映画『亜人』は9月 30日より全国公開

『亜人』城田優 インタビュー

インタビュー

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ハーフの自分に自己否定感が強かった

自分が不死の新人類“亜人”であると知った主人公の永井圭(佐藤健)が、亜人と国家権力との戦いに巻き込まれていく様を描くアクション超大作。人間と対立する亜人のひとり、田中を演じた城田優が、作品を通じて感じた思いを語った。

カットとなった幻のアクションシーン

Q:誰もが期待するであろう人気漫画の実写版で、亜人・田中を演じると聞いたときのお気持ちは?

残念ながら僕は原作も田中がどんなキャラクターかも知らなかったんです。今回、出演させていただくことになったのは、個人的に親しい佐藤健が主演だったから。健じゃなかったら受けていなかったかもしれません。実際に健から「今までにない新しいアクションができるかもしれない」と言われて、原作も読んで面白かったので、是非演じてみたいと思いました。

Q:アクションが本当にすさまじかったです。

本当はもっとアクションシーンがあったんですけど、編集で半分くらいになってしまって(笑)。それはしょうがないんです。いろいろありますから。僕は映像作品の監督もやらせてもらっているので、監督側の気持ちもわかります。ただ、アクションは動きだけではなく、その人物の感情の流れがあり、ストーリーがあるんです。それがぶつ切りになると分かりにくくなるので、本広(克行)監督には「DVDになるときにカットしたアクションを入れたバージョンも入れてほしい」と全力でお願いしています。

Q:漫画の実写化の場合、原作のイメージを大事に演じる方も多いかと思うのですが、城田さんの場合は?

僕は原作のキャラクターに寄せようとはせず、フラットに演じるタイプです。僕が演じる時点で、もう原作とは違うキャラクターですからね。静止画と動いている人間とはまったく違うので、漫画のことは考えないです。もちろん、原作のパッションとかエナジーは受けつつも、漫画原作をリアルにやるのは難しいので、台本の中にリアルを求めています。

佐藤健はあっけらかんとした男

Q:役づくりのために、食事制限などもされていたそうですね。

撮影に入るまでの3か月ほどで、7、8キロ体重を落としました。筋トレはあまりせずに、週5くらいのジョギングで有酸素運動をして、あとは食事制限をして細くしました。健や綾野剛もそうだったようで、撮影で用意されたケータリングの食事には誰も手をつけず、キノコやチキンや野菜など、自分たちで用意したものを食べていました。

Q:そういったお芝居にストイックな部分でも、佐藤さんと共鳴しているのでしょうか?

健には仕事に関してもリスペクトしていますけど、彼のプロ意識が高いからとかではなく、一人の人間として気が合うんです。もちろん、延長線上には仕事への取り組み方などもあるかもしれないけど、基本的には仕事とプライベートは分けて考えます。健とは一緒にいて単純に心地いいんです。今回も、撮影が終わってからプライベートで会ったりしていました。僕が「今回の田中が難しくて……」って打ち明けたりしても、彼は「え、何がぁ?」とかあっけらかんとしていました(笑)。

Q:田中という役の一番難しかった点と言えば?

原作の田中は亜人だけど、亜人と人間とのはざまにいる男です。映画ではセリフが少なかったので、ただ佐藤(綾野剛)についていってるだけの人物になりかねないなと思い、セリフの2、3割を自分で直させてもらったり、プラスしてもらいました。ひたすら人間に復讐(ふくしゅう)したいのではなく、「これは本当に正しいことなのだろうか?」と葛藤している田中の人間らしい部分が少しでも出せるように、監督に提案させてもらいました。

ハーフの自分が好きではなかった

Q:亜人のように、社会の中で居場所がないと感じる瞬間は誰にでもある気がします。

比べるものではないですけど、居場所がないという気持ちは、今回の出演者の中で、ハーフの僕(父が日本人、母がスペイン人)が一番多く感じてきたと思います。僕は日本にいてもスペインにいても、居場所がなかった。ただ歩いているだけで、「あ、外国人がいる」って言われたわけですから。まあ、ハーフあるあるです(笑)。

Q:そのアイデンティティーの揺らぎが、今の城田さんを創り上げたのでしょうか。

ハーフとして生まれて、二つの国を知ることができることに感謝しています。昔はイヤな思いをしてきましたし、自分が好きになれずに自己否定感が強かったです。この仕事をし始めたときが、そのピークでした。自分が10代の頃は顔が濃くて背が190センチもある同年代のハーフの俳優がいなかったです。一生懸命オーディションを受けても、「デカいねえ」と容姿を否定されたりして、泣きながら帰ったことも、挫折しそうになったこともありました。だから、「カッコいいね」という言葉は僕にとってマイナスな言葉でしかなかった。外国人の顔をそう言われているとしか思えなかった。デカいという言葉も棘のように刺さっていた。中学生のころから180センチくらいあったので、ずっと背中を曲げて過ごしていました。でも、そうやって何度も否定されたことで、逆に強くもなれたんです。「悔しい、でも、やりたい。絶対に負けたくない」って。その想いが原動力になったので、今思えばいい経験です。

Q:居場所のなさを感じている方々に、何かメッセージをお願いできますか?

いろんなコンプレックスを持った方がいると思いますが、世の中、変えられないものと変えられるものがあって、変えられないのならば受け入れるしかない。でも、自分で変えられることはある。いかにそれが難しかったとしても、根気と努力次第で何でも可能になると思う。僕の場合「前例がないからあきらめよう」ではなく、「前例がないなら作ってやろう」というマインドでいれば、何も怖くない。僕は、ハーフの背の高い俳優がいないなら、前例になってやろうと思ったんです。今でもハーフ俳優というのは狭き門だと思うから、そこを僕が広げていけたらうれしいです。

取材・文:斉藤由紀子 写真:尾藤能暢

記事制作 : シネマトゥデイ(外部サイト)

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