(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

心の拠り所は大切な人の死…究極の“夫婦愛と家族愛”の物語『ユリゴコロ』

コラム

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『リバース』(2015年)の湊かなえ、『殺人鬼フジコの衝動』(2008年)の真梨幸子と共に、読んだ後に嫌な後味が残るミステリー、「イヤミス」の女王として名を馳せる、沼田まほかる。デビュー以降、なかなかヒットに恵まれなかった沼田ですが、2011年に刊行したミステリー小説『ユリゴコロ』は、発売からまもなくセンセーションを巻き起こし、累計販売部数25万部を超える話題作となりました。

そんな『ユリゴコロ』が満を持して、『君に届け』(2010年)、『近キョリ恋愛』(2014年)、『心が叫びたがってるんだ。』(2017年)の熊澤尚人監督の手によって映画化されました。この秋必見の衝撃作は、どのような見どころを詰め込んだ作品なのでしょうか。

過去と現代を交錯しながら描かれる殺人者・美紗子の宿命と葛藤

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

原作小説『ユリゴコロ』(2011年)の面白さは、常軌を逸したエグいホラーサスペンスが、次第に心を揺さぶられる愛の物語へと変貌を遂げていく点にあります。読み始めは全身の血が凍るような恐怖感の連続ですが、クライマックスに向かっていくにつれ、胸の中が熱い感情でいっぱいになります。こういった展開は多くのミステリー小説ではなかなか体感できません。

そんな前代未聞の物語を簡潔に概説するなら、「大切な人の死」だけを心の拠り所として生きる哀れな殺人者の宿命と葛藤を、過去と現在の交錯の上に描く新感覚ミステリー、という表現が当てはまるかもしれません。謎のヴェールに包まれた殺人者・美紗子、彼女との電撃的な出逢いにより数奇な運命をたどる洋介、あるノートを発見したことから重大な秘密に迫る亮介……ばらばらに散在する点が線で結ばれていくたびに、興奮を覚えずにはいられません。

吉高由里子、松山ケンイチ、松坂桃李ら、“迫真”の熱演

(C)沼田まほかる/双葉社 (C)2017「ユリゴコロ」製作委員会

主人公・美紗子を演じるのは、そこはかとなく香る危うさと霧に包まれたようなミステリアスさが魅力の吉高由里子。NHK連続テレビ小説「花子とアン」(2014年)での主演をはじめ、『蛇にピアス』(2008年)でのルイ役、『GANTZ』シリーズでの小島多恵役など、多様なキャラクターを演じてきましたが、意外にも殺人者の役を演じるのは本作が初めて。吉高いわく、今回の役どころには共感しづらい部分も多く、演じるのがなかなか困難だったとのこと。しかし、久しぶりとなる映像作品への出演で、女優として貴重な経験を積んだとも語っています。

そんな吉高演じる美紗子と鮮烈な出逢いを果たし、波乱の人生を歩むことになる洋介役にキャスティングされたのは、作品によって全く別人格を憑依させることのできる特異なカメレオン俳優、松山ケンイチ。「暖かく、柔和で、暗くなりがちな役柄」を演じるにあたり、苦心してイメージを掴んでいったとのこと。熊澤監督とはかつて仕事を共にしたことがあるだけでなく、プライベートでも交流があり、良い関係を構築しながら最後まで撮影にのぞむことができたそうです。

そして現代の世界で奇妙なノートにめぐりあい、自らの出生にもかかわる秘密と謎に触れていく亮介役を熱演するのは、映画、テレビドラマ、舞台など、あらゆる分野で大活躍の松坂桃李。松坂は物語を読んだ際、ミステリーでありながら人間ドラマの深層部をえぐっている「非常に不思議」な作品という感想をもったようです。奇しくも近いタイミングで沼田まほかるを原作者とする別の映像作品にも出演することが決まり、“縁”を感じたといいます。「過去の出来事を想像しながら、現在の物語を大切に演じていきたい」との意志が全面に現れた松坂の“迫真”の演技は必見です!

記事制作 : YOSCA

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