映画『ユリゴコロ』は9月23日より全国公開

『ユリゴコロ』吉高由里子 インタビュー

インタビュー

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大藪春彦賞受賞、本屋大賞ノミネートなど、“まほかるブーム”を起こした、沼田まほかるのベストセラー小説を映画化した『ユリゴコロ』。人間の死を心の拠り所にして生きる、謎に包まれた美紗子を演じた吉高由里子が、初めて挑戦した殺人者役について振り返った。

主演としての責任感を再認識

Q:『僕等がいた』シリーズ以来、5年ぶりとなる主演映画ということについて、どのように思われましたか?

言われて気が付くぐらいで、「5年って、アッという間だな」と思いました。5年ぶりということを観る人はどう捉えるのかな? とか、いろいろ考えています(笑)。そして、今回主演としての責任の大きさに改めて気付きました。たとえば、自分から撮影現場の雰囲気を作るとか、自分と直接関わってないスタッフさんの存在について把握することの大切さとか。そこに気付くようになったのも、場数を踏んで周りが見えるようになったからだと思います。自分の出番のときだけ出て行って、終わったらすぐに控室に戻るだけより、みんなでワイワイやる方が断然楽しいし、いい作品になると思いました。

Q:初めて殺人者を演じる覚悟や美紗子という役について教えてください。

原作や台本を読むかぎり、そもそも私と全然違う人間なので、共感できる部分や理解に苦しむこともありませんでした。もともと「こういう役をやってみたい!」と思っていたのですが、実際やってみると難しかったです(笑)。自分が殴り殺すようなシーンは、何回もできるわけではないですし、「相手の役者さんにケガをさせてしまったらどうしよう?」という怖さはありました。

Q:共感できない中、美紗子のキャラクターをどのように捉えましたか?

美紗子は、愛を知らないから独りで強く生きていたのかな? と思います。でも、誰もが一度は通る道というか、小さい頃って、虫とか平気で殺したと思うんですよ。カタツムリ見つけたら殻から引っこ抜いたり、トンボの羽をちぎったり、そういったものが違う方向に進んでしまったんじゃないかと。まるで、軌道を見つけられないまま、どこかに飛んでしまった飛行機のような感じ。そんなとき、(松山ケンイチ演じる)洋介と出会い、今まで感じたことのなかった愛情や温かさを知り、過去を清算してまでも、誰かを守りたいと思うようになったんだと思います。

フライパン殺人シーンの裏エピソード

Q:劇中、目を背けたい殺人シーンもありますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

チーフのカメラマンさんが同い年だったり、全体的にスタッフさんの年齢層が若かったりして、そういう撮影現場に驚く自分もいたんですけど、基本ワイワイ賑やかにやっていました。でも、殺人シーンはやっぱり緊張感ある雰囲気になりました。私がフライパンで殴り殺すシーンでは、相手の役者さんがケガしないよう底が柔らかい特殊なフライパンを作ってもらったんですが、本番では興奮してしまい、硬い柄の部分で殴っていたんです。途中、鈍い音がして気付いたんですが、「もう一回やると迷惑がかかる」と思い、そのまま続けたんです。それでカットがかかった瞬間に「すみません! 大丈夫ですか?」と言ったら、相手の方は「大丈夫」と言ってくれたんですが、その後ずっと頭に氷のうをのっけていました。あのときは、本当に申し訳なかったです。

Q:『GANTZ』シリーズ以来となる、松山ケンイチさんとの共演はいかがでしたか?

ただでさえキャストの数が少ないのに、私が演じた美紗子がどんどん殺してしまう設定なので、待ち時間に一人になることが多くて、寂しくて沈んでいたときもありました(笑)。だから、松山さんとご一緒することになって、「時間を共有できる人がいるって、ホント素敵だな」と思って、それこそ心の拠り所でした(笑)。『GANTZ』シリーズのときは、ほとんど話していなかったのですが、面白くて、好き嫌いがハッキリしたブレない方。とても物知りだし、撮影がお休みの日には、家族旅行に行かれるぐらい家族思いなところも素敵でした。

Q:吉高さんと松山さんが出演する「過去編」と松坂桃李さんや清野菜名さんらが出演する「現在編」との関係性も見どころですよね?

1本の映画なのに、台本も最終的に2冊に分けて作られたみたいで、私の知らないことが多すぎるんです(笑)。自分の役が小さい頃から数人がかりで演じられていることは、どこか不思議な感じがしますし、映画の中で松山さんの顔に変化が起こるところにも注目です。監督の意図もあって、ホクロがあったり、なかったりするんですが、雰囲気がガラッと変わるんですよ! ミステリーとサスペンスに、ラブストーリーの要素も加わって、いろんな感情が入り乱れる感じが演じていて楽しかったです。

リフレッシュ方法と30代への抱負

Q:今、吉高さんにとって「ヨリドコロ(拠り所)」になっているものは?

自分の時間です。仕事から家に帰って、明日の分の台本を読んで、お風呂に入ったりして、あとは寝るだけになったとき。いちばんホッとする時間ですし、そこから一杯飲みながらご飯作ったりとか、ゲームをしたりしています。

Q:長期休暇中に海外を旅されていたそうですが?

日本にいてもなかなかリフレッシュできないと思ったし、今まで見たことのない風景を見たかったので、世界中を旅していました。アメリカはロサンゼルス、ラスベガス、フロリダ、ニューヨークを巡って、あとは韓国やシンガポールとか東南アジア圏。スペインとグアムも行きました。いちばん遠かったのは、野生動物を見に行った南アフリカですけど、危なさでいえばイタリアも怖かったです。いろんな貴重な経験をして、リフレッシュさせてもらいました。

Q:7月に誕生日を迎えられましたが、20代最後の1年をどのように過ごされたいですか? 今後の目標も踏まえて教えてください。

30歳を迎える実感はわかないですが、今日という日は一度しかないことを噛みしめたいです。29歳になって、初めて人間ドックに行ったんです。25歳のときに、「四半世紀生きたから、行ってみよう!」と思ったんですが、なかなかタイミングが合わなくて、やっと行けたんです。これからは毎年、定期的に行こうかなと思っています。体調が悪くなってから、病院に通うのは大変ですから。女優としての目標は、自分が観返したくなる作品に出会うことと、そういう作品を作ること。あと、人としての目標は、これまでと変わらず、「また会いたい」と思われる人間になることです!

取材・文:くれい響

写真:日吉永遠

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)

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