Twitter、Facebook、Instagram……今や誰もが一つくらいはSNSのアカウントを持っている時代。世界中の人と手軽にコミュニケーションが取れる良い側面がある一方、海外ではSNSを利用したゲームで自殺者が出たり、Instagramのフォロワーや“イイネ!”が買える自販機が登場したりなど、数々のとんでもない話題も提供しています。

そんなSNSに翻弄される人々を描いた映画が今秋公開されます。この映画で描かれる恐怖は、すでにあなたの気づかないうちに身の回りで起こっていることかもしれません……。

生活のすべてを晒してでも“イイネ!”が欲しい

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11月10日公開の『ザ・サークル』は、SNSを題材にしたサスペンス・スリラー。世界ナンバー1の利用者数を誇る超巨大SNS企業・サークル社に入った新入社員メイ(エマ・ワトソン)のサクセスストーリーかと思いきや、自己承認欲求の肥大化、インターネットの持つ扇動効果、SNSとプライバシーの関係といったネット社会に潜む闇を炙り出していく物語です。

CEOであるベイリー(トム・ハンクス)の目に止まったメイは、新サービス「シーチェンジ」の被験者に抜擢されます。シーチェンジとは、小型カメラでリアルタイムの状況をネット上に公開することができるサービス。被験者として自身の24時間を公開することになったメイは、瞬く間に1000万人を越えるフォロワーを獲得しネット上で人気者になりました。

自身の生活のすべてを晒すなんて、普通の神経で考えたら恐怖でしかありません。しかし“認められたい”願望の強いメイは、シーチェンジにハマっていってしまいます。現にアナタの周りにもSNS上で何から何まで晒しまくって、“イイネ!”に浸っている人は居るのではないでしょうか?

SNSの情報で、どんな人物も位置特定が可能!?

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シーチェンジを通じてサービス利用者のあらゆる個人情報を取得しているサークル社。このシステムは “人物の特定”も可能で、劇中では携帯電話、シーチェンジのカメラ、顔認識ソフトでたった10分で逃走中の犯罪者の位置情報を特定してしまいます。

プライバシーもへったくれもないこのサービスですが“自分を晒す”ことにのめり込み、隠し事がない“透明”な状態でいることに取り憑かれたメイは、シーチェンジを妄信。なんの疑問も感じず、あたかも素晴らしいことのようにこのサービスを賞賛する姿は、不気味としか言いようがありません。

後戻りできない“自分晒し”で友人に危険が…

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逃亡中の犯罪者の特定と逮捕に至り、その真価を見せつけたシーチェンジ。気を良くし、歯止めの効かなくなったメイは“犯罪者以外でも居場所が見つけられる”と言ってしまいます。そんな彼女の言葉を聞いた人間が、“メイの友人の場所を特定しよう”と発言し、メイを取り巻く事態は急転してしまいます。

フォロワー1000万人の人気者であるメイの友人に、嫌がらせをしたり追跡する人々が一気に現れる事態に。そんな状況でも承認欲求や自己愛が肥大化したメイは自分のプライベートを晒し続け、ついには取り返しのつかないことになってしまうのです……。

インターネット上で簡単に世界中の人と繋がることができるSNS。そこで肥大していく承認欲求や加速する自分晒し、煽られていく人々……。Twitter上に自らの悪事を武勇伝であるかのように晒し、大きな問題となった「バカッター事件」など、日本のネット社会とも通ずる問題がリアルに描かれています。SNSの“イイネ”のためにプライベートを晒してもかまわないと感じるようになってきたら、それは恐怖の始まりかもしれません。

(文/スズキヒロシ・サンクレイオ翼)