台湾・中国の若者たちは日本に比べてインターネットで小説やコミック、ドラマを楽しむ人口が多く、そこから大きなブームが生まれることも珍しくない。近年その人気ジャンルの一角を占めているのが、日本のアニメやコミックなどから影響を受けたBL(ボーイズラブ)。BLを愛する女子を指す“腐女子”は中国語では “腐女(フーニュー)”と呼ばれ、最近では “BL”“腐”という言葉の意味が一般にも広く知られるようになってきた。

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 実は、台湾は日本よりもLGBTへの理解が進んでいることで知られている。今年、同性婚を認めないのは憲法違反という判決が下り、アジアで初めて同性婚認可に向けて動き出した。小説や映像作品でも、白先勇の小説をドラマ化した『孽子(ニエズ)~Crystal Boys』(03)、映画「藍色夏恋」(02)「花蓮の夏」(06)「GF*BF」(12)など、同性愛をテーマにした名作がコンスタントに作られているのはそういった土壌があってこそ。さらに、今年はWEBドラマのBLシリーズ『HIStory』が3ヵ月で350万再生を達成する大ヒットとなったことが大きな話題となった。インターネットで気軽にBL的“萌え”を楽しめるこのシリーズは、台湾ですでに第2弾が今年12月配信を予定している。

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 片や、あらゆる分野で政府の検閲が厳しい中国は台湾とは事情が違う。非道徳的と見なされがちなBL作品は劇場公開やテレビ放送が難しい。そのため、インターネット小説を映像化した「双程」も『ハイロイン〜上瘾〜』もWEB限定の公開となったが、これらは大きな反響を呼び、その人気がメディアでも大々的に報道された。その結果、『ハイロイン〜上瘾〜』はすでに際どいラブシーンが一部カットされた上での公開だったにもかかわらず、さらに当局から突然配信停止処分を受けることに。しかし、この出来事がかえって中国でのBL作品の影響力の大きさを証明することとなった。

『ハイロイン〜上癮〜』 アジアドラマチックTVチャンネルにて10月7日より放送 (C)Beijing FengMang Culture Communication Co., Ltd.

 実際、こうしたBL人気はすでに中国のテレビ業界も注目しており、近年は『シンデレラはオンライン中!』『琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~』ほか、多くのテレビドラマにBL要素が盛り込まれるようになっている。テレビではあくまで匂わせる程度の軽い表現ではあるが、 いまや“BL売り”はテレビ業界にとっても視聴者獲得のためのマーケティング手法の1つになっているのだ。

『双程』 アジアドラマチックTVにて12月に再放送予定 (C)Hangzhou Dimensional Culture & Creativity Ltd. All Rights Reserved.

 こうした台湾・中国のBLブームは最近になって日本にも紹介されるようになり、BLドラマが日本で正式に放送・リリースされるという流れも加速してきている。その結果、日本のBLファンがそこを入り口に華流ドラマや俳優たちに触れる機会も増えてきた。こうしたBLを通した文化交流が今後互いにどんな影響を与えていくことになるのか、注目していきたい。

取材・文:Mayuko Kosaka