(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

デビュー作とは思えない存在感を発揮! 新人俳優、寛 一 郎って?『ここさけ』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

コラム

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いま、ひとりの新人俳優が注目を集めている。7月に公開された映画『心が叫びたがってるんだ。』は中島健人主演の青春群像劇だったが、4人いるメインキャラクターのひとりを、見慣れない若者が演じていた。長身に、朴訥とした顔立ち。腕を負傷し、ままならない日々を送っている野球部員という設定も実によくハマり、無名ながら抜群の存在感を発揮している。彼の名は、寛 一 郎。苗字がなく、名前だけという芸名は決して珍しいものではないが、この青年のバックグラウンドを知って納得した。寛 一 郎は、佐藤浩市の息子。つまり、三國連太郎の孫だったのである。

デビュー作とは思えない存在感を発揮

そんな寛 一 郎の次なる出演作が、早くも登場する。9月23日公開の映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』だ。ベストセラー作家、東野圭吾の同名小説を映画化するもので、映画化、ドラマ化の多い東野作品の中でも一風変わったテイスト。店主が悩み相談を受けることで知られていた小さな雑貨店。いまは廃屋になっているその店に、夜を明かすために33人の少年が忍び込む。ところが、突然、シャッターの郵便受けに手紙が届く。それは32年前に書かれた悩み相談だった。3人は困り果てながらも、店主に代わって返事を書くことにする……。

寛 一 郎は、3人の中で最もイノセントな性格の幸平を演じている。どこか荒ぶっていた『心が叫びたがってるんだ。』とはかなり印象が違う。そこがいい。

共演相手は山田涼介と村上虹郎。奇しくも、中島に続いてのジャニーズとの顔合わせとなった。さらに、UAと村上淳の息子である虹郎とは、二世スター共演でもある。

3人だけの芝居は高度なコンビネーションプレイが要求されるが、寛 一 郎はキャリアの豊富な山田や虹郎を前にして堂々たる存在感を発揮。公開順は逆となったが、初出演作はこちらだというから驚きだ。

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

誰にも似ていないイノセンスの表現

寛 一 郎の俳優としての魅力は、なんと言っても、そのイノセンスにある。『心が叫びたがってるんだ。』では、反抗的な態度の中にある素直さをさらりと体現していたが、ここでは性格の違うふたりの幼馴染みとのやり取りの中で、熱い誠実さを垣間見せていく。ストレートにそのままポンと出すのではなく、いったん包み込んだ上で、パッケージをゆっくり開くように、イノセンスを見せていくのだ。

もちろん、この2作の物語構造、キャラクター設定によるところも大きいが、ダイレクトに若さでぶつかっていくのではなく、丁寧に、地道に、その人間性を映し出していく様は、演技経験の浅い新人の域をまったく超えている。『心が叫びたがってるんだ。』の熊澤尚人監督、そして今回の廣木隆一監督と、俳優の演出には定評のある監督との出逢いのタイミングにも恵まれており、既に大器の片鱗がうかがえる。

重要なのは、彼の俳優としての肌触りは、佐藤浩市とも、三國連太郎とも、まるで違っているということ。佐藤にしても、三國にしても、タイプこそ違うが、いずれもアクの強い演じ手である。若い頃はなおさらそうだった。寛 一 郎には、いい意味でそのアクがない。どんな色にでも染まれる柔軟性が感じられる一方、キャラクターのイノセンスを大切に伝える資質にも恵まれている。彼が二世スターと呼ばれなくなる日は案外、早いかもしれない。

(文/相田冬二@アドバンスワークス)

記事制作 : アドバンスワークス

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