10月28日に公開となる『彼女がその名を知らない鳥たち』には、働かない“ダメ男”、女を下に見ている“ダメ男”、不倫する“ダメ男”……とゲスでクズな“ダメ男”ばかりが登場しています。

彼らを演じるのは阿部サダヲ、竹野内豊、松坂桃李の3名。“ダメ男”を人気のイケメン俳優が演じるというのは、本作の大きな見どころの一つです。そんなインパクトのあるキャスティングは、映画の醍醐味のひとつといえるでしょう。ここでは、本作に勝るとも劣らないダメ男たちと、それを演じたイケメン俳優たちを紹介したいと思います。

"友ナシ・金ナシ・女ナシ"なダメ男…『苦役列車』森山未來

西村賢太の芥川賞受賞作を映画化した『苦役列車』(2012年)では、憎みきれないロクデナシの主人公・北町貫多を、森山未來が演じました。

凶悪な性犯罪者を父にもち、その引け目から友達や恋人を作らず、倉庫で日雇い労働をしている北町。この“友ナシ・金ナシ・女ナシ”なダメ男との同化をはかるべく、森山未來は撮影前からクランクアップまで、三畳一間の風呂なし・トイレ共同のボロ宿に寝泊まりして役作りに励みました。

結果、森山未來は前日に飲んだ酒を残して、パンパンに顔を腫らしながら現場に遅刻して登場するほど、役と一体化して撮影に挑んでいます。徹底した役作りの末に生まれた、そのダメ男っぷりは一見の価値ありです。

悪事に手を染めてしまうダメ刑事…『日本で一番悪い奴ら』綾野剛

綾野剛は、“日本警察史上、最大の不祥事”と称される実在の事件をもとにした『日本で一番悪いやつら』(2016年)で、悪事に手を染める刑事・諸星要一を演じました。

この役を演じるにあたり、約1カ月の間に体重を10キロ増減した綾野剛。彼が演じる諸星は柔道家で寝技が強かったため、独特の餃子耳を再現しようとヒアルロン酸を耳に注入しようとしたのは、知る人ぞ知る話です。その役作りはとどまることを知らず、中年を演じるために「加齢臭が欲しい」と言い続け、焼肉を食べた翌日には歯磨きせずに撮影に挑みました。

正義感に満ち溢れた刑事が、いつしか犯罪を冒すようになり、覚せい剤に手を出してボロボロになっていく……。綾野はそんな中年刑事の末路において、鬼気迫るほどの“ダメ男”の演技を見せています。

暴力にとりつかれたダメ男…『ディストラクション・ベイビーズ』柳楽優弥

愛媛県松山市を舞台にした、青春群像劇『ディストラクション・ベイビーズ』(2016年)。本作で強そうな相手にケンカを売り続けるという、暴力にとりつかれた青年・芦原泰良を演じたのが柳楽優弥です。

脚本上でセリフがほとんど「……」と記されていたほど、芦原泰良は言葉で語らないキャラクターです。理由があるわけでもなく、ただただ暴力を楽しんでいるという、狂気に満ちた役どころでした。柳楽優弥はこれを倫理観など細かいことは一切考えず、シンプルに生まれながらの暴力人間として演じています。

戦えば戦うほど強くなる設定のため、喧嘩のシーンはすべて戦い方を変えるなど、言葉の代わりに暴力で演じた柳楽優弥のアウトローな“ダメ男”。子役だった昔の印象がすべて振り払われるほどのインパクトを残した作品でした。

完全なるサイコパスなダメ男…『ヒメアノ~ル』森田剛

森田剛は人気マンガ家・古谷実の原作を映画化した『ヒメアノ~ル』(2016年)で、人間を殺しのターゲットとしか見ていない連続殺人犯・森田正一を演じました。

当たり前のように人を殺す、完全なるシリアルキラーの森田正一。彼こそ共感が一切できないほどにひたすら暴力性が際立つ、一般の理解を超えた場所にいる“ダメ男”と言えるかもしれません。そして、その“ダメ男”を体現した森田剛の演技は、まさに怪演といえます!

撮影中には、演技とはいえ殺す人数が増えると気持ちが重くなったという森田剛。現場の近くにあったペットショップに行っては、かわいい動物たちを見て癒されていたようです。あまりにもサイコパスな“ダメ男”を演じきるには、ときには息抜きも必要ということですね。

『彼女がその名を知らない鳥たち』/(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会/10月28日(土) 新宿バルト9他全国ロードショー/配給:クロックワークス

10月28日に公開となる『彼女がその名を知らない鳥たち』は、沼田まほかるの人気ミステリー小説が原作です。『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌が監督を務めました。

『彼女がその名を知らない鳥たち』/(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会/10月28日(土) 新宿バルト9他全国ロードショー/配給:クロックワークス

主演は蒼井優と阿部サダヲ。蒼井優は阿部サダヲ演じる15歳年上で下品で貧相な男・陣治と暮らす女性・十和子役です。彼女が8年前に別れた、女を道具として扱う男・黒崎を竹野内豊が演じ、十和子と不倫関係に陥る妻子ある男・水島を松坂桃李が演じました。

3人のダメ男を、イケメンたちがどのように演じるのか。ぜひ、劇場で確かめてみてください。

(文/岸とも子@H14)