直木賞作家・重松清が1996年に発表した傑作小説を映画化した『幼な子われらに生まれ』が、8月26日(土)より全国公開される。映画『しあわせのパン』(2012年)、『繕い裁つ人』(2015年)などで知られる三島有紀子が監督し、ハリウッドでも活躍する国際派俳優・浅野忠信が主演した話題作だ。本作で浅野忠信が演じるのは、一見すると良い父親だが、実際はバツイチ同士で再婚した妻の連れ子とうまくいかず、悶々とした日々を過ごすサラリーマン、信(まこと)。ドキュメンタリー手法の撮影に正面からぶつかり合った彼に、本作への熱い思いの丈を語ってもらった。

自身とは異なる父親像に共感

Q:脚本を最初に読んだときの印象を教えてください。

とても面白くて、このまま撮れば絶対に良い映画になると確信しました。

Q:具体的には、どのようなところが気に入りましたか?

主人公の信は、頑張って自分を変えようと見せかけておいて、何ひとつ変われない男なんです。しかも映画の最後では、彼ではなく周囲の人々が変わっていく、そこが面白いなと感じました。

Q:主人公が成長していくわけではないと?

そうですね。主人公が成長するのではなく、周りが変わっていくところに惹かれました。

Q:ご自身の体験と重なる部分はありましたか?

僕の娘は成人しているので、思い起こしていくような作業でしたね。僕は会社勤めの人間ではなく、かなりぶっ飛んだ感じで娘に接していたので、信とは全く違う父親だったと思います。例えば、僕が娘に彼氏の相談をされたときに言っているのは、“許してあげて”。女の子は、男のどうしようもなくダメなところで悩むわけですが、父親である僕も恥ずかしながら同じであって(笑)。だから父親というより同じ男として謝るような気持ちで、“お前がそいつのことを好きで、楽しい時間を過ごしているのなら、許すしかないんじゃないの?”と言っていますね。

Q:娘さんが恋の相談をしてくれるんですね。

はい。相談になっているのかどうか、分からないですが(笑)

Q:国内外でご活躍されている浅野さんの作品選びの基準は?

基本的には、オファーが来た作品すべてをやりたいと思っています。面白い、つまらないではなくね。面白い作品はそのまま面白くすれば良い、つまらない作品は面白くすれば良いわけですよ。作品が面白くなるかどうかは僕ら次第。そういう気持ちで、作品に取り組みたいと思っています。

インタビュー時の衣装は自身でスタイリング

Q:プライベートに関してもお伺いさせてください。本日の衣装はご自身でスタイリングされたそうですね。Tシャツにご自身のお名前が入っていますが、オリジナルですか?

映画『新宿スワンII』(2017年)で共演した深水元基(ふかみもとき)くんが洋服のブランド(アパレルブランド、montee)を手掛けていて。僕が描いた絵をTシャツにしてくれたんですよ。

Q:とてもよくお似合いですね。ファッション・アイコンでもある浅野さんのファッション・ポリシーは?

子どもの頃からおしゃれするのが好きなんです。昔、母親が古着屋をやっていて、そのときに学んだことは、ブランドで服を選ばないこと。かっこよく見えれば、どこのブランドでも気にしません。

Q:憧れのファッション・アイコンを教えてください。

いま、真っ先に頭に浮かぶのは、ジョン・ルーリー(アメリカ出身のサックス奏者、俳優、画家)。彼は何でもないシャツやスラックスを着ているんです。そういうシンプルな服をおしゃれに着こなせる人は、かっこいいなと思いますね。

『幼な子われらに生まれ』
8月26日(土)より、テアトル新宿・シネスイッチ銀座ほか全国公開
配給/ファントム・フィルム
公式サイト/http://osanago-movie.com
(C) 2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会

取材・文/田嶋真理 写真/横村 彰