これまで“地味なスポーツ”という印象が拭えなかった卓球。しかし近年では、福原愛選手の結婚や日本選手のめざましい活躍が話題になったり、2020年の東京オリンピックで男女混合ダブルスが追加種目に採用されたりと、その立ち位置が見直されているように感じられます。

これまでも卓球を題材にした映画はいくつも製作されており、年齢や性別に関係なくできる競技であることから、他のスポーツ映画とは異なる独特な魅力を放っています。今回は10月公開の『ミックス。』を交えつつ、多彩な卓球映画をご紹介します。

名言連発!青春卓球映画の金字塔『ピンポン』(2002年)

アラサー世代から絶大な人気を誇る卓球映画と言えば『ピンポン』(2002年)。ストーリーは卓球少年・ペコの挫折と復活を描く王道的なものですが、人気絶頂だった窪塚洋介と、モデルから俳優に転身した井浦新が主演を、SUPERCARや石野卓球、BOOM BOOM SATELLITESなどの豪華な面々が劇中音楽を務め、当時の若者文化をぎゅっと詰め込んだ勢いのある作品となりました。「I can fly!」「“さん”くれろ」「おかえり、ヒーロー」など、続々と繰り出されるオリジナリティあふれる名台詞を真似した人も多いのではないでしょうか。

また本作は、当時の映画界においてビジュアル再現率の高さも衝撃的でした。窪塚洋介のペコや井浦新のスマイルはもちろん、中村獅童が髪や眉を剃って臨んだドラゴン、スキンヘッドに黒縁メガネをかけた大倉孝二のアクマなど、全員のビジュアルは松本大洋が描く原作漫画そのもの。今日の実写化作品は再現率の高さが話題になることもしばしばですが、その先駆け的な存在と言っても過言ではありません。
15年も前の作品ですが、今見ても新しく、卓球をオシャレに見せてくれる一作です。

「温泉で卓球」ブームを巻き起こした『卓球温泉』(1998年)

寂れた温泉街を卓球で立て直そうと、松坂慶子演じる主婦と街の人々が奔走するコメディ映画『卓球温泉』(1998年)。『Shall We ダンス?』(1996年)のプロデュースチームが手がけているとあり、ほっこりとした笑いに包まれる穏やかな仕上がりになっています。本作が他の卓球映画と異なるのは、“卓球はラリーが続いてこそ面白い”という考えのもと、卓球を競技ではなくコミュニケーションツールとして用いている点です。本作を機に「卓球で温泉をする」という流行が復活しました。

また、松坂慶子の息子役として、当時「ヨースケ」名義で活動していた窪塚洋介が出演しているのも見逃せないポイント。金髪不良少年かと思いきや実は心の優しい息子で、ラストでは蟹江敬三演じる父親とともに母を迎えに行きます。浴衣姿での卓球も披露していますが、『ピンポン』(2002年)で見せる鋭いラリーではなく、あくまで相手を思いやった優しいラリーとなっています。

挑む試合はデスマッチ!? おバカ卓球映画『燃えよ!ピンポン』(2008年)

アメリカでも卓球を取り上げた映画が製作されています。『燃えよ!ピンポン』(2008年)は、かつて卓球の天才少年ともてはやされたものの、気づけば卓球曲芸で細々と生計を立てている中年男が主人公。ある日、裏社会で行われる卓球の世界大会へ出場することになりますが、それはただの卓球大会ではなく、負けると殺されてしまうデスマッチ・トーナメントだったのです。

同時に4人と打ち合うことができるヒロインや盲目の卓球マスターなど、ありえない超人やパロディ、ギャグが全編に散りばめられていますが、クリストファー・ウォーケンやマギー・Q、ロバート・パトリックなど、出演しているのは超一流の俳優陣。製作費は25億円以上かけているとあって、和洋折衷の美術や衣装はとにかく豪華で、CGやカンフーアクションも本格的です。
おバカコメディにも全力で挑むハリウッドの凄みと、もはやアクションと化した卓球プレイが見どころです。

友情は国境を越える!実話から生まれた『ハナ 〜奇跡の46日間〜』(2013年)

1991年に千葉県で開催された世界卓球選手権で、史上初めて結成された朝鮮半島南北統一チーム「コリア」が女子団体戦で優勝しました。その実話を映画化した作品が『ハナ 〜奇跡の46日間〜』(2013年)です。

当時はソ連の崩壊や東西ドイツの統一などが立て続けに起こり、朝鮮半島の統一ムードも高まっていた時代でした。そうした背景の中で、南北朝鮮がともに強豪・中国に匹敵する選手を求めていたことなどもあり、統一チームが誕生。
韓国と北朝鮮の選手は価値観の違いから衝突するものの、次第に友情が育まれ、ひとつのチームとして団結していきます。しかし勝ち進むほどに、双方の間に立ちはだかる南北問題の壁が色濃くなり、北朝鮮の選手たちは急遽帰国することに……。困難を乗り越え、決勝に挑む姿は、涙なくしては見られません。

同じ民族でありながら、自国に戻れば再会はおろか、電話も手紙も送り合うことができない選手たち。この大会の中だけで叶った“小さな統一”は、スポーツに国境はないことを改めて教えてくれます。

ガッキー×瑛太の男女混合ダブルスを描く『ミックス。』

(C)2017『ミックス。』製作委員会

この秋、男女のペア同士で戦う卓球種目「男女混合ダブルス」をテーマにした映画『ミックス。』が公開されます。本作はかつての天才卓球少女が、落ちぶれた元ボクサーとペアを組み、自分を捨てた男とその彼女に挑むというストーリーです。

主人公の男女ペアを、昨年「逃げるは恥だが役に立つ」で社会現象を巻き起こした新垣結衣と、『64-ロクヨン-』(2016年)『殿、利息でござる』(2016年)など話題作への出演が続く瑛太が務めます。また、脚本は「デート〜恋とはどんなものかしら〜」(2015年)や「リーガル・ハイ」(2012年・2013年)の古沢良太が手がけるとあり、テンポの良いコメディに仕上がっていること請け合いです。

(C)2017『ミックス。』製作委員会

欠点だらけで不器用な主人公たちは、全日本選手権に出場することができるのでしょうか。そしてがけっぷち女子の恋の行方は……? 笑いと感動、キュンとする切ない恋を織り交ぜた人生の再生物語は、新たな卓球の魅力を教えてくれるはず。『ミックス。』は、10月21日(土)より全国東宝系にてロードショーです。

(鈴木春菜@YOSCA)