ストーリーだけを聞くと、弟子たちのやっていることは不謹慎の極みのようなものです。しかし、関西を舞台とした落語家のお話なので、テンポの良い会話と演出で粋なブラック・コメディに仕上がっており、ついつい笑ってしまいます。

チワワのようにかわいいペットの死体…『ゾンビーノ』(2006年)

死者が蘇り、人を襲い、感染する恐怖の存在であるゾンビ。これまで、『バイオハザード』シリーズ、『アイアムアヒーロー』など、数多くのゾンビが登場する映画が作られてきました。

そんなゾンビが一般社会でペットとして人間と共存しているという、新感覚ゾンビ映画が『ゾンビーノ』です。小学生の主人公が飼っているゾンビは、ただの中年おやじ。しかし、このゾンビが段々とチワワのようにかわいく、アクションスターのようにかっこよく見えてきて、青白い顔の死体なのに妙に愛おしくなってくるのです。

サスペンスの巨匠が描くブラック・コメディ…『ハリーの災難』(1955年)

1920年代から1970年代までの長きにわたって、映画を撮り続けたアルフレッド・ヒッチコック監督。現代でもドキュメンタリー映画が制作されるなど、世界中の映画監督に影響を与え続けている巨匠です。

『サイコ』や『めまい』など、サスペンスの巨匠としてのイメージが強いヒッチコックですが、『ハリーの災難』では死体を巡るコミカルな作品に挑戦しています。

アメリカの小さな村で、一人の男“ハリー”の死体が見つかるのですが、「私がハリーを殺してしまった!」と信じて疑わない人物が次から次へと出てきて、さぁ大変。ハリーは何度も埋められたり、掘り起こされたり、裸にされるなど、雑に扱われてもう滅茶苦茶です。

基本的には最初から最後までコメディに徹している本作ですが、終盤には「さすがサスペンスの巨匠!」と唸ってしまう一幕が。余談ですが、落語に「三段の平兵衛」という演目があり、こちらも死体を雑に扱い、笑いを起こすネタです。もしも現実なら不謹慎極まりないですが、フィクションの中で死体を雑に扱うことは、実は人類共通の“笑いのツボ”かもしれませんね。

死体との間に芽生える友情…『ガルシアの首』(1974年)

これはコメディとは違うのですが、オマケで紹介したいのが『ガルシアの首』。『ワイルドバンチ』や『ゲッタウェイ』など“バイオレンスの詩人”として、映画を撮り続けたサム・ペキンパー監督の作品です。

ある大金持ちの娘を妊娠させた男“ガルシア”の命に懸賞金が懸けられ、主人公はそれを追います。やがて、ガルシアは既に死亡していることが判明。主人公は墓地から遺体を掘り起こし、その首だけを持って帰ろうとします。しかし、ガルシアの首を狙うのは彼一人ではありません。手段を選ばない追っ手が次々と現れて、主人公は首と共に死地を潜り抜けることになるのです。

喋ったことも会ったこともない、その首との間に生まれる奇妙な友情。“男の美学”というものが死体との間にも芽生えることを証明した、死体映画史の中に燦然と輝く一作です。

現実であれば、できるだけ死体とは出会いたくないでしょう。しかし、映画の中では時に面白く、時にはかっこよく見えるから不思議ですね。ここでは詳しく取り上げなかったのですが、死体と愛しあう『ネクロマンティック』(1987年)という映画もあります。死体映画をもっと求める気持ちがあればオススメしますが、キャッチコピーは「屍体とし・た・い。」なので、観賞には相当の覚悟が必要とだけ記しておきます。

(文/塩谷友幸@H14)

記事制作 : H14

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