『容疑者Xの献身』(2008年)、『プラチナデータ』(2013年)など、これまで数々の原作が実写化されてきた日本を代表する作家・東野圭吾。彼の世界累計発行部数800万部を記録した「東野圭吾史上、最も泣ける感動作」と呼ばれるベストセラー小説を、Hey! Say! JUMPの山田涼介主演で映画化したのが『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(9月23日公開)です。

一通の手紙を発端として、時空を超えて人々がつながる、ファンタジーの本作。泣けるストーリーとともに観る者の心を強く揺さぶるのが、山下達郎が新たな作風で書き下ろしたという主題歌「REBORN」です。人の心にそっと寄り添うような、この楽曲はストーリーと絶妙にリンクしています。

どんな相談にも乗ってくれる雑貨店に訪れた、手紙が導く優しい奇蹟

(C)2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

1980年、どんな相談にも乗ってくれるというナミヤ雑貨店の店主・浪矢は商売の傍ら寄せられた悩み事への回答を掲示板に張り出したり、深刻なものは牛乳ポストに入れて返信していました。

時は過ぎ2012年、空き家となったナミヤ雑貨店でワケありの青年3人が夜を明かしていると、そこへミュージシャン志望の男性から、32年前の日付で「音楽を続けるか迷っている」という相談の手紙が届きます。3人がミュージシャンをやめるように勧める手紙を返信すると、その辛辣な内容に落ち込む男性でしたが、音楽への熱い想いをナミヤへと伝えるため、手紙を投函口に挟んだままオリジナル楽曲を演奏します。そのメロディがシャッターを通して漏れ聴こえてきた時、3人は知り合いのアーティスト・セリの代表曲「REBORN」に酷似していることに気づき……。

山下達郎が模索と推敲の果てにクリエイトした主題歌「REBORN」

セリが歌うこの曲、原作では「再生」というタイトルが付けられていました。映画化にあたり、山下はこの劇中歌を1から創造し、かつエンドロールでは主題歌として自ら歌うことに。この虚実ないまぜの状況は、これまで手がけた楽曲提供の中でも「1、2を争う難しい注文だった」とコメントしています。

そして1ヶ月半にわたる模索と推敲の果てに出来上がった「再生」改め、主題歌「REBORN」。人はどこから来て、どこへ行くのか……。「死生観」をテーマに紡がれたという、この抒情的な曲が、映画のテーマとなる「時代を超えてつながる“人々の想い”」を観る者の心に感動とともに届けます。

主題歌「REBORN」はどうストーリーとリンクする?

小さい頃に養護施設で育ったセリは、そこで弟の命を救ってくれた恩人に出会います。その人が遺したメロディにセリが歌詞をつけて作った曲が「REBORN」です。劇中では門脇麦がセリに扮し、ライブ会場で魂のこもった歌声を披露していますが、その熱唱には、もう会うことの叶わない恩人への哀惜や感謝の気持ちがあふれ、頬を伝う一筋の涙が観る者の心を揺さぶります。

自分が置かれた、決して順風満帆ではない境遇の中で、絶望にとらわれることなく、どう生きていくべきなのか……。「悲しまないで うなだれないで」とつづられた「REBORN」の歌詞のように、悩み、傷つきながらも今を懸命に生きようとする人々の力強い人生の営みが、映画では描かれているのです。

ナミヤ雑貨店を軸に、時空を超えて手紙が届くという不可解な現象が幸せな奇蹟へと変わる時、年代の異なる彼らの想いが、ついに一つにつながります。そしてほろ苦くも清々しいエンドロールで流れるのは、山下達郎が歌う主題歌「REBORN」。

優しさの中にも哀愁漂う歌声が、作品全体を確かな温もりで包み込み、深い感動が押し寄せた後には自然と勇気づけられていることに気づくはずです。一歩を踏み出すことに臆病になっている全ての人々にメッセージを発信しつつも、映画のテーマとなる“つながる想い”を見事に具現化した名マエストロ・山下達郎。涙腺崩壊に備えて、劇場に足を運ぶ際はハンカチをお忘れなく。

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)