(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

人類VS猿の熱き戦い…『猿の惑星』シリーズを通じて描かれた激闘の歴史を振り返る!

コラム

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猿が支配する社会で、人間が下等生物として扱われるという衝撃的な内容と、驚愕のラストで、世界を震撼させた『猿の惑星』(1968年)。SF映画の金字塔となった、この作品。時間を飛び超えて人類と猿たちが争いを繰り広げる旧シリーズ5作品、ティム・バートン監督がメガホンを握ったリブート作、そして猿による支配の興りを描いた新シリーズ2作品と、これまで8作品に渡り、両者の戦いが描かれてきました。

そして10月13日には新シリーズの3作目『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』がついに日本に上陸! 非道の限りを尽くす人類と、反旗を翻す猿たちの戦いは最終局面を迎えます。最終決戦をより楽しむには、新シリーズの2作品はもちろんのこと、旧シリーズまで知っておきたいところ。いかに人間の行いが残酷なものかが分かり、そして新シリーズのキモとなる“猿たちの気持ち”が分かるんです。

未来、過去、時代を超えて争い続ける人類と猿

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旧シリーズの特徴は、その壮大な世界観です。類人猿に支配された惑星に不時着し、猿たちに捕えられた宇宙飛行士のテイラーが、類人猿のジーラとコーネリアスの協力で危機を脱し、驚愕の事実を知る1作目。そして人類と猿たちの戦いにより、コバルト爆弾が発射され最後には惑星が消滅してしまう2作目『続・猿の惑星』(1970年)は、猿が惑星を支配する未来を舞台に話が展開していきます。

しかし、続く3作目『新・猿の惑星』(1971年)で舞台が過去へと移行すると、猿は支配される側へと立場が変わっていきます。2作目で描かれた惑星の消滅の直前、宇宙船で命からがら脱出を図っていたジーラとコーネリアスは、なんと1973年の過去へとタイムスリップ。ひょんなことから、猿が未来の惑星を支配することを人類に知られると、危険視されたジーラたちは人間の手で殺害されてしまいます。

4作目『猿の惑星・征服』(1972年)では、前作から約20年後の世界で、猿は奴隷として人間に仕える立場に。人間に虐待を受ける猿の姿を見た、ジーラたちの息子マイロは猿のリーダー・シーザーとなって反旗を翻し、そしてシリーズ完結編『最後の猿の惑星』(1973年)では人類と猿の戦いが核戦争にまで発展。類人猿が惑星の覇者になりましたが、一族を率いるシーザーは両親が遺したビデオテープを見て、惑星に起こった未来の悲劇を知り、人間との共存の道を模索し始めるのです。

初めにテイラーが不時着し、惑星が消滅したのが3955年の話。ジーラたちがタイムスリップしたのが1973年ですから、なんと約2000年にわたる人類と類たちとの戦いの歴史が映し出されます。猿による支配、人類による支配と時代によって立場が変わり、主人公も時に人間、時に猿と作品によって移ろいます。時系列を飛び交う展開と、この単純な善悪で割り切らせないストーリーがもたらす作品の深みが、シリーズの傑作たる理由なのです。

非道の限りを尽くす人間に対し、猿の怒りが爆発!

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一方、ある1匹の猿にフォーカスすることで、人間を徹底して悪者として描いているのが新シリーズです。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(2011年)の舞台は、現代のサンフランシスコ。製薬会社の研究所で作られたアルツハイマー治療の新薬によって、飛躍的に脳を発達させた母猿が宿した赤ちゃん猿・シーザーは、研究所の職員だったウィルに命を救われます。ウィルの手により大切に育てられていたシーザーでしたが、トラブルを起こし保護施設に収容されることに。そこで人間から激しい虐待にあったシーザーは、保護施設に新薬を撒いて人類に反旗をひるがえします。

そして反乱から10年後、猿インフルエンザウイルスにより人類の90%が死滅した世界が描かれる『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(2014年)。カリスマリーダー・シーザーが統治する集落で、猿たちは平和に暮らしていました。しかし、彼らが保有する水力発電施設を乗っ取ろうと、武装した人間が襲来。シーザーは人間たちに対し、互いの不可侵を宣言しますが、人間に恨みを持つ類人猿コバがクーデターを画策。コバの陰謀により、人類と類人猿は命運をかけた全面戦争へ……。

新シリーズでは類人猿であるシーザーを軸に、彼の数奇な運命がつむがれます。人間に育てられたシーザーは共存の道を探るものの、対する人間側が非人道的で無慈悲な行為を行う様子には本当に切ない気分にさせられ、怒りすら覚えてしまいます。そんな人類に対し、共存か闘争か、類人猿のリーダーとしての葛藤が語られることで、人間である我々も思わず猿側に感情移入してしまうのです。

そして猿の惑星へ!『猿の惑星・聖戦記(グレート・ウォー)』

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全面戦争から2年後。冷酷非情な大佐率いる軍隊に家族を殺されたシーザーは、集落の生き残りの猿たちを安全な場所に逃がし、自らは復讐の旅に出ます。しかしそこで過酷な重労働をさせられている仲間を発見したシーザーは、リーダーとしての使命に目覚めるのですが……。最終局面を迎えた人類VS猿たちの戦いの結末はどうなるのでしょうか!?

旧シリーズの根底には“人種差別”というテーマがあります。人類を白人、そして猿を有色人種に見立て、“ベトナム戦争”や“核への脅威”など当時の世相と絡めながら世界の状況を危惧しているのです。その一方、新シリーズでは、シーザーの怒りや葛藤という感情面に焦点をあてることで、エモーショナルに物語がつむがれ、心を激しく揺さぶる演出が施されています。

それぞれアプローチ方法は異なりますが、全シリーズを通じて描かれるテーマは “文明社会への警鐘”と“共存への願い”。長きに渡り繰り広げられてきた人類と猿との戦いがどう完結していくのか、全てのピースがハマった先に広がる景色をどうぞご堪能ください!

(文/足立美由紀・サンクレイオ翼)

記事制作 : サンクレイオ翼