『プラダを着た悪魔』(2006年)で恋に仕事に奮闘するキャリアウーマンを演じ、世界中の女性にとって“憧れの存在”となったアン・ハサウェイ。『レ・ミゼラブル』(2012年)では各映画賞の助演女優賞を総ナメにし、念願のオスカー女優に仲間入りを果たしました。しかし、そんな栄光もつかの間、妙に芝居じみた受賞スピーチが反感を買い、ハサウェイをヘイト(嫌う)する“ハサヘイター”が急増。ついには“ハリウッドイチの嫌われ者女優”という烙印まで押されてしまいます。

お騒がせのイメージが板についた彼女の主演映画『シンクロナイズドモンスター』(11月3日公開)は、職ナシ・家ナシ・彼氏ナシのダメウーマンが、怪獣とシンクロするというぶっ飛んだ作品。“ステキ女子”なイメージをかなぐり捨て、大炎上した過去を投影したと思われる自虐的なアン・ハサウェイの姿がこれでもかというほどに盛り込まれているんです!

テロリストより嫌われ者!? アンチが激増した背景

(C)2016 COLOSSAL MOVIE PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

“ハサヘイター”が急増したきっかけは、『レ・ミゼラブル』でのオスカー受賞スピーチでした。 ほぼ受賞確実なのに名前を呼ばれて大げさに驚いたかと思えば、用意周到なスピーチで笑いを取ろうとするなど、そのわざとらしさが仇となり、SNS上で非難轟々。「驚きと謙虚さが作り物。誠実さに欠ける」と散々叩かれ、“オサマ・ビン・ラディンより嫌われている人物”とまで言われました。

さらに役作りで11キロ減量し、長い髪をバッサリ切って女優魂を見せつけるも、「オスカー狙いなのがバレバレ」と非情にも一刀両断。授賞式でのファッションも“乳首ドレス”と揶揄されるなど、さんざんな目に。あのニューヨーク・タイムズ紙も「私たちは本当にアン・ハサウェイが嫌いなのか?」という記事を掲載するなど、まさに社会現象を巻き起こしました。

アン・ハサウェイが巨大怪獣とシンクロする!?

(C)2016 COLOSSAL MOVIE PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

そんな状況に女優引退すらほのめかしていた彼女ですが、いろいろと吹っ切れたのか『シンクロナイズドモンスター』で、女子力ゼロのダメウーマン・グロリアを熱演しています。韓国・ソウルに突如現れた大怪獣と自分の動きがシンクロしていることに気付いた彼女は、泥酔して舞い上がると、さまざまな騒動を引き起こしてしまいます。

そこに現れたのは酔っぱらいの幼馴染とシンクロした巨大ロボ。二人の取っ組み合いの喧嘩は、遠く離れたソウルで大怪獣vs巨大ロボという特撮戦隊さながらの大決戦というぶっ飛んだ展開に! 酒浸りで記憶を飛ばすグロリアは、これまで演じてきた“ステキ女子”とは程遠い印象ですが、アンによれば「最も自分らしいキャラクター」だそうで、スクリーンには生き生きとした表情を見せる彼女の姿が見て取れます。

まだ騒動を引きずってる?劇中に張り巡らされたメタファーに注目

(C)2016 COLOSSAL MOVIE PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

本作はアンが主演のみならずプロデュースも務めた意欲作ですが、登場人物などを何らかのメタファーとして捉えると、いかようにも解釈可能な作品です。

例えば、怪獣とシンクロして街を破壊したことを反省したグロリアが、怪獣に「ごめんなさい、もう二度としません」と謝罪文を残させるシーン。アンチに叩かれまくったアンの過去を知っていると、世間を騒がせてしまったことについての謝罪? と自虐的なギャグに見えてきます。また元カレに「ネット批判から逃れてるだけだろ」と暴言を吐かれるシーンも、ネットで大炎上した彼女の自虐ネタのように思えてなりません。

かつて世間から大バッシングを受け、“ハリウッドイチの嫌われ者女優”と言われたアン。それが今では「成長する上でたくさんの近道が得られた」と感謝を示しています。最新作でも自虐ネタをぶっこみまくるなど、失敗を笑いに変えた彼女はギャグが分かっている“ハリウッドイチのイイ人”なのかもしれません!

(文/バーババ・サンクレイオ翼)