IT/イット “それ”が見えたら、終わり。/11月3日(金・祝)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国公開!/(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

シャイニングに文句タラタラ!? 原作者スティーブン・キングの不本意だらけな映画化作品とは

コラム

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“殺人ピエロ”ことペニーワイズが多くのホラーファンを虜にしたTVムービー「IT」(1990年)が、アンディ・ムスキエティ監督により、劇場映画としてリメイクされることになりました。

『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(11月3日公開)はキング・オブ・モダンホラーこと、スティーブン・キングの小説が原作です。「あの長い原作を1本の映画にまとめられるの?」と思った方もご安心を。全二部作という構成で、特に物語の前半部分はホラー版『スタンド・バイ・ミー』(1986年)といったテイスト。ホラーファンならずとも楽しめそうです。

スティーブン・キングといえば、世界に冠たるアメリカのベストセラー作家。それだけに、映画化された作品は数多く存在しています。ただ、完成した映画の中には、その出来にキングが納得いかない作品もあったとか。果たしてそれはどの作品だったのでしょうか?

“モダンホラー作家”と“映画作家”としてのキューブリックの微妙な関係

キング原作の映画の中でも最も有名な作品の一つが、名作の誉れ高いスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(1980年)でしょう。しかし、この映画に対してキングは非常に批判的……というより、ものすご~く嫌っているようなのです。

“原作者が激怒した映画”として有名なものは数ありますが、中にはソースがはっきりしない……というか、「でっち上げじゃないか?」と疑われるものもあります。しかし、『シャイニング』に関しては掛け値なしの本物です。

キングはホラーについて語った著書「死の舞踏」(1981年)の中で、『シャイニング』について「思い違いだらけで腹立たしい期待はずれの映画」と書いています。その後もことあるごとに文句タラタラ。メディア側も面白がって訊いているフシすらあり、その度にニュースになるくらい有名な話なのです。

確かにこの映画からは、キングの“匂い”とでもいうものが消え、完全にキューブリック印が押されている感じなので、原作者としては面白くないのかもしれませんね。

そして17年、キングが作った『シャイニング』

普通なら遺恨が残って終わりの“原作者が激怒した映画”ですが、キングは違いました。映画が公開されてから17年後、自分の製作総指揮でTVドラマ「シャイニング」(1997年)を作っているのです。

映画とTVドラマを比べるのはどうなのか? という話もあるでしょうが、やはりキング版の方が原作に忠実なこともあり、4時間30分の長丁場にもかかわらず、ストーリーとしては楽しめました。ただ、映像へのこだわりや発想力については映画版の方が上。これはもうどちらが優れているかということではなく、“映像作家”と“物語作家”という資質の違いなのではないでしょうか。

スティーブン・キング自らが監督を手掛けた映画があった

キングは自身の小説が映画化された作品に、結構な頻度でカメオ出演しています。そればかりではなく、実は監督を手掛けたこともありました。その名は『地獄のデビル・トラック』(1986年)です。

ストーリーは彗星が地球に近づいたことで、突然世界中の機械が人間を襲い始めるというもの。自動販売機は缶ジュースを弾丸の様に射出し、ドライヤーは電源コードで首を絞め、自動車は人間を轢き殺します。そして、トラックたちによって包囲されたドライブインでサバイバルが始まる……。いや、ちゃんとシリアスを狙っているので、ここは笑いどころではありませんよ?

内容的にはご都合主義がかなり目につき、冒頭とエンディングはナレーションとテロップだけというありさま。本人も失敗作だと認めているようで、世間的に語られることの少ない映画です。

ただ、B級映画としてみると非常に面白い作品です。キング自身が好きなホラー映画の要素が、要所に盛り込まれています。舞台設定は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968年)や『ゾンビ』(1978年)に近く、“彗星のせいで空が緑色にそまる”ところは『人類SOS!』(1962年)のオマージュではないでしょうか。無人の乗り物が人間を襲うというのは『殺人ブルドーザー』(1974年)を彷彿とさせます。

そして、ロックが大好きなキングの作品だけに、音楽を手掛けたのはAC/DC。もうキングがノリノリで作っているのが目に浮かぶようで、それらを含めて映画を観ると、観ている方も楽しくなってきてしまいます。

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。/11月3日(金・祝)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他全国公開!/(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督としては微妙だったキングですが、映画化“される”方としては超ベテランです。そんなキングは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』について、「ここまで良いとは思っていなかった」、「ワンダフル」などと語っているとか。

自身の原作映画に辛辣なキングのお墨付きというだけあって、原作ファンやホラーファンには見逃せない作品です。ぜひ、劇場でペニーワイズの恐怖を体験してください。

 

(文/ハーバー南@H14)

記事制作 : H14

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