才色兼備な理想の女性を演じることもあれば、激しいアクションをこなしたり、小説や漫画のキャラクターを実写に落とし込んだり……。さまざまな役を演じきり、私たちに感動を与えてくれる女優。彼女たちは美貌だけでなく、過酷な撮影を耐え抜く“プロ根性”が備わっているように思います。

彼女たちは、そうした芯の強さをどこで鍛えているのでしょうか。現在活躍している女優を探ってみると、かつて死体役・死ぬ役を演じている人が、少なくないことがわかりました。そこで、プロ根性を鍛えるのに貢献したであろう“死体演技”にフォーカスしてご紹介します。

『リング』(1998年)で貞子の最初の犠牲者となった竹内結子

連続テレビ小説「あすか」(1999年)で人気を集め、「真田丸」(2016年)や、『クリーピー 偽りの隣人』(2016年)、「A LIFE〜愛しき人〜」(2017年)など、近年もさまざまな作品への出演が続く竹内結子。そんな彼女も死体役を演じていたことがありました。

当時17歳だった竹内は、『リング』(1998年)で、貞子の最初の犠牲者となる女子高生を熱演。押し入れの中で、白目で口をあんぐりと開けた苦悶の表情で死んでいる姿は、現在の爽やかな笑顔からは、想像がつかないほどの恐ろしさ。本作の序盤における衝撃的なシーンとして演出されています。

竹内は『残穢 ー住んではいけない部屋ー』(2016年)出演時のインタビューで、「(『リング』で)演じているときはわからなかったけれど、完成した映像を観てトラウマになった」と当時を振り返り、しばらくホラー映画を遠ざけていたことを明かしています。

『リング2』(1999年)で竹内結子に負けない死に顔を披露した深田恭子

『リング』で迫真の死体演技を見せているのは、竹内結子だけではありません。実は『リング』(1998年)の続編となる『リング2』(1999年)で、当時17歳の深田恭子も死んでしまう女子高生役を演じているのです。

深田もまた「呪いのビデオ」の犠牲者となり、口を開けて、目をひんむいた状態で発見されます。竹内に負けず劣らずの死に顔はもちろん、ビデオによって取り憑かれてしまった演技も見もの。ラストでは不敵な笑みを浮かべ、恐怖の余韻を残すという重要な役を担っており、言われなければ深田恭子だとわからないほどの形相を見せています。

当時のインタビューによると、それまで大口を開けたことがあまりなかったため、死体を演じた際に口の端が切れてしまったそう。また、仕上がりを観た際には「自分が怖かった」とコメントしています。

仲間由紀恵の死体役は『リング』ではなく、意外にも『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)

竹内結子、深田恭子のほか、佐伯日菜子や木村多江、矢田亜希子など、後に一線で活躍する女優を多く排出している『リング』シリーズ。中でも『リング0 バースデイ』(2000年)の貞子役で注目を集めたのが仲間由紀恵でした。しかし、仲間が死体役を演じているのは、意外にも『リング』ではなく、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)なのです。

劇中で友人たちとキャンプを楽しんでいた女子高生役の仲間は、謎の生命体「イリス」の捕食によってミイラ化し、あっけなく死亡してしまいます。出演時間はわずか1分ほどで、名前のない役どころであるなど、まさに無名時代の出演だったと言える貴重なシーンです。

今年放送されたドラマ「そして誰もいなくなった」(2017年)では、テレビでは初となる殺され役を演じている仲間。「撮影の時期は嫌な夢を見るようになった」と苦笑いしていましたが、やはり死ぬ役は心身ともに負担が大きいようです。

『リアル鬼ごっこ』(2008年)で死ぬ役を経験済みの波瑠は、死体役に気遣いも

「あさが来た」(2015年)、「あなたのことはそれほど」(2017年)など、活躍がめざましい波瑠ですが、下積み時代が長く、オーディションに200連敗ほどしていた時期がありました。当時の出演作において、彼女もまた死ぬ役を演じています。

『リアル鬼ごっこ』(2008年)で女子高生役を演じている波瑠の登場シーンは、作品が始まってから1分半ほど経った頃。友人たちに「じゃあね」とひと言告げると、自ら踏切をくぐり、やってきた電車に轢かれて死亡してしまうだけの役でした。

昨年放送された主演ドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」(2016年)の制作発表会見では、「死体の役ってすごく大変。寝かされて、血のりを塗られたら動けない。『早く終わりますように』という気持ち」と語り、死体役の大変さがわかるからこその気遣いを見せました。

すでに9回死亡!死体役の若きホープ、前田希美

多くの女優が死体役・死ぬ役を演じていますが、中には劇中での死亡回数9回を数える“死にすぎ”な女優がいました。前田希美は『ピチレモン』や『Popteen』のモデルを経て、女優になった24歳の若手ですが、『携帯彼氏』(2009年)、『リアル鬼ごっこ4』(2012年)などで数々の死ぬ役を演じています。

ヘアアイロンで感電死したり、エレベーターで潰されたり、トラックに轢き殺されたりと、死に方も特殊。本人は、『臨場 劇場版』(2012年)で10回近く通り魔に刺されて、死ぬ役が特に大変だったと、コメントしています。『リアル鬼ごっこ4』(2012年)の安里麻里監督は、「普段は普通の可愛らしい女の子なんですけど、役に入った時の圧がすごい」と絶賛しており、まさに死ぬ役で演技力を磨いている女優だと言えそうです。

動いてはいけない、苦しい表情をキープしなくてはいけないなど、身体的に大変であることはもちろん、精神面においてもダメージがかかることが予想される“死体役・死ぬ役”。しかし、それらをこなした後には女優としての成長が待っているのかもしれません。つい端役だと思いがちですが、見逃さずにチェックしてみるのも一興です。

(鈴木春菜@YOSCA)