2017年夏のドラマで高視聴率をキープしている「カンナさーん!」(TBS系)で主演を務める渡辺直美。人気コミックが原作で、原作者の深谷かほるが渡辺の主演を熱望しただけあって、原作そっくりのビジュアルとポジティブな肝っ玉母さんぶりが「ハマり役!」と、もっぱらの評判。原作のイメージを裏切らない渡辺の好演ぶりに、深谷も「あの魅力は、渡辺直美さんが『表現』を研究し尽くし、磨き上げておられるからだと思います」と自身のTwitterで絶賛するほどだ。

原作コミックから飛び出したかのような驚異のキャラクター再現度

渡辺のように、今期のドラマで活躍する芸人は少なくない。同じく「カンナさーん!」に出演するシソンヌのじろうは、要潤扮するカンナの夫のお調子者の同僚を好演。本業のコントでも憑依型の演技に定評があるじろうは、NHK連続テレビ小説「まれ」など、これまでにも数多くのドラマに出演している。

シソンヌは「キングオブコント2014」(TBS系)の覇者だが、「キングオブコント2010」を制したキングオブコメディとして活躍していた今野浩喜も、ドラマに映画に引っ張りだこだ。今期も話題のドラマ「僕たちがやりました」(フジテレビ系)に出演、こちらも原作はコミックだが、今野が扮するキャラクター「パイセン」が原作から飛び出したかのような再現度の高さで、「パイセン役の今野ハマりすぎ!」といった絶賛コメントがネットに多く挙がっている。

「キングオブコント」決勝の常連で、最近は「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)の準レギュラーとして老若男女から愛されているロッチの中岡創一も「ハロー張りネズミ」(TBS系)で初めて連続ドラマのレギュラーに抜擢され、やはり原作のキャラクターそのままだと称賛されているようだ。

若手からベテランまで演技力に定評のある芸人がドラマで大活躍

さらに2017年夏ドラマは「わにとかげぎす」(TBS系)で主演を務めるくりぃむしちゅーの有田哲平をはじめ、「ひよっこ」(NHK総合)にエレキコミックのやついいちろう、「脳にスマホが埋められた!」(日本テレビ系)にメイプル超合金の安藤なつ、「ウチの夫は仕事ができない」(日本テレビ系)にイモトアヤコ、「セシルのもくろみ」(フジテレビ系)にチュートリアルの徳井義実、「僕たちがやりました」(フジテレビ系)に130Rの板尾創路と、若手からベテランまで芸人の活躍が目立つ。

来年のドラマのラインナップを見ても、大河ドラマ「西郷どん」 (NHK総合)のキャストにドランクドラゴンの塚地武雅が名を連ねているし、現時点では主要キャストしか発表されていない来年1月スタートの「99.9-刑事専門弁護士- SEASON II」(TBS系)には前作に引き続きラーメンズの片桐仁が出演するようだ。

ピン芸人やコント芸人はさまざまなキャラクターを演じることが要求されるし、漫才コンビでもネタによっては演技力が必要となる。コントや漫才で演じるのはデフォルメしたキャラクターが多いだけに、コミックのキャラクターを再現する能力に長けているのは、前述した渡辺や今野が証明している。またバラエティで培われた場の空気を読むスキルやアドリブ力が、ドラマの現場で活かされることも多いだろう。

本職の俳優にはない個性的な演技を武器に、ますます芸人のドラマ進出は増えそうだ。

(文/猪口貴裕)