『ナラタージュ』10月7日(土)全国ロードショー
(C)2017「ナラタージュ」製作委員会 配給:東宝=アスミック・エース

松本潤、有村架純の生々しい“恋愛”を映し出した『ナラタージュ』行定勲監督インタビュー

インタビュー

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文=高村尚/Avanti Press

「お願いだから私を壊して、帰れないところまで連れていって見捨てて、あなたにはそうする義務がある――」。島本理生の小説「ナラタージュ」の裏表紙には、そう書かれていた。許されない恋なのはわかっている。それでも離れられないのだから、むしろ戻れないところまで突き進んで、愛することで壊してほしい。幸せな記憶を閉じ込めたまま……。そんな意味合いなのだろう。かなり官能的な小説だ。この「ナラタージュ」が、松本潤、有村架純で映画化された。監督は行定勲。『GO』(2001年)、『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004年)、『ピンクとグレー』(2016年)などを手掛けて数々のヒットと映画賞をものにしてきた監督だ。その行定監督でさえも、“大人の”恋愛小説を映画化するまでに10年かかったという。様々な苦難を乗り越え完成した本作で、松本潤に、有村架純に、その“官能”をどう演出したのか、行定監督にうかがう。

少女コミック原作の恋愛映画への挑戦状!?

行定勲監督

――2005年に書き下ろしで出版され、2006年版「この恋愛小説がすごい!」で1位を獲得した『ナラタージュ』。高校時代、強く惹かれていた先生・葉山に大学生になって再会した女性・泉が禁断の恋におちていく姿を回想形式で語ったラブストーリー。なかなか映画化できなかったとうかがいましたが、どんな理由があったのでしょう?

行定 もともとこの企画は某映画会社からいただいたものでしたが、大人の恋愛映画として脚本を書いたら、濡れ場があるし、それゆえキャスティングも難しい。これはリスクが大きいと言われてしまって……。その後、少女コミックの映画化作品が増え始めて、最初の頃こそ新しさを感じましたが、「まだ続くの!?」と言いたくなるほど、いまだに政権交代せずに続いている。もういい加減、新しい恋愛映画を作ろうじゃないかと。ヒロインはティーンエイジャー向け恋愛映画と同じ年頃の女の子である『ナラタージュ』は、大人も面白がるようなものにしたい。そう思って脚本を持ち歩き、ことあるごとに「こんな企画あります」と売り込んできたんですが、「スケジュール、空いているならこちらはどうです?」と逆に少女マンガ原作の脚本を渡される始末(笑)。そんな10年間でした。

――究極の大人の恋愛映画といえば成瀬巳喜男監督の『浮雲』(1955年)。当時、絶対的な人気を誇った森雅之と高峰秀子が、離れても離れてもまた寄り添ってしまう運命の恋人たちを演じました。『ナラタージュ』には有村架純がこの『浮雲』を見ているシーンがあります。松本潤演じる葉山先生、有村演じる泉の関係にこの映画をなぞった部分はありますか?

行定 もともと原作の葉山先生が映画好きという設定で、泉もその影響で映画が好きになり、重要なシーンで『エル・スール』や『存在の耐えられない軽さ』が登場します。映画版では、私がものすごく影響を受けた成瀬巳喜男の『浮雲』にしようと。もともと『浮雲』は東宝の映画。でも成瀬のような映画をずいぶん長い間、東宝は作ってこなかった。そういう時代への皮肉も含めて(笑)。

――松本潤さんのキャスティングは、『ピンクとグレー』のプロデューサーでもある小川真司さんの発案だそうですね。

行定 そうです。小川プロデューサーの審美眼というか。この企画は今の時代にはエッジが効きすぎている。この企画を通すなら、そしてこの役を演じることができるのは、彼しかいないという選択でした。そして僕はかねてより一緒に何かやりましょうと話していた有村架純を口説いた。彼らが揃ったことで最後の勝負に出られたわけです。

記事制作 : Avanti Press(外部サイト)

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