コミケ販売を表明したことで批判が集中しプロジェクトが中止に

クラウドファンディングを利用すること自体は大きな問題にならなかった。しかし、そのフォトマガジンを12月に開催される「冬コミ」で販売することを表明した途端、コミケファンを中心に批判が殺到。「コミケのマナーを分かっていない」「ヲタをナメてる」など集中砲火となり、大炎上してしまった。その結果、真木よう子は冬コミ参加を断念し、ツイッター上で謝罪。翌日にはツイッターのアカウントを削除し、出版のプロジェクト自体も中止。さらにはフォトマガジンの制作に名を連ねていたスタッフ陣にまで批判は飛び火した。

目標金額達成の秘訣はクリエーターとしてのこだわり

真木よう子はプロジェクトが中止となってしまったが、クラウドファンディングで成功した芸能人も少なくない。

その代表例が、お笑い芸人兼絵本作家として活躍するキングコング・西野亮廣だろう。これまで「ニューヨークで原画展を開きたい」を皮切りに、3度のクラウドファンディングを実施して全てに成功。第2弾の「入場無料の『個展』を開催」は目標額の25倍以上となる4,600万円を越える支援額が集まり、第3弾の「古本屋プロジェクト」も自身が読んだ本に”しるし”を入れた世界に一冊だけの本のみを取り扱う古本屋という斬新な発想が共感を呼び、800万円以上の資金を集めることに成功した。

俳優の山田孝之も人気腕時計ブランドの創業者と手を組んで、新ブランド立ち上げの制作資金調達をクラウドファンディングで行った。約2カ月間の募集で500万円を目標金額に掲げたところ、開始2日で目標金額の約7割に当たるおよそ357万円が集まり、目標金額達成は時間の問題となった。

お笑い芸人の安田大サーカスの団長も、「トライアスロンで世界を目指す」というプロジェクトを立ち上げ、遠征費用などの資金調達をクラウドファンディングで行い、見事に目標金額を達成した。残念ながら世界大会への切符を手に入れることはできなかったが、支援者とランイベントを行うなどの交流を図った。

「有名芸能人=高収入」というイメージが強いことから、芸能人がクラウドファンディングを利用すると批判も集まりがちだ。現に成功を収めた西野亮廣や山田孝之にも否定的な意見は多かった。しかし二人は営利目的ではなく、クリエーターとして作品や思想を伝える一環としてクラウドファンディングを活用したからこそ、多くの支援者を集めることができたのだろう。

真木よう子のフォトマガジンもオールカラーで320ページと通常の出版社では考えられない破格のボリュームを予定していたこともあって、支援者からの期待は高かった。コミケ販売さえ表明していなければ、と嘆く声も多いようだ。ファンにとって芸能人のクラウドファンディング参戦は大きなコミュニケーションツールにもなり得る。真木よう子の一件が悪影響を及ばさないことを祈るばかりだ。

(文/小澤裕)